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システムアーキテクト試験 2019年 午後1 問03
レンタル契約システムの再構築に関する次の記述を読んで、設問1~5に答えよ。
K社は、法人顧客(以下、顧客という)に測定機器(以下、機器という)をレンタルする会社である。K社は、レンタル業務で利用しているレンタル契約システムの老朽化に伴い、新たな業務システム(以下、新システムという)を構築することにした。
〔現在のレンタル業務の内容〕
K社では、レンタル契約システムと物流在庫管理システムを利用し、レンタル業務をしている。現在のレンタル業務に関わる部門の業務内容は、次のとおりである。
(1)機器管理部門
機器管理部門では、機器を検査点検してレンタル可能な状態に整備(以下、校正という)する。機器の校正には、有効期限(以下、校正有効期限という)があり、機器ごとに物流在庫管理システムで管理している。校正有効期限を超えてレンタルすることはない。K社では、顧客へレンタルする際、機器を出荷する前に必ず校正し、校正した証明である校正証明書類を提示している。機器ごとに校正に必要な日数が異なっており、校正が完了するまで出荷しない。
(2)営業部門
営業部門では、主要な業務として、次の業務を行っている。
①見積業務
顧客からレンタルの問合せを受け、K社で取扱可能な機器かどうかを確認する。取扱可能な機器である場合は、物流在庫管理システムを利用してレンタル可能な機器の在庫状況を確認する。レンタル可能な在庫があった場合は、レンタル料金を試算し、見積書を作成して顧客に送付する。見積書の情報は、見積番号、機器名、型番、台数、レンタル開始希望日、レンタル期間、レンタル終了予定日、レンタル料金などである。レンタル期間は、5日から6か月未満の期間(以下、短期レンタルという)か、6か月以上の期間(以下、長期レンタルという)である。在庫がない場合は、購買部門に購入を依頼して別途対応する。取扱不可能な機器である場合は、顧客に断りの連絡をする。
②受注業務
顧客との見積書の合意を受け、見積書の情報から注文書兼注文請書を作成して顧客に送付する。顧客から押印済みの書類を受領した後、注文書の情報をレンタル契約システムに入力して受注情報を登録する。受注情報から決裁書を作成し、責任者が決裁する。
③引業業務
K社では、レンタル開始希望日の15日前から受注情報への機器の割当て(以下、引当という)を開始する。引当の際は、物流在庫管理システムを利用して在庫状況を確認し、レンタル可能な機器がある場合は、その機器に受注情報を登録する。レンタル可能な機器がない場合は、当該受注情報に引当する機器として購買部門に購入を依頼し、購入後に引当する。
なお、説明書などの付属品が欠けている機器はレンタルしない。ただし、付属品が欠けている状態でレンタルすることを顧客と合意した場合は、レンタルしてもよいことにしている。
④出荷業務
レンタル開始希望日に合わせて出荷日を決定し、出荷日の前日に機器の出荷を倉庫に依頼する。倉庫への出荷依頼は、物流在庫管理システムを利用して出荷情報を登録することで行う。出荷情報は、出荷する機器、出荷日、出荷先の住所などである。出荷後、顧客へ機器を納入した日の翌日をレンタル開始日としてレンタル契約システムに登録する。
⑤満了業務
K社は、短期レンタルの場合、レンタル期間満了時にレンタルを終了する。長期レンタルの場合、レンタル期間が満了する月(以下、レンタル期間満了月という)の3か月前の第一営業日に、レンタルを延長するか又は終了するかを確認するための満了案内確認書を封書で顧客に送付する。顧客は、レンタル期間満了月の1か月前の第一営業日までに延長するか又は終了するかを封書でK社に送付する。期日までに顧客から終了する旨の通知がない場合は、延長扱いとする。延長する場合、延長料金を算出し、レンタル契約システムを利用して延長情報を登録する。延長した結果、校正有効期限を超過する場合の校正方法は、顧客と別途調整する。終了する場合、物流在庫管理システムに引取情報を登録し、引取手続をする。
⑥引取業務
レンタルが終了して顧客から引き取った機器は、倉庫で簡単な点検を行い、機器の状態を確認する。正常な場合、物流在庫管理システムにレンタル可能な機器として登録する。異常があった場合は、修理を依頼する。説明書などの付属品が欠けている機器の場合、条件付の機器として物流在庫管理システムに登録し、販売業者から付属品を取り寄せた後、レンタル可能な機器として再登録する。
⑦請求業務及び契約変更業務
省略。
(3)購買部門
購買部門では、営業部門から購入を依頼された機器の購買業務をする。対象の機器を購入するかどうかを審議し、購入することになった場合、販売業者に発注する。販売業者から納品された後、物流在庫管理システムにレンタル可能な機器として登録する。レンタルの受注が決まっている機器の場合、営業担当者に連絡する。
〔新システムへの要望〕
営業部門及び購買部門から、新システムに対して次のような要望が出された。
(1)営業部門からの要望
・見積書と注文書兼注文請書を新システムで印刷できるようにしてほしい。
・紙で回付している決裁をシステム化してほしい。
・新システムで、レンタル可能な機器を検索して引当(以下、自動引当という)してほしい。自動引当は、決裁が下りた受注情報を対象としてほしい。原則、引当は自動引当だけとするが、例外として営業担当者が、機器の状態を個別に確認し、引当する場合がある。そのため、営業担当者が機器を検索して引当(以下、手動引当という)する機能も設けてほしい。
・新システムに登録する出荷情報及び引取情報を物流在庫管理システムに連携してほしい。
・業務の効率向上のために、新システムで自動的に延長処理をしてほしい。その場合、延長するレンタル期間は、当初のレンタル期間と同じとする。ただし、満了案内確認書で顧客からレンタルを終了する旨の通知があった場合は、毎月15日までに営業担当者が必要な処理をする。
・満了案内確認書を新システムで自動的に顧客に送付してほしい。
(2)購買部門からの要望
・購買業務に必要な機能を設けてほしい。
〔新システムの設計)
K社では、新システムへの要望を踏まえ、新システムの機能を次のように設計している。新システムの機能概要を表1に示す。

設問1(1):自動引当機能について、(1),(2)に答えよ。
引当可能な機器の条件を校正の観点から二つ挙げ、それぞれ30字以内で述べよ。
模範解答
①:出荷までに校正が完了する機器
②:レンタル終了予定日が校正有効期限を超えない機器
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点
なぜその解答になるのか(論理的な説明)
1. 出荷までに校正が完了する機器
問題文の(1)機器管理部門の業務内容に、
「K社では、顧客へレンタルする際、機器を出荷する前に必ず校正し、校正した証明である校正証明書類を提示している。機器ごとに校正に必要な日数が異なっており、校正が完了するまで出荷しない。」
と明記されています。つまり、レンタルの出荷前に必ず校正が完了していなければならず、校正が完了していない機器は引当対象外になります。
2. レンタル終了予定日が校正有効期限を超えない機器
同じく(1)機器管理部門の記述より、
「校正有効期限を超えてレンタルすることはない。」
また、営業部門の満了業務(2)⑤では、
「延長した結果、校正有効期限を超過する場合の校正方法は、顧客と別途調整する。」
これらから、レンタル期間中の校正有効期限の遵守は必須であり、レンタル終了予定日が校正有効期限を超えてはいけません。つまり引当時に校正有効期限がレンタル終了予定日をカバーしている必要があります。
受験者が誤りやすいポイントやひっかけの選択肢
-
校正完了の時期を誤認しやすい
「校正が完了している状態でなければならない」という点は「出荷前」が期限のため、レンタル開始日や受注登録日ではないことに注意が必要です。 -
校正有効期限とレンタル期間の関係を混同しやすい
「校正有効期限を超えたら引当できない」ということを覚えていても、どのタイミング(レンタル開始日なのか終了日なのか)を基準に判断するのか曖昧になりやすいです。ここでは、「レンタル終了予定日が校正有効期限を超えない」ことが条件となります。 -
校正の必要性を軽視しやすい
校正が機器の安全と性能を保証する観点から必須であるため、校正未完了や期限切れの機器を引き当てることは業務上認められません。
試験対策として覚えておくべきポイントや知識
-
校正とは
機器を一定基準に合わせる検査点検作業で、レンタル業務の品質保証に必須。 -
校正完了のタイミング
出荷前に必ず完了していなければならず、校正証明書を顧客に提示する決まりがある。 -
校正有効期限の遵守
レンタル期間中に校正有効期限が切れる機器は基本的にレンタル不可。延長など特別な場合は顧客と調整が必要。 -
引当に関するポイント
「出荷までに校正が完了していること」「レンタル終了予定日が校正有効期限内であること」が引当可能となる重要条件。
このように問題文の記述を正しく読み取り、校正に関する時期と期限を意識することで、引当可能な機器の条件を正確に理解しましょう。
設問1(2):自動引当機能について、(1),(2)に答えよ。
自動引当は、三つの条件を全て満たす受注情報を対象として抽出する。条件の一つは、まだ引当されていないことである。ほかの二つの条件を、それぞれ25字以内で述べよ。
模範解答
①決裁が下りていること
②レンタル開始希望日まで15日以内であること
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
なぜその解答になるのか(論理的説明)
問題文の「〔営業部門〕3 引当業務」の記述によると、以下の点が重要です。
-
引当の開始時点:
「レンタル開始希望日の15日前から受注情報への機器の割当て(引当)を開始する」と明記されています。
⇒ つまり、引当はレンタル開始希望日の15日前から可能であり、自動引当の抽出条件として「レンタル開始希望日まで15日以内」が妥当です。 -
決裁の状態:
「新システムの設計」における「自動引当」機能の概要には「決裁が下りた受注情報を対象」と記述があります。
さらに、「営業部門 ②受注業務」においても、「受注情報から決裁書を作成し、責任者が決裁する」プロセスが業務の流れにあるため、
受注情報が正式に承認されている状態(決裁済み)であることが、自動引当の重要な条件となります。 -
まだ引当されていない状態:
問題文にもあるように、抽出条件の一つが「まだ引当されていないこと」です。
これにより、重複して同じ受注情報から引当を行わないように制御しています。
以上の点から、模範解答は以下の通りとなります。
①「決裁が下りていること」、②「レンタル開始希望日まで15日以内であること」
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ
-
引当開始日の誤認識
15日前から引当を開始するという具体的な時期は明確に記述されていますが、この期間を過ぎてからでも対象になると誤解する受験者がいます。
引当は15日前から行うため、この日以前のものは引当対象になりません。 -
決裁状態の理解不足
引当対象は「決裁が下りた受注情報」であり、決裁前の受注情報は自動引当の対象外です。
決裁申請後、承認されるまでの状態を見落としやすいので注意が必要です。 -
「まだ引当されていないこと」と他条件との混同
条件として「まだ引当されていないこと」がすでにあるため、これ以外の条件を考える際に混乱しやすいです。
問題文で指定されている「引当されているか否か」はすでに条件として与えられているため、ほかの条件(決裁状況、日数)のみを答えることが求められています。
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
-
業務システムの引当(割当)処理のタイミングは、業務要件によって明確に設定されることが多い
→ 今回は「レンタル開始希望日の15日前」から引当開始とされている。 -
ワークフロー(決裁)状態の管理は業務システムにおいて重要な遷移条件であることが多い
→ 自動処理の対象は必ず承認済み(決裁済み)のデータに限定されるケースを理解する。 -
条件設定問題では、すでに含まれている条件を正しく認識し、追加すべき条件だけを問われていることが多い
→ 問題文や設問文をよく読み、「条件の一つは~」という記述に注意すること。 -
新システム設計や業務フローを読み解く際は、関連する各部門の業務プロセスの詳細を把握し、それぞれのシステムで何が処理されるかを明確にすることが合格の鍵になります。
以上の点を踏まえ、引当対象を正確に理解することが「レンタル契約システムの再構築」問題に対する重要なポイントです。
設問2(1):手動引当機能について、(1),(2)に答えよ。
自動引当の対象とならない機器とは、どのような機器か。15字以内で述べよ。
模範解答
付属品が欠けている機器
解説
解説:自動引当の対象とならない機器について
1. 模範解答の核心キーワードと論点
-
核心キーワード:
- 「付属品が欠けている機器」
-
論点:
- 自動引当の対象は原則「レンタル可能な機器」
- 付属品が欠けている機器は、原則レンタル不可
- 例外的に営業担当者の判断で「手動引当」可能となる
2. 解答の根拠と論理的説明
【問題文】の営業部門の「③引当業務」で以下の記述があります。
「なお、説明書などの付属品が欠けている機器はレンタルしない。ただし、付属品が欠けている状態でレンタルすることを顧客と合意した場合は、レンタルしてもよいことにしている。」
この部分から、
- 付属品が欠けている機器は通常はレンタル不可であるため、自動引当では対象外になる。
さらに、新システムの機能概要の「手動引当」では、
「自動引当の対象とならない機器を手動引当する機能」
と明記されており、
「付属品が欠けている機器はレンタル不可」なため自動引当対象にならず、手動引当の対象になる点が示されています。
つまり、【付属品が欠けている機器】が自動引当対象外の代表例であり、
- 自動引当は標準的なレンタル可能機器のみを対象とし、
- 例外的に状態確認や顧客との合意が必要な付属品欠損機器は手動で引き当てる設計です。
3. 受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ
-
「校正有効期限切れの機器」も自動引当対象外と勘違いしやすい→ ただし問題文では「校正有効期限を超えてレンタルすることはない」ため、校正状況が適切に管理されていれば自動引当対象から外れることはあまり想定されない。
-
在庫不足の機器を自動引当対象外と考えがち→ 在庫がなければ自動引当では引当しようがないが、これは「機器自体の状態」ではなく「在庫状況」。自動引当はレンタル可能な機器を在庫から引当するため、在庫が無いことは「対象」かどうかの話ではありません。
-
「修理中の機器」を選択肢にした場合→ 修理中の機器はレンタル不可なので自動引当対象外ですが、問題文でこの言葉は明示されていません。試験では「付属品欠品」が明確に述べられている点を重視してください。
4. 試験対策のポイント
まとめ
- 自動引当の対象外となる機器は「付属品が欠けている機器」である。
- 問題文で示された業務ルールを基に、レンタル不可と明記される機器は自動的に対象から外れ、例外処理は手動引当で対応する。
- この理解ができていれば、選択肢を迷わず正解に導ける。
- 業務システムにおける自動化の対象範囲と例外処理の切り分けは、基本的な設計思想なのでしっかり覚えておこう。
設問2(2):手動引当機能について、(1),(2)に答えよ。
個々の機器の状態を表示する理由を25字以内で述べよ。
模範解答
機器の状態を顧客と合意する必要があるから
解説
模範解答の核心キーワードや論点の整理
- 機器の状態の表示
- 顧客との合意
- 引当の例外対応(手動引当)
この問題では、「個々の機器の状態を表示する理由」が問われています。模範解答のキーワードは、「機器の状態を顧客と合意する必要があるから」です。
なぜその解答になるのか(問題文の引用と論理的説明)
新システムの設計における「手動引当」の機能概要の記述は以下の通りです。
「自動引当の対象とならない機器を手動引当する機能。物流在庫管理システムと連携し、引当対象となる機器を一覧表示できる。
一覧から個々の機器の状態を表示し、引当できる。」
これに加えて、問題文の現在の業務内容(営業部門の引当業務)に次の記述があります。
「説明書などの付属品が欠けている機器はレンタルしない。ただし、付属品が欠けている状態でレンタルすることを顧客と合意した場合は、レンタルしてもよいことにしている。」
つまり、営業担当者が機器を個別に確認し、状態(たとえば付属品の欠品など)を確認してから顧客と合意した上で引当てる(レンタル可能とする)場合があるため、
個々の機器の状態を表示することは、「顧客と合意するために必要」となります。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけの理由
-
「単に在庫があるかどうかの確認」と誤解する
→ 自動引当が基本であるため、手動引当時に特に状態確認が必要とされている。単に在庫の有無だけを確認するなら一覧表示で十分だが、「個々の機器の状態を表示する」理由はそれ以上の意味を持つ。 -
「機器の状態を確認するのは社内管理のため」と理解する誤り
→問題文では「付属品が欠けている状態でレンタルする場合、顧客との合意が必要」と明示されている。よって確認は、顧客との意思疎通・合意形成のために重要である点がポイント。 -
「機器がレンタル可能か否かだけ」を表示理由にする誤解
→ 状態表示はレンタル可否の判断だけではなく、例外的に付属品欠品などがあっても、顧客と合意した場合はレンタルできるため、その合意のために詳細に状態を示す必要がある。
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
-
業務システム設計問題では、「例外処理や特例対応」の背景を押さえることが重要
例)レンタル業務で付属品不足等の例外対応が顧客合意を前提とすること -
「自動処理」と「手動処理」の違いや目的を明確に理解する
自動化で処理できない場合は手動対応が必要で、その理由として業務上の特別な確認や調整(顧客合意など)が存在する。 -
「状態の表示」は単なる在庫情報の表示より高度な意味合いを持つことがある
状態表示=顧客とのコミュニケーションや契約に関連する重要情報として機能する場合がある。
まとめ
このように、個々の機器の状態表示は「顧客と合意するため」という業務上の理由があることを覚えておきましょう。
設問3
満了案内機能について、満了案内確認書を顧客に電子メールで送付するために、満了案内対象の受注情報を抽出する。対象となる受注情報の抽出条件を二つ挙げ、それぞれ25字以内で述べよ。
模範解答
①:レンタル期間が6か月以上であること
②:3か月後がレンタル期間満了月であること
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点
この二つが満了案内対象の受注情報を抽出する際の主要な抽出条件です。
なぜその解答になるのか(問題文の引用による論理的説明)
問題文の「〔営業部門〕」の⑤満了業務に以下の記述があります。
「長期レンタルの場合、レンタル期間が満了する月(以下、レンタル期間満了月という)の3か月前の第一営業日に、レンタルを延長するか又は終了するかを確認するための満了案内確認書を封書で顧客に送付する。」
これを整理すると、
-
長期レンタルの条件(レンタル期間が6か月以上)
→ 「レンタル期間は、5日から6か月未満の期間(短期レンタル)、6か月以上の期間(長期レンタル)」と定義されているため、満了案内は「長期レンタル」に対して行うという方針が明確です。 -
満了案内送付のタイミング
→ 「レンタル期間満了月の3か月前の第一営業日に送付」とあるため、対象の受注情報は「3か月後にレンタル期間満了月を迎えるもの」となります。
したがって、満了案内確認書を電子メールで送付する際の抽出条件は、
①「レンタル期間が6か月以上(=長期レンタル)」、
②「3か月後がレンタル期間満了月」
が必要となるわけです。
①「レンタル期間が6か月以上(=長期レンタル)」、
②「3か月後がレンタル期間満了月」
が必要となるわけです。
受験者が誤りやすいポイントやひっかけ
-
短期レンタルへの満了案内の誤認
短期レンタル(5日~6か月未満)は、満了時にレンタルを終了するだけで、満了案内の処理は行われません。したがって、レンタル期間が6か月未満のものも抽出対象とすると誤りです。 -
「レンタル期間満了月の3か月前」でなく「3か月後」や「1か月前」などと勘違いする点
問題文と要望に「3か月前の第一営業日」という具体的な期日が示されているため、「3か月後が満了月」という表現を使わないと条件が正確に示せません。 -
満了期間のタイミングを「レンタル開始日」から計算する誤り
満了案内は期間満了月を基準にしているため、開始日ではなく期間満了月を忘れないよう注意が必要です。
試験対策として覚えておくべきポイント
-
レンタル期間による業務フローの違いを明確に認識する
- 短期レンタル(~6か月未満)は満了時に終了処理のみ
- 長期レンタル(6か月以上)は満了案内の送付と、延長または終了の確認手続きがある
-
満了案内の送付タイミングは満了月の3か月前の第一営業日であること
→ 抽出条件には「満了月の3か月前」が重要なキーワード。 -
問題文に示された用語をできるだけ忠実に使う
→ 「レンタル期間満了月」「満了案内確認書」などの正式名称は、条件設定や説明で用いると理解が深まりやすい。 -
業務フローのなかで「満了案内」「延長」「終了」「自動延長」などの区別を正しく把握しておくこと
→ 問題文で詳細に説明されているため、流れを整理して覚えることで誤答を防止できる。
このように、「満了案内確認書」の送付対象となる受注情報を正確に抽出するためには、問題文に即した具体的な条件の理解が不可欠です。
試験では、業務フローの区別や時点の正確な理解を図る問題が多いため、用語や期間の定義をしっかりおさえ、条件設定を的確に行う訓練をしておくとよいでしょう。
試験では、業務フローの区別や時点の正確な理解を図る問題が多いため、用語や期間の定義をしっかりおさえ、条件設定を的確に行う訓練をしておくとよいでしょう。
設問4
延長及び終了機能について、延長処理を毎月15日の夜間とした理由を35字以内で述べよ
模範解答
延長しない場合は毎月 15 日までに営業担当者が必要な処理をするから
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
- 「延長処理を毎月15日の夜間に行う」
- 「延長しない場合は、毎月15日までに営業担当者が必要な処理をする」
- 「顧客から返送される満了案内確認書の期限が毎月15日まで」
なぜこの解答になるのか【問題文引用と論理的説明】
問題文の〔新システムへの要望(1)営業部門からの要望〕に、以下の記述があります。
・業務の効率向上のために、新システムで自動的に延長処理をしてほしい。ただし、満了案内確認書で顧客からレンタルを終了する旨の通知があった場合は、毎月15日までに営業担当者が必要な処理をする。
このことから、顧客から延長を行わず「終了」の通知がある場合、営業担当者が毎月15日までに手動で契約終了の処理をしなければならないことがわかります。
従って、新システムが延長処理を自動的に行うタイミングは、営業担当者の処理締切日である「毎月15日」以降の夜間に設定する必要があります。
- これにより、
- 顧客からの「終了」通知に対する営業担当者の対応が可能になる。
- 対応すべき契約がないことが確認されてから、自動的に残りの「延長」処理を正しく行える。
つまり、延長処理を毎月15日の夜間に設定することで、「終了」通知の処理期限を守りつつ、業務が滞りなく進むようになっているのです。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ
-
「毎月15日」という日にちの意味を誤解する→ 単に月の半ばだからという理由ではなく、「顧客からの終了通知対応の期限」になっている点に注意。
-
「延長処理を自動化するため」「効率化のため」という表現だけを見て、→ 自動処理のタイミングに顧客対応の期限が関係していることを見落としがち。
-
「営業担当者がやる処理は別にあるから自動処理は関係ない」と考える→ むしろ営業担当者の対応を待ってから自動処理を行うことで矛盾が生じない。
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
-
業務システムの運用スケジュール設計では、業務担当者の処理期限と自動処理のタイミングを整合させる必要がある。
-
「延長」「終了」など顧客の意思表示がある場合、その対応期限がシステム処理の重要な基準になる。
-
自動処理のタイミングは、単なる時間設定ではなく、業務フローの中の「確認・処理の締切日」を考慮する。
-
問題文にある「~までに営業担当者が必要な処理をする」という条件文は必ず押さえ、システム設計の仕様や処理スケジュールを考える際の根拠にする。
以上の視点で問題文を正確に読み取り、「毎月15日までに営業担当者が処理する」ことを踏まえ、延長処理を15日の夜間に設定する理由を理解してください。
設問5
購入機能について、受注情報を識別する番号を利用する、ある機能とは何か。表1中の機能名を用いて答えよ。また、利用する目的を25字以内で述べよ
模範解答
機能:自動引当機能
利用する目的:購入した機器を対象の受注情報に引当すること
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
- 機能名:「自動引当機能」
- 利用する目的:「購入した機器を対象の受注情報に引当すること」
- 購入機能で受注情報を識別する番号を任意に登録できる理由:物流在庫管理システムから購入した機器が入荷した後、その機器をどの受注(注文)に割り当てるかを特定・管理するため。
- 「自動引当」機能は、決裁が下りた受注情報をもとにレンタル可能な機器を物流在庫管理システムと連携し引当を行う。
なぜその解答になるのか【問題文の記述を引用しながらの説明】
問題文の「〔新システムの設計〕」にある表1、「購入」機能の機能概要では以下の記述があります。
「購入情報は、購入機器名、購入台数、販売者名、購入希望日などである。
また、受注情報を識別する番号を任意に登録できるようにし、ある機能で利用する。」
この「ある機能」とは何かを考えるポイントは、新システムの各機能の説明です。
- 「自動引当」機能の説明では、
「レンタル可能な機器を自動引当する機能。対象の受注情報を抽出し、物流在庫管理システムと連携し、該当する機器を引当する。」
とあり、購入して新たに在庫となった機器を対象受注に割り当てる処理であることがわかります。
このことから、「購入」機能で受注情報を識別する番号を登録し、「自動引当」機能で購入された機器を該当する受注情報へ結びつけるために利用することが明確です。
受験者が誤りやすいポイントやひっかけの注意点
-
「手動引当」と「自動引当」の区別:
手動引当は営業担当者が個別に引当する操作であり、受注情報を識別する番号を「購入」機能が利用するのは基本的に「自動引当」である。
手動引当は即時の在庫情報を参照しながら操作するため、購入情報の受注番号とは直接結びつかない。 -
「決裁」や「受注」機能との混同:
決裁機能は申請承認の役割、受注機能は契約の登録・管理の役割が主であり、「購入」機能で登録された番号を利用するのは引当処理に関連する機能であることを押さえるべき。 -
「出荷」や「満了案内」機能は購入情報とは関連性が薄い。
試験対策として覚えておくべきポイント
まとめると、本問題で問われる「購入機能が任意に登録する受注情報識別番号を利用するある機能」とは「自動引当機能」であり、その目的は「購入した機器を対象の受注情報に引当すること」です。これにより、新しく購入した機器が割り当てられるべき受注情報と正確に連携され、効率的なレンタル業務が可能になります。