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エンベデッドシステムスペシャリスト 2020年 午後1 問01


日本円紙幣整理機に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

 A社は、金種が混在した日本円紙幣(以下、バラ紙幣という)を、操作者が指定した金種(以下、指定金種という)ごとに100枚の束にする日本円紙幣整理機(以下、整理機という)を開発している。整理機の概観を図1に、整理機のシステム構成を図2に示す。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(令和2年 午後1 問1 図1, 2)
〔整理機の動作概要〕  操作者は、バラ紙幣を投入口に入れ、束にしたい金種を1種類だけ操作部で指定して、開始ボタンを押す。整理機は、投入口のバラ紙幣を1枚ずつ取り込み、紙幣整理を行う。紙幣整理では、金種を鑑別し、鑑別結果が指定金種であれば、紙幣の裏表と向きをそろえて束の生成を行い、鑑別結果が指定金種でなければ、紙幣を返却口に排出する。束の生成では、指定金種の紙幣が100枚たまるごとに、帯状の紙を巻き付けて束にし、サーバから指示された管理番号をその帯状の紙に印字して、束排出口に排出する。  整理機は、投入口のバラ紙幣が全て取り込まれるか、紙幣整理の動作中に操作部の停止ボタンが押されると、投入口からのバラ紙幣の取込みを中止し、整理機内の全ての紙幣について紙幣整理を行った後、動作を停止する。動作の停止後、整理機内に残っている100枚に満たない紙幣は、手動で取り出すことができる。また、整理機内で紙幣が詰まった場合は、直ちに動作を停止し、紙幣詰まりの発生を操作部に表示する。操作部に表示後、整理機内に詰まっている紙幣は、手動で取り出すことができる。   〔整理機の機能概要〕  整理機のシステム構成要素の機能概要を表1に示す。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(令和2年 午後1 問1 表1)
〔機構部の構造〕  機構部は、紙幣鑑別ユニットと束ユニットを内蔵している。機構部の構造を図3に、機構部の構成要素の機能概要を表2に示す。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(令和2年 午後1 問1 図3)
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(令和2年 午後1 問1 表2)
 反転機構1及び2の動作の様子を図4に示す。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(令和2年 午後1 問1 図4)
〔搬送路を流れる紙幣の様子〕  S1通過直後の搬送路を流れる紙幣の様子を図5に示す。S1通過直後の搬送路を流れる紙幣と紙幣との間隔は、紙幣1枚分である。
〔機構部の動作概要〕  操作者がバラ紙幣を投入口に入れ、束にしたい金種を1種類だけ操作部で指定して、開始ボタンを押すと、機構部は直ちに①~⑧の動作を行う。  ① 搬送路のモータを駆動させる。次に、投入口のモータを駆動させて、投入口のバラ紙幣を1枚ずつ、紙幣の搬送方向を図5のようにして搬送路に送り出す。  ② 紙幣鑑別ユニットで搬送路を流れる紙幣を鑑別する。  ③ 鑑別結果が指定金種でない紙幣を返却口に排出する。  ④ 反転機構1及び2によって、紙幣の裏表、向きをそろえる。  ⑤ 紙幣が束ユニットに100枚たまると、帯状の紙を巻き付けて束にする。  ⑥ サーバから取得した管理番号を帯状の紙に印字して、束を束排出口に排出する。  ⑦ 投入口のバラ紙幣が全て取り込まれると、投入口のモータを停止する。  ⑧ 紙幣が搬送路からなくなると、搬送路のモータを停止する。  なお、①~⑧の動作中に操作者が操作部の停止ボタンを押すと、投入口のモータを停止し、搬送路にある全ての紙幣について紙幣整理を行った後、機構部の動作を停止する。   〔制御部のソフトウェア構成〕  制御部では、リアルタイムOSを使用する。制御部の主なタスクの処理概要を表3に示す。

設問1:整理機のシステムについて、(1)~(3)に答えよ。

設問1(1)

問題文を見る
制御部が機構部の各ユニットから受信した情報のうち、M2及びM3の制御に必要な情報を、全て答えよ。

模範解答

紙幣の裏表と向き

解説

解答の導き方

M2及びM3は、紙幣を反転機構1及び反転機構2に通すか、通さずに迂回させるかを切り替える切替器です。したがって、制御部は、紙幣を所定の状態にそろえるために、どちらの反転機構を通すべきか判断する必要があります。
表2には、紙幣鑑別ユニットが「金種、紙幣の裏表と向きを鑑別し、鑑別結果を制御部に送信する」とあります。金種の鑑別結果は、指定金種でない紙幣を返却口へ送る判断に関係します。一方、M2及びM3で反転の要否を判断するには、紙幣の現在の状態が分からなければなりません。
図4では、反転機構1及び反転機構2によって紙幣の裏表や向きが変わる様子が示されています。このため、鑑別結果のうちM2及びM3の切替え判断に必要なのは、反転によってそろえる対象となる紙幣の状態です。センサによる検出通知は、紙幣が切替器の位置に到達したタイミングを判断するために使われますが、反転の要否を決める情報は紙幣の裏表と向きです。

誤りやすいポイント

  • 鑑別結果に金種が含まれるため、金種もM2及びM3の制御に必要だと考えてしまうことがあります。金種は主に、指定金種かどうかを判断して返却口へ送るかどうかに関係します。
  • センサの検出通知だけで、反転機構を通すかどうかまで判断できると考えてしまうことがあります。センサは紙幣の位置や到達タイミングを知らせますが、紙幣の状態までは判別しません。
  • 「向き」だけ、または「裏表」だけで足りると考えないようにします。反転機構でそろえるには、紙幣の裏表と向きの両方が必要です。

FAQ

Q: センサの検出通知は、M2及びM3の制御に関係しないのですか?
A: 紙幣が切替器に到達したタイミングを知るために関係します。ただし、反転機構を通すかどうかを判断するための紙幣の状態は、紙幣鑑別ユニットから受け取ります。
Q: 金種の情報は、どの制御に使われますか?
A: 指定金種と一致するかを判定し、一致しない紙幣を返却口へ排出する制御に使われます。
Q: なぜ紙幣の裏表と向きの両方が必要ですか?
A: 反転機構によって変化するのは、紙幣の裏表だけとは限らないためです。目標の状態にそろえるには、裏表と向きの両方を把握する必要があります。

関連キーワード: センサ、状態判定、搬送制御、アクチュエータ制御

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設問1(2)

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S6を通過する紙幣の裏表と向きを図5中の㋐の状態にそろえたい。M2を動作させるのは、紙幣の状態が図5中の㋐~㋓のどの状態のときか。全て答えよ。

模範解答

㋑、㋓

解説

解答の導き方

図3では、M2を動作させると紙幣は反転機構1を通り、M3を動作させると反転機構2を通ります。したがって、㋐~㋓の各状態の紙幣が、反転機構1、反転機構2を通った後にどうなるかを順に考えます。
図4から、反転機構1は紙幣の表裏を反転させ、図柄の頭の向きを逆にします。図柄が紙幣の上側か下側かは変わりません。たとえば、㋓の状態は反転機構1を通ると㋐の状態になります。同じ変化を㋑に当てはめると、㋑は㋒の状態になります。
一方、反転機構2は紙幣の表裏を反転させ、図柄の位置を下側から上側へ変えます。図柄の頭の向きは変わりません。図4のとおり、㋒の状態は反転機構2を通ると㋐の状態になります。
この変化を各状態に当てはめると、次のようになります。
  • ㋐は、どちらの反転機構も通らなければ㋐のままです。M2は動作させません。
  • ㋑は、反転機構1を通ると㋒になり、その後、反転機構2を通ると㋐になります。したがって、M2を動作させます。
  • ㋒は、反転機構2を通れば㋐になります。反転機構1を通す必要はないため、M2は動作させません。
  • ㋓は、反転機構1を通ると㋐になります。反転機構2を通す必要はないため、M2を動作させます。
以上から、M2を動作させるのは、㋑と㋓の状態のときです。

誤りやすいポイント

  • M2は反転機構2を制御するものではありません。図3では、M2が反転機構1への経路を、M3が反転機構2への経路を切り替えます。
  • M2を動作させるかどうかは、M2を通った後の状態だけで判断せず、その後にM3を通す必要があるかも含めて考えます。㋑は反転機構1だけでは㋐にならず、続けて反転機構2を通るため、M2も動作させます。
  • ㋒は反転機構2を通れば㋐になりますが、反転機構1は不要です。㋒に対してM2を動作させると、かえって目的の状態にそろえるために必要な経路選択を誤ります。

FAQ

Q: ㋒の状態でM2を動作させないのはなぜですか?
A: ㋒は反転機構2を通るだけで㋐になります。反転機構1を通すと、反転機構2を通る前に状態が変わり、不要な反転機構1の処理を加えることになります。
Q: ㋑の状態では、なぜM2とM3の両方が必要なのですか?
A: ㋑は反転機構1を通ると㋒になり、さらに反転機構2を通ると㋐になります。図5の目標状態にするには、両方の反転機構を通す必要があります。
Q: M2を動作させる判断で、どの反転機構の動きを見るべきですか?
A: M2が切り替えるのは反転機構1への経路です。まず反転機構1を通した場合の状態変化を考え、その後、反転機構2を通す必要があるかを確認します。

関連キーワード: 状態遷移、搬送制御、センサ制御、状態判定

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設問1(3)

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指定金種の紙幣だけを投入口に1,000枚入れて開始ボタンを押す。1分後に100枚の束が最大で何束できるか。整数で答えよ。ここで、1枚の紙幣に対してS1が1を出力する時間は38ミリ秒であり、束の生成に掛かる時間及びS1の幅は無視できるものとする。また、開始ボタンが押されたとき、紙幣が束ユニットに保管されていないものとする。

模範解答

7

解説

解答の導き方

すべて指定金種の紙幣なので、投入口から取り込まれた紙幣は返却口に分けられず、束ユニットに集積されます。したがって、1分間に搬送できる紙幣の枚数から、完成する束の数を求めます。
本文では、S1が紙幣を検出する時間は1枚当たり38ミリ秒で、紙幣同士の間隔は「紙幣1枚分」とされています。紙幣がS1を通過する時間と、紙幣の間隔がS1を通過する時間は、どちらも38ミリ秒です。そのため、紙幣がS1を通過し始めてから次の紙幣が通過し始めるまでの時間は、
となります。S1の幅は無視する条件なので、これ以外の時間は加えません。
1分間は60,000ミリ秒ですから、1分間に搬送できる紙幣はおよそ
枚です。束は100枚単位で完成するため、完成する束の数は
となります。束の生成に掛かる時間は無視するので、生成時間による追加の遅れは考えません。1分間に800枚には届かないため、8束にはならず、最大で7束です。

誤りやすいポイント

  • 紙幣1枚の検出時間38ミリ秒だけで計算しないようにします。紙幣同士の間隔も紙幣1枚分なので、次の紙幣までには合計76ミリ秒掛かります。
  • 1分間に搬送できる紙幣の枚数を、そのまま束の数と取り違えないようにします。束は100枚ごとに完成するため、100で割った整数部分が束数です。
  • 1,000枚すべてを1分間で処理できると考えないようにします。投入口にある枚数ではなく、搬送周期から1分間の処理枚数を求めます。
  • 束の生成時間を加えて処理枚数を減らさないようにします。問題では、その時間は無視する条件です。

FAQ

Q: 紙幣間の間隔も38ミリ秒になるのはなぜですか?
A: 紙幣がS1を通過する時間が38ミリ秒で、紙幣間の間隔も紙幣1枚分です。同じ搬送速度で進むため、その間隔がS1を通過する時間も38ミリ秒になります。
Q: 1分間に約789枚なら、余りの紙幣はどうなりますか?
A: 100枚に満たない紙幣は束になりません。したがって、束数を求めるときは、処理枚数を100で割った整数部分を使います。
Q: 1,000枚すべてが指定金種である条件は、計算にどう関係しますか?
A: 指定金種でない紙幣が返却口に排出される場合と異なり、取り込まれた紙幣をすべて束の枚数として数えられます。ただし、1分間に処理できる枚数は搬送周期で決まります。

関連キーワード: 搬送周期、搬送速度、処理能力、スループット、整数除算

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設問2:制御部のソフトウェアについて、(1)、(2)に答えよ。

設問2(1)

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表3中のa~eに入れる適切な字句を答えよ(b, cは順不同)。

模範解答

a:束タスク b:投入口のモータ c:搬送路のモータ d:停止して e:管理番号の取得依頼

解説

解答の導き方

表3の空欄は、タスク間でどの情報を受け渡すか、また紙幣詰まりのときにどのモータを止めるかを整理すると判断できます。
  1. aとe
    表3のメインタスクには、aから通知を受けるとサーバに管理番号を問い合わせ、取得した管理番号をaに通知するとあります。つまり、aは、束を作る処理に関係する情報をメインタスクとやり取りするタスクです。
    表2では、束ユニットが100枚の紙幣を束にした後、「制御部に管理番号の取得依頼を送信」し、管理番号を取得して印字すると説明されています。また表3の束タスクは、束ユニットから情報を受け取ってメインタスクに通知し、メインタスクからの通知を束ユニットに送信する役割です。この中継を担うため、aには「束タスク」が入ります。
    次に、束タスクが束ユニットから受け取る情報を考えます。束ユニットが制御部に送るのは、印字する管理番号そのものではなく、サーバから管理番号を取得するための依頼です。したがってeには「管理番号の取得依頼」が入ります。
  2. b、c、d
    紙幣タスクは、センサによる検出を待つ間、タイマタスクに時間計測を依頼します。表3には、センサタスクから検出通知を受ける前にタイマタスクから通知を受けた場合、「紙幣詰まりの通知」をメインタスクに送るとあります。これは、紙幣が所定の時間内に次のセンサまで到達しなかったとき、紙幣詰まりと判断する仕組みです。
    紙幣詰まりの場合は、通常の停止のように機内の紙幣処理を続けるのではなく、動作を直ちに停止します。投入口から新たな紙幣が送り出されないように「投入口のモータ」を止めるとともに、搬送中の紙幣を動かさないように「搬送路のモータ」も止めます。よって、bとcにはこの二つのモータが入り、dには動作を表す「停止して」が入ります。bとcは順不同です。

誤りやすいポイント

  • aを束ユニットと考えないようにします。メインタスクと通知をやり取りするのは、束ユニットそのものではなく、束ユニットとメインタスクの間を中継する束タスクです。
  • eは、取得した管理番号ではありません。束ユニットが最初に求めるのは、管理番号を取得するための依頼です。
  • 紙幣詰まりのときに投入口のモータだけを止めるのは不十分です。搬送路上の紙幣を動かさないため、搬送路のモータも停止させます。
  • 通常の停止と紙幣詰まり時の停止を混同しないようにします。通常の停止では、機内の紙幣整理を終えてから停止しますが、紙幣詰まりでは直ちに動作を停止します。

FAQ

Q: 紙幣タスクがタイマを使うのはなぜですか?
A: 紙幣が次のセンサまで到達する時間を監視するためです。時間内に検出通知がなければ、紙幣詰まりの可能性があると判断できます。
Q: 管理番号の取得依頼は、なぜメインタスクがサーバに問い合わせるのですか?
A: 表1では、サーバとの通信を行う構成要素は制御部です。束タスクから依頼を受けたメインタスクがサーバに問い合わせ、取得した管理番号を束タスクに返します。
Q: 通常の停止でも、紙幣詰まりの場合と同じように搬送路のモータをすぐ止めますか?
A: いいえ。通常の停止では、投入口からの取込みを止めた後、整理機内にある紙幣の処理を続けます。紙幣詰まりの場合は、異常状態のため直ちに動作を停止します。

関連キーワード: リアルタイムOS、タスク間通信、タイムアウト、異常検知、モータ制御

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設問2(2)

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停止ボタンが押された場合のメインタスクの動作に関して、次の記述中のf~hに入れる適切な字句を答えよ(g, hは順不同)。    停止ボタンが押された場合に、紙幣タスクの生成・削除、及び紙幣タスクの動作から導き出される次の式が満たされたとき、メインタスクは、紙幣が搬送路からなくなったと判断して、搬送路のモータを停止する。    f数-(g数+h数)=0

模範解答

f:紙幣タスクの生成 g:搬送完了通知 h:返却完了通知

解説

解答の導き方

停止ボタンが押されたとき、メインタスクは投入口のモータを停止します。ただし、搬送路にすでに入っている紙幣の処理は続け、紙幣が搬送路からなくなってから搬送路のモータを停止する必要があります。
表3では、センサタスクから通知を受けるごとに、メインタスクが紙幣タスクを生成するとあります。したがって、紙幣タスクの生成数は、処理対象として搬送路に入った紙幣に対応します。
生成された紙幣タスクは、紙幣の経路によって、最後に次のいずれかの通知をメインタスクへ送ってから自タスクを削除します。
  • 指定金種でない紙幣は、返却口への排出が終わると「返却完了通知」を送ります。
  • 返却口に向かわない紙幣は、搬送路での処理が終わると「搬送完了通知」を送ります。
つまり、生成された紙幣タスクのうち、これらの通知をまだ送っていないタスクが残っていれば、そのタスクが扱う紙幣はまだ搬送路で処理中です。生成数から、処理を終えたタスクに対応する「搬送完了通知」の数と「返却完了通知」の数を差し引けば、処理中の紙幣タスク数が分かります。
この差が0になれば、処理中の紙幣タスクはありません。したがって、式は「紙幣タスクの生成数-(搬送完了通知数+返却完了通知数)=0」となります。

誤りやすいポイント

  • 紙幣が搬送路からなくなったかを判断するため、「搬送完了通知」だけを数えるのは誤りです。返却口へ排出された紙幣も搬送路を離れるため、「返却完了通知」も含めます。
  • 停止ボタンを押した時点で、搬送路のモータもすぐ停止すると考えないようにします。停止時に止めるのは投入口のモータであり、搬送路内の紙幣を処理し終えるまで搬送路のモータは動作を続けます。
  • 紙幣タスクの生成数と完了通知の数を混同しないようにします。生成数から完了通知の合計数を差し引くことで、まだ処理中のタスク数を表します。

FAQ

Q: なぜ「搬送完了通知」と「返却完了通知」の両方を数えるのですか?
A: 紙幣タスクは、紙幣が返却口へ向かう場合と、それ以外の場合で異なる完了通知を送ります。どちらもタスクが扱う紙幣の処理終了を示すため、両方を合計します。
Q: 差が0になることは、紙幣タスクがすべて削除されたことと同じですか?
A: 表3では、紙幣タスクは完了通知を送った後に自タスクを削除します。そのため、生成数と完了通知の合計数が一致すれば、生成された紙幣タスクはすべて処理を終えています。
Q: 紙幣タスクの生成数は、なぜ紙幣の処理数として扱えるのですか?
A: メインタスクは、センサタスクから通知を受けるごとに紙幣タスクを生成します。紙幣タスクが紙幣ごとの処理を担うため、生成数を処理対象の紙幣数に対応させられます。

関連キーワード: タスク管理、イベント通知、状態管理、カウンタ、排出制御

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設問3:整理機の機能変更について、(1)、(2)に答えよ。

 日本円の紙幣だけでなく、紙幣の幅が異なる、様々な通貨の紙幣に対応できるように、整理機の機能を変更したいので、次のような機能変更を検討する。  ・複数の通貨を同時に処理しない。  ・操作部で、通貨及び金種を指定する。  ・S1通過直後の搬送路を流れる紙幣と紙幣との間隔は、処理する紙幣のうち、最も幅が広い紙幣1枚分とする。  ・サーバは、様々な通貨に対応するための必要な情報を保存している。  ・制御部は、必要とする通貨に関連する情報をサーバから取得する。  ・制御部は、指定された通貨及び金種の紙幣鑑別用データを紙幣鑑別ユニットに送信する。  ・制御部は、紙幣鑑別ユニット、反転機構1及び2が正常に動作するように、搬送路のモータと投入口のモータの回転数を設定して、紙幣と紙幣との間隔、及び搬送速度を調整する。  ・束ユニットは、紙幣の幅及び厚さを検出して、帯状の紙を巻き付けることができる。    変更するタスクは、メインタスク及び紙幣タスクだけとした。タスクの変更概要を表4に示す。 エンベデッドシステムスペシャリスト試験(令和2年 午後1 問1 表4)

設問3(1)

問題文を見る
表4中のiに入れる適切な処理内容を、40字以内で述べよ。

模範解答

i:指定された通貨及び金種の紙幣鑑別用データを紙幣鑑別ユニットに送信する

解説

解答の導き方

  1. まず、変更後の整理機では、操作部で「通貨及び金種」を指定します。通貨が変更されたときには、メインタスクがその通貨に関連する情報をサーバから取得します。
  2. 次に、開始ボタンを受信した後の処理順序を確認します。表4では、モータを駆動する前に処理を行い、その後で搬送路のモータと投入口のモータを駆動するとしています。したがって、紙幣を搬送して鑑別を始める前に、鑑別に必要な情報を準備しておく必要があります。
  3. 紙幣鑑別ユニットは、紙幣鑑別用データを基に鑑別します。また、機能変更の説明には、制御部が「指定された通貨及び金種の紙幣鑑別用データを紙幣鑑別ユニットに送信する」とあります。よって、モータ駆動前に行う処理は、指定された通貨と金種に対応する紙幣鑑別用データを紙幣鑑別ユニットへ送信することです。

誤りやすいポイント

  • 通貨変更時の「サーバから情報を取得する処理」と、開始時に行う「紙幣鑑別用データを送信する処理」を混同しないようにします。設問の空欄は、モータ駆動前の処理です。
  • 金種だけでなく、通貨も含めて指定に対応するデータを送信します。変更後は複数の通貨を扱うため、通貨を考慮しないデータでは条件を満たしません。
  • モータを駆動して紙幣の搬送を始めてからデータを送信するのではなく、問題文に示されたとおり、モータの駆動前に送信します。

FAQ

Q: サーバから情報を取得すれば、紙幣鑑別ユニットへの送信は不要ですか?
A: 不要ではありません。サーバから情報を取得する処理と、鑑別に使うデータを紙幣鑑別ユニットへ送信する処理は別です。
Q: なぜ金種だけでなく通貨も考慮するのですか?
A: 機能変更後は様々な通貨を扱い、操作部で通貨と金種の両方を指定するためです。鑑別には、その指定に対応する紙幣鑑別用データが必要です。
Q: 紙幣を搬送し始めてからデータを送信してもよいですか?
A: いけません。表4ではデータ送信などの処理をモータ駆動前に行う流れになっています。鑑別が始まる前に、適切なデータを設定しておく必要があります。

関連キーワード: 鑑別データ、制御タスク、データ送信、処理順序

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設問3(2)

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表4中のjに入れる適切な処理内容を、50字以内で述べよ。

模範解答

j:紙幣検出をセンサタスクに依頼する場合は、指定された通貨及び金種に合わせた該当するセンサの計測時間

解説

解答の導き方

  1. 表3では、紙幣タスクがセンサタスクに紙幣検出を依頼するとき、タイマタスクにも計測時間を通知します。この時間は、紙幣が該当するセンサに到着するまでの時間より少し長く設定されます。センサから検出通知が届く前にタイマが満了した場合は、紙幣詰まりと判断するためです。
  2. 表3の注記から、センサに到着するまでの時間は、搬送速度とセンサまでの距離に依存すると分かります。機能変更後は、通貨や金種に応じてモータの回転数を設定し、搬送速度などを調整します。そのため、従来と同じ固定時間を使うのではなく、指定された通貨及び金種での搬送に合った計測時間が必要です。
  3. 変更するのはメインタスクと紙幣タスクだけです。メインタスクは、必要な情報をパラメタとして紙幣タスクに渡します。したがって、紙幣タスクはセンサ検出を依頼するたびに、その情報に応じた該当センサの計測時間をタイマタスクに通知します。
以上から、[j]には、紙幣検出を依頼するセンサについて、指定された通貨及び金種に応じた計測時間を通知する処理が入ります。

誤りやすいポイント

  • 紙幣と紙幣との間隔を、そのままタイマの計測時間と考えないようにします。タイマの目的は、依頼したセンサで紙幣が検出されるまでの時間を監視することです。
  • 紙幣の幅だけに着目しないようにします。問題では、通貨や金種に応じて搬送条件が調整されるため、計測時間もその条件に合わせる必要があります。
  • タイマタスクの処理内容を変更すると考えないようにします。変更対象はメインタスクと紙幣タスクなので、紙幣タスクからタイマタスクへ通知する計測時間を適切にします。

FAQ

Q: 計測時間は、紙幣がセンサを通過し終わるまでの時間ですか?
A: いいえ。センサタスクに検出を依頼してから、紙幣が該当するセンサに到着して検出されるまでの時間を基準にします。
Q: なぜ金種も計測時間に関係するのですか?
A: 機能変更後は、指定された通貨及び金種に応じて搬送条件を設定します。紙幣タスクは、その条件に合った計測時間を使う必要があります。
Q: センサから検出通知が届いた場合、タイマはどうなりますか?
A: 表3のとおり、タイマの計測を中止します。計測時間が満了する前に検出通知が届けば、紙幣詰まりとは判断しません。

関連キーワード: タイマ、タイムアウト、センサ検出、搬送速度、タスク間通信

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