エンベデッドシステムスペシャリスト 2010年 午前2 問17
問題文
回路の端子Xに図に示す幅5ミリ秒のパルス信号を入力したときに端子Yに現れる信号波形として、適切なものはどれか。ここで、RC回路の時定数τを約1ミリ秒、ゲート遅延はτに比べて十分に小さいものとする。


選択肢
ア:
イ:(正解)
ウ:
エ:
🔒 解説は解答すると表示されます
RC回路によるパルス検出【午前2解説】
正解の理由
正しい波形はイです。端子Xが立ち上がると、NANDゲートの上側入力はすぐに1になります。一方、下側入力はインバーターの出力をRC回路に通しているため、すぐには0にならず、しばらく1の状態を保ちます。
この間はNANDゲートの2入力がともに1なので、出力Yは0になります。その後、コンデンサーが放電して下側入力が0になると、出力Yは1に戻ります。つまり、Xの立ち上がり時に短い負のパルスが現れます。
時定数は約1ミリ秒で、入力パルスの幅5ミリ秒は約5時定数です。立ち下がりまでにはコンデンサーがほぼ放電しているため、Xの立ち下がり時にはYに新たなパルスは現れません。
解法ステップ
-
RC回路の初期状態を確認します。
Xが0の間、インバーターの出力は1です。コンデンサーは充電され、NANDゲートの下側入力も1になっています。 -
Xの立ち上がり直後を考えます。
NANDゲートの上側入力はすぐに1になります。インバーターの出力は0に変化しますが、コンデンサーの電圧はすぐには変わらないため、下側入力は一時的に1を保ちます。 -
NANDゲートの出力を求めます。
2入力がともに1の間はNAND出力が0です。コンデンサーの放電が進み、下側入力が0になると、NAND出力は1に戻ります。 -
Xの立ち下がり時を確認します。
5ミリ秒の間にコンデンサーはほぼ放電しています。さらに、Xが0になるとNANDゲートの上側入力も0になるため、出力Yは1のままです。
したがって、Xの立ち上がり直後に短い負のパルスが生じるイが適切です。
選択肢別の誤答解説
- ア:立ち上がり直後に変化する点は合っていますが、出力が正のパルスになっています。NANDゲートは2入力がともに1の間に出力が0になるため、負のパルスです。
- イ:Xの立ち上がり時に短い負のパルスが現れます。RC回路の応答が入力変化より遅れることと、NANDゲートの動作の両方に合っています。
- ウ:正のパルスであるうえ、入力の立ち上がりより遅れて始まり、立ち下がり後まで続く形です。実際には、入力の立ち上がり直後に出力が低下し、時定数に応じた短時間で元に戻ります。
- エ:負のパルスではありますが、パルスの開始・終了が遅すぎます。RC回路の応答遅れは時定数程度であり、5ミリ秒の入力パルスの立ち下がり後まで続く形にはなりません。
よくある誤解
- インバーターがあるから、出力波形も単純に反転すると考えること
インバーターの出力はRC回路を通っているため、下側入力は遅れて変化します。回路全体の波形は、インバーターだけでなくRC回路とNANDゲートの動作を合わせて考えます。 - コンデンサーの電圧が入力と同時に切り替わると考えること
コンデンサーの電圧は瞬時には変化しません。その性質が、短いパルスを作るポイントです。 - 入力の立ち上がりと立ち下がりの両方で、同じパルスが出ると考えること
この回路では、入力の立ち下がり時にはNANDゲートの上側入力が0になり、出力が1に保たれます。
補足コラム
時定数は、コンデンサーの電圧が変化する速さの目安です。RC回路では、電圧の変化は指数関数的に進みます。時定数の約5倍が経過すると、変化はおおむね完了しています。
この問題では入力パルス幅が約5時定数なので、立ち下がり時にはRC回路の下側入力はほぼ0になっています。パルス幅が時定数と同程度の場合は、立ち下がり時のコンデンサーの状態も出力に影響するため、さらに注意が必要です。
FAQ
なぜXが立ち上がると、出力Yは一時的に0になるのですか?
NANDゲートの上側入力はすぐに1になります。下側入力もコンデンサーのため一時的に1を保つので、2入力がともに1となり、出力が0になります。
NANDゲートの上側入力はすぐに1になります。下側入力もコンデンサーのため一時的に1を保つので、2入力がともに1となり、出力が0になります。
入力パルスの立ち下がり時に、出力が変化しないのはなぜですか?
Xが0になると、NANDゲートの上側入力が0になります。NANDゲートは一方の入力が0なら出力が1となるため、下側入力の変化にかかわらず出力は1です。
Xが0になると、NANDゲートの上側入力が0になります。NANDゲートは一方の入力が0なら出力が1となるため、下側入力の変化にかかわらず出力は1です。
ゲート遅延が十分小さいという条件は、何に関係しますか?
出力の変化をゲート自体の遅延ではなく、主にRC回路の応答によって決まるものとして考えるためです。
出力の変化をゲート自体の遅延ではなく、主にRC回路の応答によって決まるものとして考えるためです。
関連キーワード: RC回路、時定数、NANDゲート、パルス検出、コンデンサーの充放電

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