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システムアーキテクト試験 2018年 午前2 問17
IT投資の評価手法のうち、バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか。
ア:IT投資の効果をキャッシュフローから求めた正味現在価値を用いて評価することによって、他の投資案件との比較を容易にする。
イ:IT投資をその性質やリスクの共通性によってカテゴリに分類し、カテゴリ単位での投資割合を評価することによって、経営戦略とIT投資の整合性を確保する。
ウ:財務、顧客、内部業務プロセスなど複数の視点ごとにIT投資の業績評価指標を設定し、経営戦略との適合性を評価することで、IT投資効果を多面的に評価する。(正解)
エ:初期投資に対する価値に加えて、将来において選択可能な収益やリスクの期待値を、金融市場で使われるオプション価格付け理論に基づいて評価する。
解説
IT投資の評価手法のうち、バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:バランススコアカードは財務・顧客・内部業務プロセスなど複数視点でIT投資を多面的に評価する手法です。
- 根拠:単一の財務指標だけでなく、非財務指標も含めて経営戦略との整合性を評価できるため、IT投資の効果を総合的に把握できます。
- 差がつくポイント:財務指標だけで評価する手法(NPVなど)やリスク評価手法と混同せず、複数視点での評価という特徴を理解することが重要です。
正解の理由
選択肢ウは、バランススコアカードの基本概念である「財務」「顧客」「内部業務プロセス」「学習と成長」の複数視点から業績評価指標を設定し、経営戦略との適合性を評価する方法を正確に説明しています。これによりIT投資の効果を多面的に評価できるため、バランススコアカードを用いた手法の説明として最も適切です。
よくある誤解
バランススコアカードは単なる財務評価手法ではなく、非財務指標も含めて多角的に評価する点が誤解されやすいです。NPVやオプション価格付け理論とは異なる評価軸を持つことを押さえましょう。
解法ステップ
- バランススコアカードの基本概念を確認する(複数視点での評価)。
- 各選択肢の説明がどの評価手法に該当するかを判断する。
- 財務指標のみの評価はNPV(正味現在価値)に該当することを認識する。
- リスクやオプション理論を用いる説明はオプション価格付け理論に該当することを理解する。
- 複数視点で経営戦略との整合性を評価する説明がバランススコアカードであると結論づける。
選択肢別の誤答解説
- ア:正味現在価値(NPV)を用いた財務評価手法であり、バランススコアカードの説明ではありません。
- イ:IT投資をカテゴリ分類し投資割合を評価する手法で、経営戦略との整合性を図るがバランススコアカードの多視点評価とは異なります。
- ウ:複数視点で業績評価指標を設定し経営戦略との適合性を評価するバランススコアカードの説明として正しいです。
- エ:オプション価格付け理論を用いたリスク評価手法であり、バランススコアカードとは異なります。
補足コラム
バランススコアカードは1990年代にロバート・カプランとデビッド・ノートンによって提唱され、財務指標だけでなく顧客満足度や業務プロセス、組織の学習・成長など多面的な視点から企業の業績を評価するフレームワークです。IT投資の評価においても、単なるコストや利益だけでなく、顧客価値や業務効率の向上など非財務的効果を測るのに有効です。
FAQ
Q: バランススコアカードはなぜ複数の視点で評価するのですか?
A: 財務指標だけでは企業の全体的なパフォーマンスを把握できないため、顧客満足度や業務プロセスなども含めて総合的に評価するためです。
A: 財務指標だけでは企業の全体的なパフォーマンスを把握できないため、顧客満足度や業務プロセスなども含めて総合的に評価するためです。
Q: NPVとバランススコアカードの違いは何ですか?
A: NPVは財務的なキャッシュフローの現在価値を評価する手法で、バランススコアカードは財務以外の視点も含めた多面的評価手法です。
A: NPVは財務的なキャッシュフローの現在価値を評価する手法で、バランススコアカードは財務以外の視点も含めた多面的評価手法です。
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