ネットワークスペシャリスト試験(NW) 試験概要
ネットワークスペシャリスト試験(NW)は、レベル4(最上位)の高度試験として「企業・社会インフラのネットワーク全体計画から設計・構築・運用・保守・監査・コンサルティングまでをリードできるプロフェッショナル」を対象に実施される国家試験。最新シラバス Ver.4.1 では、クラウド/SDN・NFV/IoT・5G/生成 AI 活用などの動向を踏まえ、ビジネス要件を満たすネットワークの企画力と技術実装力の双方が問われる。
- 区分NW
- レベルレベル4
- 実施期春期
- 実施セクション午前Ⅰ / 午前Ⅱ / 午後Ⅰ / 午後Ⅱ
- 公式情報IPA公式ページ

- シラバスシラバス Ver.4.1(2023-12-25 公開)
試験の特徴・概要
- 業務・システム要件の把握と現行ネットワーク分析を行い、最適なネットワークシステム要件を定義する。
- アーキテクチャ設計では LAN/WAN/無線/クラウド/SDN・NFV・SD-WAN などの技術から最適構成を策定し、性能・信頼性・セキュリティ・コストを評価する。
- 導入計画を立案し、機器・配線・サービスの手配、設定、テスト仕様作成~実行・評価を統括する。
- 運用・保守計画を策定し、バックアップ/構成管理/性能監視/障害対応/セキュリティ対策を継続的に実施する。
- ネットワークシステムの性能・セキュリティ・コストを定期評価し、最新技術を踏まえた改善提案を行う。
- 個別業務システム開発に対して企画~運用フェーズまで技術的アドバイスを提供し、組織のネットワーク戦略を支援する。
試験構成
- 午前Ⅰ:共通知識(多肢選択式30問・50分)※一定条件で免除可
- 午前Ⅱ:ネットワーク技術基礎(四択25問・40分)
- 午後Ⅰ:記述式(3問中2問選択・90分)
- 午後Ⅱ:論述式(2問中1問選択・120分)
合格基準各科目 60% 以上で合格(いずれか未達で不合格)
対象者像
- 高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者
求められる主な能力・役割
- 業務システム要件収集・現行ネットワーク分析からネットワークシステム要件を定義する力
- ネットワークアーキテクチャ(有線/無線/クラウド/仮想化)の評価・設計・費用対効果分析力
- 情報セキュリティポリシーを踏まえた認証・暗号化・アクセス制御・監視設計力
- 高可用性・災害対策・バックアップを含む信頼性設計と障害復旧・性能チューニングの実践力
- 運用・保守計画/構成管理/キャパシティ管理/監視・AI 分析のマネジメント力
- 技術動向を踏まえたネットワーク更改・改善提案と業務システム開発へのコンサルティング力
求められる知識
- OSI 参照モデル、TCP/IP、主要プロトコル(HTTP/HTTPS, DNS, SMTP, BGP, OSPF など)
- LAN/WAN/無線 LAN、5G/LPWA、モバイル・リモートアクセス、IoT/M2M 通信技術
- クラウドネットワーク(VPC, VPN, DirectConnect, Load Balancer 等)、SDN・NFV・SD-WAN
- アドレス設計(IPv4/IPv6, サブネット, CIDR)とトラフィック・待ち行列理論・スループット計算
- ネットワークセキュリティ(ファイアウォール、WAF、IDS/IPS、ゼロトラスト、暗号・認証)
- 性能設計・ベンチマーク・モニタリング・AI/ビッグデータ活用によるトレンド分析
- バックアップ/冗長構成・BGP 冗長・リンクアグリゲーション・クラスタ・災害対策(DR)
- 構成管理・自動化(IaC, Ansible, Terraform 等)とライフサイクル/標準・法規制・監査対応
求められる技能
- ネットワーク利用者・開発者ヒアリング、トラフィック測定・既存環境調査と課題抽出
- 要件定義書・設計書・作業計画・レビューの作成・合意形成
- ネットワークアーキテクチャ比較評価、コスト/性能/信頼性/セキュリティのトレードオフ分析
- 機器・配線・クラウドリソースの手配、導入・設定・テスト仕様作成~実施・結果分析
- 運用手順書・バックアップ手順書・構成管理台帳の整備と継続的改善
- 監視ツール・AI 分析を活用した性能・セキュリティ監視、障害切り分け・復旧
- ネットワーク更改・増強・アップグレード計画立案とベンダ/ユーザ調整・教育
- 業務システム開発に対するネットワーク計画~運用フェーズの技術コンサルティング
攻略ポイント・学習アドバイス
- シラバス大項目を軸に学習計画を立て、要件定義→設計→構築→運用→評価→改善の流れをストーリーで理解する。
- 午後Ⅰは『要件定義・アーキテクチャ比較・セキュリティ設計・障害対応』など頻出テーマごとに解答テンプレートを準備し、時間配分を訓練。
- 午後Ⅱは自身のプロジェクト経験をベースに、要件→設計→導入→運用→評価→改善までを論理的に記述できる構成メモを作成する。
- クラウド VPC/ゼロトラスト/SD-WAN/5G/生成 AI 監視など Ver.4.1 追加トピックを整理し、最新事例で説明できるようにする。
- パケットキャプチャ・性能測定・シミュレーションツールを使い、数値根拠を示したボトルネック分析・チューニングを体験する。