システムアーキテクト試験 2017年 午前216


システム開発における発注者とベンダとの契約方法のうち、実費償本型契約はどれか。
ベンダの役務や技術に対する報酬に加え、委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダに支払う。(正解)
インフレ率や特定の製品の調達コストの変化に応じて、あらかじめ取り決められた契約金額を調整する。
契約時に、目標とするコスト、利益、利益配分率、上限額を合意し、目標とするコストと実際に発生したコストの差異に基づいて利益を配分する。
委託業務の進行中に発生するリスクはベンダが負い、発注者は注文時に合意した価格を支払う。

解説

システム開発における実費償本型契約とは【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:実費償本型契約は、ベンダが実際にかかった費用を全額請求できる契約形態です。
  • 根拠:ベンダの役務報酬に加え、業務遂行に要した費用すべてを支払うため、発注者は実費を負担します。
  • 差がつくポイント:固定価格契約やリスク負担型契約と異なり、コスト超過リスクを発注者が負う点を理解することが重要です。

正解の理由

選択肢エは「ベンダの役務や技術に対する報酬に加え、委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダに支払う」とあり、これは実費償本型契約の定義に合致します。実費償本型契約では、ベンダがかかった実費をそのまま請求できるため、発注者はコスト超過リスクを負います。これに対し、固定価格契約はあらかじめ合意した価格を支払うため、リスク負担の所在が異なります。

よくある誤解

実費償本型契約はコスト管理が甘くなると思われがちですが、実際には発注者がコストを詳細に監査し、無駄な支出を抑えることが求められます。

解法ステップ

  1. 契約形態の特徴を確認する(固定価格、実費償本、リスク負担など)。
  2. 実費償本型契約は「実際にかかった費用を全額支払う」契約であることを理解する。
  3. 選択肢の文言から「費用の全てを支払う」と明示されているものを探す。
  4. 他の選択肢と比較し、リスク負担や価格調整の有無を確認する。
  5. 実費償本型契約の定義に最も合致する選択肢を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 固定価格契約の説明であり、リスクはベンダが負うため実費償本型ではない。
  • イ: 価格調整契約の説明で、インフレ率などに応じて契約金額を変動させる形態。
  • ウ: 目標コストと実コストの差異に基づく利益配分契約で、実費償本型とは異なる。
  • : 実費償本型契約の定義に合致し、正解。

補足コラム

実費償本型契約は、プロジェクトの要件が不確定でコスト見積もりが困難な場合に用いられます。発注者はコスト超過リスクを負うため、契約管理や監査が重要です。一方、ベンダはリスクを負わないため、品質や効率の管理が課題となることもあります。

FAQ

Q: 実費償本型契約はどんな場合に適していますか?
A: 要件が不確定でコスト見積もりが難しい初期段階の開発や調査業務に適しています。
Q: 実費償本型契約で発注者が注意すべき点は?
A: ベンダの費用請求内容を詳細に監査し、不必要なコストが発生しないよう管理することが重要です。

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