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システムアーキテクト試験 2021年 午後1 問02
問2配達情報管理システムの改善に関する次の記述を読んで、設問1、2に答えよ。
K社は全国に2、000の営業所を持つ運送会社である。このたび、宅配便サービスの差別化及び再配達率の改善を図るために、既存システムである配達情報管理システム(以下、配達システムという)の改善を行うことにした。
〔現在の業務の概要〕
K社での集荷から配達までの業務の流れを図1に示す。K社では、届け先の個人又は企業(以下、届け先顧客という)の住所での受取、配達先の営業所での受取(以下、営業所受取という)に対応している。依頼主は送付伝票を記載する際に配達予定日配達予定時間帯及び受取場所を指定できる。
配達システムでは届け先顧客に配達予定連絡サービスを提供している。配達予定連絡サービスでは、送付伝票に配達予定日、配達予定時間帯が明記されており、かつ届け先顧客の電子メールアドレスが配達システムに登録されていた場合に、その日付と時間帯を該当の届け先顧客に通知する。
荷受け、配達先の営業所到着、配達開始、配達完了の各タイミングで送付伝票の伝票番号のバーコードを携帯情報端末(以下、配達端末という)で読み取ると、配達システムに、個々の荷物がどのような状況にあるのかを示すステータス(以下、配達状況という)が登録される。

(1) 集荷輸送業務 ・配達員が個人又は企業の依頼主を訪問し、集荷する。 ・集荷時には、送付伝票を貼り付け、送付伝票のバーコードを配達端末で読み取り、配達状況を“荷受け”にする。 ・配達システムに送付伝票の依頼主名、届け先顧客名、郵便番号、住所、電話番号、配達予定日及び配達予定時間帯を登録すると、配達システムが配達予定日及び配達予定時間帯を配達予定連絡サービスの対象の届け先顧客に通知する。 ・荷受け後、配達元の営業所から配達先の営業所に、配達業務の時間帯に合わせて輸送する。 (2) 仕分業務 ・配達先の営業所には、1日複数回荷物が輸送されてくる。仕分担当者は荷物の到着後に送付伝票のバーコードを配達端末で読み取り、配達状況を“営業所到着”にする。到着した荷物は当日に再配達する荷物と併せて仕分けする。荷物の仕分け後、配達員に次の便で配達するよう依頼する。 ・配達先の営業所受取を指定された場合は営業所倉庫に保管する。 (3) 配達業務 ・各配達員の担当区域は、営業所ごとに管理されており、配達システムには登録されていない。配達員は自分の担当区域を把握しており、担当区域外に配達することはない。 ・配達員は配達時に配達端末を携帯する。 ・配達業務は午前1便、午後2便の計3便行う。各便の出発時刻は決まっており担当区域にかかわらず、全配達員共通である。 ・各便の全ての荷物に対して引渡し又は不在の場合の対応を実施したら当該便の配達業務を完了とし、営業所に帰還する。 ・各便の配達順序は営業所を出発する前に配達員があらかじめ決定する。 ・配達員は仕分けされた荷物を自動車、リアカー付き自転車又は台車(以下、これらを配達車両という)を利用して配達する。配達車両に荷物を積み込む際に配達端末で配達状況を“配達開始”にする。配達にどの配達車両を使用するかは配達員が判断し、配達端末に入力する。 ・配達端末は配達システムと連携している。配達員が、次の配達先の送付伝票のバ-コードを読み取ると、配達システムが蓄えている過去の配達実績情報及び現在の交通情報に基づいて、使用する配達車両に応じた推奨移動経路と配達到着予想時刻を配達端末に提示する。 ・配達員は荷物の引渡しまでを担当する。届け先顧客に荷物の引渡しを終えたタイミングで、配達端末で配達状況を“配達完了”にする。届け先顧客に引き渡す際には社名と氏名を名乗っている。 ・配達時に届け先顧客が不在の場合、配達員は不在連絡票を投かんする。 ・1便目、2便目の配達業務完了後は配達車両から荷物を降ろさない。3便目の配達業務完了後に配達車両から荷物を降ろし、営業所倉庫に保管する。 ・配達時の移動経路、移動時間及び駐停車時の時間を配達端末が自動的に記録し、配達実績情報として配達システムに保存する。 (4) 再配達受付業務 ・営業所の再配達受付担当者は、不在連絡票を受け取った届け先顧客から再配達の依頼を電話で受け付ける。受取場所の変更は受け付けない。再配達を受け付ける際は、届け先顧客から再配達希望日、再配達希望時間帯を確認する。ただし、再配達希望日が当日で、かつ再配達希望時間帯の受付締切時刻経過後は、再配達希望は受け付けない。 ・再配達希望日が配達日当日の場合は、配達員に再配達希望時間帯を指示し、当日中に再配達してもらう
〔宅配便サービスの改善要望〕
宅配便サービスの改善に当たって依頼主と届け先顧客に要望をヒアリングした結果は、次のとおりである。
(1) 依頼主
・依頼主が誰なのかを届け先顧客に通知してほしい。
・配達が完了したことを依頼主に通知してほしい。
(2) 届け先顧客
・午前中(9時〜12時)などは配達予定時間帯の幅が広く、配達予定連絡が来ても待ち時間にストレスを感じる。待ち時間を減らしてほしい。
・帰宅して不在連絡票を確認しなくても再配達依頼できるようにしてほしい。
・荷物が届く前でも再配達依頼時と同様に配達日、配達時間帯などを変更できるようにしてほしい。また受取場所の変更もできるようにしてほしい。
・配達員として誰が来るのかが分かるようにしてほしい。
〔改善後の配達システムの新機能〕
宅配便サービスの改善要望を踏まえ、K社情報システム部のL課長は次の(1)〜(5)の新機能を配達システムに追加することにした。
(1) 配達予定時刻計算機能配達員から配達端末を用いて連携された情報を基に、推奨移動経路で移動した場合の各受取場所への配達予定時刻を計算する。
(2) 配達予定情報通知機能配達先の営業所を出発したタイミングで、配達予定時刻と①ある情報を配達予定情報として届け先顧客に通知する。
(3) 不在連絡票通知機能配達員が不在連絡票を投かんし、配達状況を“不在連絡済”にしたタイミングで、不在連絡票の内容を届け先顧客に通知する。
(4) 配達完了通知機能配達員が荷物を引渡し配達状況を“配達完了”にしたタイミングで、配達完了のお知らせを依頼主と届け先顧客に通知する。
(5) 配達条件変更機能配達希望日、配達希望時間帯及び受取場所(以下、配達条件という)の変更を配達先の営業所の担当者が電話で受け付ける。ただし、配達状況が“配達完了”又は“不在連絡済”の荷物については受け付けない。配達条件の変更を受け付ける際は、配達条件を確認し、配達システムに入力する。配達システムは、入力された配達条件に基づいて配達状況を変更する。
受取場所を配達先の営業所以外へ変更する場合は、配達日を翌日以降に指定してもらう。また、(a)の場合、かつ(b)の場合においては、配達条件の変更を受け付けない。
入力された配達条件は、配達条件変更通知として配達端末に表示される。変更後の受取場所として配達先の営業所が指定された場合は、配達状況を“営業所倉庫保管”として、営業所帰還時に荷物を降ろすことを配達員に指示する。変更後の配達希望時間帯が当該便の配達時間帯でない場合は、配達状況を“営業所戻り”とし、当該便では荷物の配達を行わないことを配達員に指示する。
〔配達システム改善後の配達業務の概要〕
配達システム改善後の配達業務の主な変更点は次のとおりである。
・配達員は営業所出発前に、配達時に使用する配達車両に加えて配達員の氏名を配達端末で配達システムに入力し、あらかじめ決めておいた配達順序の順番に送付伝票のバーコードを読み取り、配達状況を“配達開始”にする。
・次の配達先に荷物を届ける前に送付伝票のバーコードを読み取る。その際に配達条件変更機能によって配達条件が変更されていた場合は配達端末にその内容が表示されるので、その内容に従い、必要に応じて届け先顧客と調整する。配達条件変更通知がなかった場合は送付伝票に記載された受取場所に届ける。
・配達端末で配達状況を入力するケースとして次の二つを追加する。受取場所に配達員の担当区域外を指定されていた場合は、配達員が、配達状況を“担当区域外”にする。不在連絡票を投かんした場合は、配達員が、配達状況を“不在連絡済”にする。
・配達員が配達状況を“担当区域外”にした場合又は配達システムが配達状況を“(c)”に変更していた場合には、営業所に帰還した際に、これまでの配達業務では行わなかった作業を実施する。
設問1(1):〔改善後の配達システムの新機能〕について,(1)~(3)に答えよ。
各受取場所への配達予定時刻を計算するために,配達端末から配達システムに連携している情報が二つある。どのような情報か,それぞれ15字以内で述べよ。
模範解答
①:あらかじめ決めた配達順序
②:配達時に使用する配達車両
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
- 配達予定時刻の計算に必要な情報は「どの順番で配達するか」と「どの車両で配達するか」。
- これらは配達の移動経路と速度、到着予想時刻の算出に不可欠。
なぜその解答になるのか?【論理的説明】
問題文中の【改善後の配達システムの新機能】に「(1)配達予定時刻計算機能」があり、以下の記述があります。
配達員から配達端末を用いて連携された情報を基に,推奨移動経路で移動した場合の各受取場所への配達予定時刻を計算する。
また、【配達システム改善後の配達業務の概要】には、
・配達員は営業所出発前に,配達時に使用する配達車両に加えて配達員の氏名を配達端末で配達システムに入力し,あらかじめ決めておいた配達順序の順番に送付伝票のバーコードを読み取り、配達状況を“配達開始”にする。
このことからわかることは、
- 配達予定時刻の算出には、「配達順序」が必要。どの順番で配達先に向かうかが分からなければ正確な時刻を計算できません。
- さらに「配達車両」が重要。自動車、リアカー付き自転車、台車といった車両によって移動速度や経路の取り方が変わるため、配達予定時刻は車両によって変わります。
つまり、「あらかじめ決めた配達順序」と「配達時に使用する配達車両」の2つの情報を配達端末から配達システムに連携する必要があります。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけの解説
-
配達員の氏名や配達時間帯を答えてしまう誤り
- 問題は「配達予定時刻の計算に必要な情報」であり、配達員の氏名は管理目的で入力するだけで、時刻計算には直接関係ありません。
- 配達時間帯は設定されているが、時間帯は配達予定連絡や再配達調整に関わるもので、具体的な予定時刻の計算には使われません。 -
「配達先の住所」や「配達先顧客情報」を答えてしまう誤り
- 配達先住所自体は元々システムに登録済みであり、「配達端末から連携」する情報ではありません。
- 配達端末が連携する情報は、出発前に配達予定時刻を計算するために変化する情報がポイントです。 -
再配達関連の情報との混同
- 再配達受付や配達条件変更機能の要望に関する情報が多く登場し混乱しやすいですが、今回の問いは配達予定時刻の算出に必要な連携情報に限定されます。
試験対策として覚えておくべきポイント
-
配達予定時刻計算に必要な情報は「配達順序」と「配達車両」
→ 配達順序でルートの順番決定、配達車両で速度・移動時間を考慮 -
配達員は営業所出発前に、配達順序の順番でバーコードを読み取り「配達開始」とし、その際に使用配達車両と氏名を配達端末に入力することを必ず押さえる。
-
配達予定時間帯や届け先情報は既存のシステム登録情報であり、新たに配達端末から連携される情報ではない点を区別する。
-
設問で問われている「配達予定時刻計算に必要な配達端末から配達システムへの連携情報」に絞って考えること。
以上を踏まえ、配達予定時刻を的確に算出するためには、配達端末が配達システムに連携すべき情報は、
「①あらかじめ決めた配達順序」と「②配達時に使用する配達車両」
となります。
「①あらかじめ決めた配達順序」と「②配達時に使用する配達車両」
となります。
設問1(2):〔改善後の配達システムの新機能〕について,(1)~(3)に答えよ。
改善要望を満たすために通知する,本文中の下線①の情報とは何か。二つ挙げ,それぞれ10字以内で答えよ。
模範解答
①:配達員の氏名
②:依頼主名
解説
模範解答の核心キーワード整理
解答の理由と論理的説明
問題文中の配達システム改善後の新機能の記述を見ていきましょう。
-
(2)配達予定情報通知機能には次の記述があります。「配達先の営業所を出発したタイミングで、配達予定時刻と①ある情報を配達予定情報として届け先顧客に通知する。」
この①の部分が問題になっています。
-
一方、宅配便サービスの改善要望に届け先顧客からは、「配達員として誰が来るのかが分かるようにしてほしい。」
-
また依頼主からは、「依頼主が誰なのかを届け先顧客に通知してほしい。」
という要望もあります。
-
これらを踏まえ、配達システム改善後の「配達予定情報通知機能」での通知に含められるべき情報は、「配達員の氏名」と「依頼主名」です。
-
さらに、改善後の配達業務の概要では、「配達員は営業所出発前に、配達時に使用する配達車両に加えて配達員の氏名を配達端末で配達システムに入力し...」という点があり、配達員の氏名がシステムで管理され通知に活用される準備が明示されています。
以上のことから、下線①の情報として通知すべき「配達員の氏名」と「依頼主名」の2つが模範解答となっています。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ
-
「配達予定時間帯」や「配達予定日」と混同する
- これらは従来から配達システムで通知されており、本文でも既に明示されているため、①の付加的情報ではありません。
-
「配達車両の種類」や「配達順序」ではないかと考える
- 配達車両や配送ルート情報は配達員や内部管理向けの情報として扱われ、通知の対象にはなっていません。
-
「届け先顧客の情報」ではなく「配達員・依頼主の情報」だという点の理解漏れ
- 問題文の改善要望では「届け先顧客に、配達員が誰か」「依頼主が誰か」を通知することが求められています。
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
-
業務改善の要望は「依頼主」「届け先顧客」の両方から得られていることが多い。各立場の要望に応じた通知内容を正確に読み取ること。
-
配達予定情報通知は配達システムの新機能であり、既存の配達予定日や時間帯に加えて「人」に関する情報(配達員の氏名や依頼主名)を付加することが顧客サービス向上に繋がる。
-
「誰が」「いつ」「どこに」という三要素を通知することで受け取り側の安心感や利便性を高められるという視点を理解しておく。
-
問題文の改善要望の表現はサービス利用者の立場に立った具体的な要求であることを認識し、回答時には必ず「誰がそのサービス」を利用するのか(依頼主・届け先顧客)に注意すること。
以上の解説を押さえておくと、問題文に即した回答が的確にできるでしょう。
設問1(3):〔改善後の配達システムの新機能〕について,(1)~(3)に答えよ。
本文中のaの場合,かつbの場合においては,配達条件の変更を受け付けない。bに入れる適切な内容をそれぞれ20字以内で述べよ。
模範解答
a:配達希望日が当日
b:配達希望時間帯の受付締切時刻経過後
解説
模範解答の核心キーワードと論点整理
- a:配達希望日が当日
- b:配達希望時間帯の受付締切時刻経過後
- 配達条件の変更を「受け付けない」条件として設定されている事項
- 「再配達受付業務」の制約に基づく時間的制限
- 配達業務の効率性と実行可能性を考慮した現実的な制約
解答理由の論理的説明
問題文の該当部分を整理すると以下の記述があります。
ただし,再配達希望日が当日で、かつ再配達希望時間帯の受付締切時刻経過後は、再配達希望は受け付けない。
また、改善後の配達システム説明にある配達条件変更機能の制約として、
・受取場所を配達先の営業所以外へ変更する場合は、配達日を翌日以降に指定してもらう。
・配達条件の変更は、(a)の場合、かつ(b)の場合においては、配達条件の変更を受け付けない。
これにより、aに該当する「配達希望日が当日」とbに該当する「配達希望時間帯の受付締切時刻経過後」がともに成立するときは、配達条件の変更は受け付けないことになります。
この制約は、以下のような背景で合理的です。
- 当日の配達は日中の一定の時間帯に限られており、受付締切時刻を過ぎるとスケジュール調整が困難になるため
- 依頼の遅延によって配達員の配車計画やルートが大きく影響を受けるのを防ぐため
- お客様へのサービス提供の質を保持し、配達業務の混乱を防止できるため
したがって、再配達依頼や配達条件の変更は受付締切時刻内に行わなければ受け付けられず、それを超えると拒否される設計となっているのです。
受験者が誤りやすいポイントやひっかけの例
試験対策として覚えておくべきポイント
- 配達条件の変更や再配達受付には、時間的制約(当日配達希望かどうか、受付締切時刻の有無)が設けられていることを押さえる
- 「配達希望日が当日かつ受付締切時刻経過後」の組合せで受付不可となることを確実に覚える
- システム要件や業務ルールでは、業務の運用効率性や実現可能性を踏まえた現実的な制約が設けられている点を理解する
- 設問文にある「(a)の場合、かつ(b)の場合においては」という条件文の意味を正しく読み取ることが重要(論理的な「かつ」の理解)
まとめ
これらのポイントを正しく理解することで、宅配便業務のシステム改善に関する問題の設問で高得点が期待できます。
設問2(1):〔配達システム改善後の配達業務の概要〕について,(1)~(3)に答えよ。
配達員が,配達状況を入力するケースを追加することで実現できる改善要望は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
不在連絡票を確認しなくとも再配達依頼ができること
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点
- 配達状況の入力ケースの追加
- 「不在連絡票を投かんした場合は配達状況を『不在連絡済』にする」
- 受取側が「不在連絡票を確認しなくても再配達依頼できる」
- 配達状況の「不在連絡済」状態に基づく再配達受付の改善
なぜその解答になるのか(問題文の記述を引用しながら論理的説明)
問題文より、配達員が配達端末に入力する新たな配達状況として、以下が追加されました。
・「不在連絡票を投かんした場合は、配達員が配達状況を‘不在連絡済’にする」
これにより、配達システムは不在連絡票が投かんされたことを即座に把握可能になります。その結果、次のような改善が可能となっています。
〔宅配便サービスの改善要望〕
・届け先顧客:
「帰宅して不在連絡票を確認しなくても再配達依頼できるようにしてほしい」
この要望に対応し、
〔改善後の配達システムの新機能〕
(3) 不在連絡票通知機能
「配達員が不在連絡票を投かんし,配達状況を‘不在連絡済’にしたタイミングで,不在連絡票の内容を届け先顧客に通知する」
つまり、不在連絡票を受けて初めて通知されていた仕組み(問題文内で「配達システムから届け先顧客への通知」)が、配達員の配達状況入力と連動してリアルタイムに届くことになります。これにより、届け先顧客は実際の不在連絡票を手にしなくても、不在情報をキャッチアップでき、電話やWebなどでいち早く再配達依頼ができるようになったのです。
したがって、「配達員が配達状況を入力するケースを追加すること」によって「不在連絡票を確認しなくとも再配達依頼ができること」が実現されると結論づけられます。
受験者が誤りやすいポイントやひっかけになりやすい選択肢の解説
-
再配達の受付時間制限に関する誤解
問題文にて、「再配達希望日が当日かつ受付締切時刻を過ぎると受け付けない」というルールがありますが、不在連絡票の確認と配達状況の入力追加でこの制限が解除されるわけではありません。あくまで「確認がしやすくなる」ことと混同しないよう注意が必要です。 -
配達完了通知や受取場所変更など他要望と混同しやすい
改善要望は複数あり、例えば依頼主へ配達完了通知を送ることや、配達予定時刻の詳細化などもありますが、それらは「配達状況の入力ケース追加」の直接的な効果ではありません。ここで問われているのは「配達員が入力する配達状況の追加により実現する改善」です。 -
「担当区域外」などの入力追加と混同しやすい
「担当区域外」という配達状況入力も新たに追加されていますが、これは配達員の配達エリア外への配送禁止の管理であり、再配達依頼の利便性向上とは別の改善点です。
試験対策として覚えておくべきポイントや知識
以上の理解を踏まえ、「配達員が配達状況を入力する新たなケースを追加する」ことで、届け先顧客が不在連絡票を手にせずに再配達依頼ができる改善が実現することを論理的に説明できるようにしましょう。
設問2(2):〔配達システム改善後の配達業務の概要〕について,(1)~(3)に答えよ。
受取場所を配達員の担当区域外に指定された場合に,配達状況の変更を,配達員自身が実施している理由は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
各配達員の担当区域は配達システムに登録されていないから
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
- 「配達員の担当区域」
- 「配達システムに登録されていない」
- 「配達員自身が配達状況を変更する必要がある」
解答となる理由の論理的説明
問題文の業務概要、特に配達業務の記述に以下の記述があります。
「各配達員の担当区域は、営業所ごとに管理されており,配達システムには登録されていない。配達員は自分の担当区域を把握しており,担当区域外に配達することはない。」
つまり、担当区域の情報は配達員個人が把握しているものであって、配達システム側にはその情報が登録されていません。
そのため、配達システムが「受取場所が担当区域外かどうか」を自動判別できず、自動で配達状況を「担当区域外」などと変更することができません。
したがって、担当区域外への配達指定があった場合など、その判定や配達状況の変更操作は、配達員自身が配達端末で対応する必要があります。
この点により、問題文の改善後の配達業務概要にある、
「配達員が配達状況を“担当区域外”にした場合...営業所に帰還した際に...作業を実施する。」
といった記述が納得できるものになります。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけについて
試験対策のための覚えておくべきポイント・知識
- 「業務で管理されている情報が、全て配送管理システムに登録されているとは限らない」ことを理解する。
- 配達員の担当区域は組織内部で口頭や個別管理されるケースも多く、システムには反映されていない場合がある。
- 配達状況の入力や変更は、配達端末という現場の携帯機器によってリアルタイムに行われるため、現場の配達員に入力権限があることが多い。
- システム側の情報不足や判断材料がないと自動処理できないため、人的判断・入力が必要であるケースが存在する。
以上から、
「各配達員の担当区域は配達システムに登録されていないから」
という模範解答は、配達システムが担当区域の情報を持たず自動判定できないため、配達員自身が配達状況を変更する必要があるというポイントを端的に表しています。
設問2(3):〔配達システム改善後の配達業務の概要〕について,(1)~(3)に答えよ。
本文中の(c)に入れる適切な配達状況を答えよ。また,この配達状況に変更された場合に現在行っていない作業を配達員が営業所で行う必要がある。どのような作業を行うのか,作業内容を35字以内で述べよ。
模範解答
c:営業所倉庫保管
作業内容:当日の配達業務完了前に荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する作業
解説
1. 模範解答の核心キーワード・論点整理
2. 解答理由の論理的説明
問題文における【配達条件変更機能】の説明に注目します。
- 「変更後の受取場所として配達先の営業所が指定された場合は、配達状況を“営業所倉庫保管”として、営業所帰還時に荷物を降ろすことを配達員に指示する。」
- また、「変更後の配達希望時間帯が当該便の配達時間帯でない場合は、配達状況を“営業所戻り”とし、当該便では荷物の配達を行わないことを配達員に指示する。」
この説明から、(c)に入る適切な配達状況は「営業所倉庫保管」とわかります。
さらに、【配達員が配達状況を“担当区域外”にした場合又は配達システムが配達状況を“(c)”に変更していた場合】の後に行う新たな作業について、
- 「営業所に帰還した際に、これまでの配達業務では行わなかった作業を実施する。」
- 具体的には、「当日の配達業務完了前に荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する作業」です。
つまり、「営業所倉庫保管」とした荷物は、当該便で配達しないため、配達車両から荷物を降ろして倉庫で保管する必要が生じます。これが新たに配達員が営業所で行う作業です。
3. 受験者が誤りやすいポイント・注意点
-
配達状況の区別が曖昧になる点:
「営業所倉庫保管」と類似の配達状況「営業所戻り」と混同しがちです。しかし「営業所戻り」は、配達はせずにその便の配達を行わないことを意味し、「営業所倉庫保管」は実際に荷物を倉庫で保管することを示します。 -
配達員の作業の違いの理解不足:
配達業務後に荷物を降ろす必要があるのは「営業所倉庫保管」の荷物だけです。「担当区域外」は配達しなかった理由として登録するステータスで、配達車両への積み下ろしなど実作業の有無を問う問題ではありません。 -
配達状況への記録のタイミング理解の欠如:
配達端末やシステムで状況を切り替えるタイミングが複数あるため、「いつ」「どのタイミングで」荷物を保管するのかを把握しておく必要があります。
4. 試験対策として覚えておくべきポイント
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「営業所倉庫保管」は配達条件変更で受取場所が営業所へ変更された場合に用いられ、荷物を倉庫で管理するステータスである。
-
配達状況の変化に伴い、配達員は営業所帰還時に荷物を降ろして倉庫保管する作業が増えることを理解する。
-
「営業所戻り」と「営業所倉庫保管」の違いを明確に区別する。前者は配達せずに配達便から外す意味、後者は荷物自体を倉庫で保管する状態を示す。
-
配達員の配達端末操作と配達システムのステータス更新には連携があるため、配達業務の流れに沿ったステータス管理が重要であることを押さえる。
-
問題文中の記述を丁寧に読み、特に新機能追加や業務フローの変更点は論点になるため細かく理解しておくこと。
これらのポイントを踏まえておくと、配達システムの業務フロー理解や配達状況の運用が整理しやすくなり、午後問題の正答率向上につながります。