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システムアーキテクト試験 2022年 午前2 問06
モジュール間のデータの受渡し方法のうち、最も低いモジュール結合度となるものはどれか。
ア:単一のデータ項目を大域的データで受け渡す。
イ:イ:単一のデータ項目を引数で受け渡す。(正解)
ウ:データ構造を大域的データで受け渡す。
エ:データ構造を引数で受け渡す。
解説
モジュール結合度についての解説
モジュール結合度とは、プログラム内の異なるモジュール(またはコンポーネント)がどの程度依存しているかを示す指標です。モジュール間の結合度が低いほど、モジュールは独立性を持ち、変更が他のモジュールに影響を与えにくくなります。結合度の種類にはいくつかのレベルがあります。
結合度の種類
- 内容結合: 一つのモジュールが他のモジュールの内部データにアクセスすること。
- 共通結合: 複数のモジュールが同じ大域データを使用すること。
- 外部結合: モジュール間で定義されたインターフェースを介してデータを受け渡すこと。
- 参照結合: モジュールが引数としてデータを受け渡すが、データへの変更が可能な場合。
- 値結合: モジュールが値を引数として受け渡すが、データへの変更はできない。
- 非結合: モジュールが全く相互作用しないこと。
この中で、最も結合度が低いのは値結合であり、引数でデータを受け渡すことが見られます。
選択肢の評価
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ア: 単一のデータ項目を大域的データで受け渡す。
- → これは共通結合に該当し、モジュール間で大域データを共有するため、結合度が高い。
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イ: 単一のデータ項目を引数で受け渡す。
- → これは値結合または参照結合の形式であり、結合度が低い。引数で受け渡すと、データのライフサイクルがモジュール自身に限定され、独立性が増す。
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ウ: データ構造を大域的データで受け渡す。
- → これも共通結合であり、複数のモジュールが同じ大域データ構造を参照するため、依存度が高い。
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エ: データ構造を引数で受け渡す。
- → これは参照結合になりますが、データ構造のサイズや内容に依存が増える場合もあるため、結合度は少し高くなる可能性がある。
まとめ
モジュール間のデータの受渡し方法において、引数で単一のデータ項目を受け渡すことは、最もモジュール結合度が低く、独立性を保つための良い方法です。そのため、正解はイです。モジュール設計の際には、可能な限り結合度を低く保つことが健全なソフトウェア構造を作るために重要です。