システムアーキテクト試験 2021年 午前201


システムやソフトウェアの品質に関する主張の正当性を裏付ける文書である“アシュアランスケース”を導入する目的として、適切なものはどれがか。
システムの構成品目の故障モードに着目してシステムの頼性を定性的に分析することによって、故障の原因及び影響を明らかにする。
システムやソフトウェアに関する主張と証拠を示して論理的に説明することによって、目標の品質が達成できることを示す。(正解)
障害とその中間的な原因から根源的な原因までの全てをゲート(論理を表す図記号)で関連付けた樹形図で表すことによって、原因又は原因の組合せを明らかにする
システムやソフトウェアの振る舞いに対してガイドワードを用いて分析することによって、システムやソフトウェアが意図する振る舞いから逸脱するケースを明らかにする。

解説

システムやソフトウェアの品質に関する主張の正当性を裏付ける文書である“アシュアランスケース”を導入する目的【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:アシュアランスケースは品質目標の達成を論理的に示すために、主張と証拠を体系的に整理する文書である。
  • 根拠:品質に関する主張だけでなく、それを裏付ける証拠を明確に示すことで、品質の正当性を第三者に説明可能にする。
  • 差がつくポイント:単なる故障分析や原因解析ではなく、「主張と証拠の論理的関係」を文書化する点が特徴であり、これがアシュアランスケースの本質である。

正解の理由

選択肢イは「システムやソフトウェアに関する主張と証拠を示して論理的に説明することによって、目標の品質が達成できることを示す」とあり、アシュアランスケースの定義に合致しています。アシュアランスケースは品質や安全性などの目標を達成していることを、主張(Claim)とそれを支える証拠(Evidence)を組み合わせて論理的に説明する文書です。これにより、関係者や審査者に対して品質の正当性を納得させることが可能です。

よくある誤解

アシュアランスケースは単なる故障解析や原因分析の手法ではなく、品質目標の達成を論理的に示すための文書である点を誤解しやすいです。

解法ステップ

  1. 問題文の「品質に関する主張の正当性を裏付ける文書」というキーワードに注目する。
  2. アシュアランスケースの基本的な役割を思い出す(主張と証拠の論理的説明)。
  3. 選択肢の内容を比較し、品質の正当性を示す文書として最も適切なものを選ぶ。
  4. 故障モード分析やガイドワード分析、原因解析は別の手法であることを確認する。
  5. 論理的に主張と証拠を示す選択肢イを正解と判断する。

選択肢別の誤答解説

  • ア:故障モードに着目した定性的分析はFMEA(故障モード影響解析)に該当し、アシュアランスケースの目的とは異なります。
  • :正解。主張と証拠を論理的に示し、品質目標の達成を説明するアシュアランスケースの本質を表しています。
  • ウ:ガイドワードを用いた振る舞い分析はHAZOPなどの手法であり、アシュアランスケースの目的とは異なります。
  • エ:障害原因をゲートで表すのはフォールトツリー解析(FTA)であり、アシュアランスケースの文書化とは異なります。

補足コラム

アシュアランスケースは安全性や信頼性の高いシステム開発で特に重要視されます。主張(Claim)、根拠(Argument)、証拠(Evidence)の3要素で構成され、これらを体系的に整理することで、第三者による評価や認証が容易になります。近年は自動車や航空、医療機器などの分野で導入が進んでいます。

FAQ

Q: アシュアランスケースとフォールトツリー解析の違いは何ですか?
A: アシュアランスケースは品質目標の達成を論理的に示す文書で、フォールトツリー解析は故障原因を図式的に分析する手法です。
Q: アシュアランスケースに必要な要素は何ですか?
A: 主張(Claim)、根拠(Argument)、証拠(Evidence)の3つが基本要素です。

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