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システムアーキテクト試験 2022年 午前2 問10
故障の予防を目的とした解析手法であるFMEAの説明はどれか。
イ:故障を、発生した工程や箇所などで分類して分析し、改善すべき工程や箇所を特定する。
ウ:発生した故障について、故障の原因に関係するデータ、事象などを収集し、“なぜ”を繰り返して原因を掘り下げ、根本的な原因を追究する。
エ:発生した故障について、その引き金となる原因を列挙し、それらの関係を木構造で表現する。
ア:個々のシステム構成要素に起こり得る潜在的な故障モードを特定し、それらの影響度を評価する。(正解)
解説
FMEAとは
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モードおよび影響解析)は、故障の予防を目的とした体系的な手法で、特に製品やプロセスの設計段階でよく使用されます。この手法は、潜在的な故障モードを特定し、その影響を評価することで、リスクを低減し、信頼性を向上させることを目的としています。
正しい選択肢の説明
ア: 個々のシステム構成要素に起こり得る潜在的な故障モードを特定し、それらの影響度を評価する。
この選択肢が正解である理由は、FMEAの基本的なプロセスを正確に表現しているからです。具体的には、FMEAは以下のステップから成り立っています:
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故障モードの特定:
- システムの各構成要素やプロセスステップにおいて、どのような故障が発生する可能性があるかを調査します。
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影響度の評価:
- 各故障モードがシステム全体や顧客に与える影響を評価します。これには、故障がもたらす結果の深刻度、発生確率、検出可能性などを考慮することが含まれます。
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リスク優先度数(RPN):
- リスクを数値化するために、影響度、発生確率、検出可能性を掛け合わせたリスク優先度数(RPN)を計算し、優先的に対処すべき故障モードを明らかにします。
他の選択肢の説明
イ: 故障を、発生した工程や箇所などで分類して分析し、改善すべき工程や箇所を特定する。
この選択肢は、故障の発生したプロセスやステップに基づいて分析を行う手法に該当しますが、FMEAそのものの手法ではありません。FMEAは、潜在的な故障の発生を予測することでリスクを管理するために使われます。
ウ: 発生した故障について、故障の原因に関係するデータ、事象などを収集し、“なぜ”を繰り返して原因を掘り下げ、根本的な原因を追究する。
この選択肢は、根本原因分析(Root Cause Analysis, RCA)に関連しています。発生した故障の原因を深く掘り下げていく手法です。FMEAとは異なり、既に発生した故障に焦点を当てています。
エ: 発生した故障について、その引き金となる原因を列挙し、それらの関係を木構造で表現する。
この選択肢は、故障の因果関係を視覚化する手法として知られる「フィッシュボーンダイアグラム」や「因果木分析」に関連しています。こちらも発生後の分析手法で、FMEAの「故障モードの特定」とは異なるアプローチです。
まとめ
FMEA(故障モードおよび影響解析)は、潜在的な故障を事前に特定し、その影響を評価することにより、故障の予防を図るための強力な手法です。その結果、製品やプロセスの信頼性を向上させることができます。したがって、正しい選択肢は「ア」です。