システムアーキテクト試験 2022年 午前223


幾つかのサブシステムから成るシステムの信頼性に関する記述のうち、適切なものはどれか。
あるサブシステムで発生したフォールトの影響が他のサブシステムに波及することを防ぐフォールトマスクは、システムのMTBFは変化させないが、MTTRの短縮につながる。
サブシステムにフォールトが検出されたとき、再試行すると正しい結果が得られる場合もあるので、再試行はシステムのMTBFの向上とWTTRの短縮につながる。
サブシステムの稼働中に行われるフォールトの検出は、システムを停止せず行われるので、システムのMTTRは変化させないが、MTBFの向上につながる。
フォールトが発生したあるサブシステムを切り離して、待機系のサブシステムに自動で切り替えるフェールオーバは、システムのMTBFは変化させないが、MTTRの短縮につながる。(正解)

解説

幾つかのサブシステムから成るシステムの信頼性に関する記述【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:フェールオーバはシステムのMTBFを変えずにMTTRを短縮し、信頼性向上に寄与します。
  • 根拠:フェールオーバは故障したサブシステムを切り離し、待機系に切り替えることで復旧時間を短縮する仕組みです。
  • 差がつくポイント:MTBF(平均故障間隔)とMTTR(平均修復時間)の違いを正確に理解し、各対策がどちらに影響するかを見極めることが重要です。

正解の理由

選択肢エのフェールオーバは、故障したサブシステムを自動的に待機系に切り替える仕組みであり、故障発生頻度(MTBF)には影響しません。しかし、故障から復旧までの時間(MTTR)を大幅に短縮できるため、システム全体の可用性向上に効果的です。これが正解の理由です。

よくある誤解

MTBFは故障の発生頻度を示し、MTTRは故障からの復旧時間を示します。フェールオーバは復旧時間を短縮するためMTTRに影響しますが、故障頻度を変えるものではありません。

解法ステップ

  1. MTBFとMTTRの定義を確認する。
  2. 各選択肢の説明がMTBFかMTTRのどちらに影響するかを判断する。
  3. フォールトマスクや再試行、フォールト検出の効果を整理する。
  4. フェールオーバの特徴を理解し、MTBFは変わらずMTTRが短縮されることを確認する。
  5. 正解の選択肢を特定する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: フォールトマスクはフォールトの影響を隠蔽しますが、MTTRの短縮には直接つながらず、MTBFも変わりません。
  • イ: 再試行は一時的に復旧を試みますが、MTBFの向上は保証されず、WTTR(平均待機時間)という用語も誤りです。
  • ウ: フォールト検出は故障の早期発見に役立ちますが、MTBFの向上にはつながらず、MTTRも変化します。
  • エ: フェールオーバは故障時に待機系に切り替え、MTTRを短縮しつつMTBFは変えないため正解。

補足コラム

MTBF(Mean Time Between Failures)は平均故障間隔、MTTR(Mean Time To Repair)は平均修復時間を意味し、システムの可用性はこれらのバランスで決まります。フェールオーバはMTTR短縮の代表的手法で、ミッションクリティカルなシステムで多用されます。

FAQ

Q: フォールトマスクはMTTRに影響しますか?
A: いいえ、フォールトマスクはフォールトの影響を隠すだけで、修復時間(MTTR)には直接影響しません。
Q: 再試行はMTBFを向上させますか?
A: 再試行は一時的な復旧を試みるため、MTBFの向上を保証するものではありません。
Q: フェールオーバとフェイルセーフの違いは何ですか?
A: フェールオーバは待機系への切り替えで復旧時間を短縮し、フェイルセーフは故障時に安全な状態を保つ設計思想です。

関連キーワード: MTBF, MTTR, フェールオーバ, フォールトマスク, システム信頼性, 可用性, フォールト検出
← 前の問題へ次の問題へ →

©︎2025 情報処理技術者試験対策アプリ