ホーム > システムアーキテクト試験 > 2018年
システムアーキテクト試験 2018年 午前2 問19
1台のCPUの性能を1とするとき、そのCPUをn台用いたマルチプロセッサの性能Pが、
で表されるとする。ここで、aはオーバヘッドを表す定数である。例えば、a=0.1, n=4とすると、P≒3なので、4台のCPUから成るマルチプロセッサの性能は約3になる。この式で表されるマルチプロセッサの性能には上限があり、nを幾ら大きくしてもPはある値以上には大きくならない。a=0.1の場合、Pの上限は幾らか
ア:5
イ:10(正解)
ウ:15
エ:20
解説
マルチプロセッサの性能上限計算問題【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:オーバヘッド定数のとき、性能の上限はである。
- 根拠:性能のの極限を計算すると、となるため。
- 差がつくポイント:極限の考え方を理解し、分母の増加による性能の頭打ちを正しく把握できるかが鍵。
正解の理由
性能はCPU台数に依存し、オーバヘッドがあるため無限に性能が上がるわけではありません。
式を変形すると、
式を変形すると、
が非常に大きくなると、が支配的になるため、
よってならば、性能の上限はとなり、選択肢の中ではイが正解です。
よくある誤解
性能はCPU台数に比例して無限に増えると誤解しがちですが、オーバヘッドの影響で必ず上限があります。
また、オーバヘッドの意味を理解せずに単純計算するミスも多いです。
また、オーバヘッドの意味を理解せずに単純計算するミスも多いです。
解法ステップ
- 性能の式を確認する:
- を大きくしたときの極限を考える。
- 分母を展開し、に関する項を整理する。
- の極限を計算し、を導く。
- を代入し、性能上限を求める。
- 選択肢から該当する値を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 5
なので、5は性能上限として小さすぎる。計算の極限を誤った可能性がある。 - イ: 10
正解。で性能上限を正しく求めている。 - ウ: 15
から導かれる上限ではなく、誤った計算や誤認識による。 - エ: 20
の逆数は10なので、20は明らかに大きすぎる。
補足コラム
この式は「Amdahlの法則」に類似しており、並列処理の性能向上には限界があることを示しています。
オーバヘッドは通信や同期の遅延を表し、これが大きいほど性能の頭打ちが早くなります。
並列化の効果を正しく評価するために、こうした理論的な上限を理解することが重要です。
オーバヘッドは通信や同期の遅延を表し、これが大きいほど性能の頭打ちが早くなります。
並列化の効果を正しく評価するために、こうした理論的な上限を理解することが重要です。
FAQ
Q: なぜ性能の上限はになるのですか?
A: が非常に大きくなると、分母のの項が支配的になり、はに近づくためです。
A: が非常に大きくなると、分母のの項が支配的になり、はに近づくためです。
Q: オーバヘッドが0の場合はどうなりますか?
A: ならばオーバヘッドがなく、性能は理論上に比例して無限に増加します。
A: ならばオーバヘッドがなく、性能は理論上に比例して無限に増加します。
関連キーワード: マルチプロセッサ性能, オーバヘッド, Amdahlの法則, 並列処理, 性能上限