ITパスポート 2010年 春期 問54
問題文
Xさんは、Yさんにインターネットを使って電子メールを送ろうとしている。電子メールの内容を秘密にする必要があるので、公開鍵暗号方式を用いて暗号化して送信したい。電子メールの内容を暗号化するのに使用する鍵はどれか。
選択肢
ア:Xさんの公開鍵
イ:Xさんの秘密鍵
ウ:Yさんの公開鍵(正解)
エ:Yさんの秘密鍵
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電子メールの暗号化に用いる鍵はどれか【ITパスポート 解説】
正解の理由
公開鍵暗号方式(公開鍵暗号、英: public-key cryptography)は「暗号化に使う鍵」と「復号(復号化)に使う鍵」がペアになっている方式です。一般に次の仕組みです。
- 公開鍵(public key): 誰でも入手できる鍵。相手に公開します。
- 秘密鍵(private key): 所有者だけが持つ秘密の鍵。公開鍵と対になる鍵で、復号や署名の生成に使います。
XさんがYさんに秘密(第三者に見られたくない内容)を送るときは、受け取り側であるYさんだけが復号できるように、Yさんの公開鍵で暗号化します。そうすることで、暗号文を受け取った誰が持っていても復号できず、Yさんだけが自分の秘密鍵で復号(復号化)できます。したがって、暗号化に使う鍵は ウ(Yさんの公開鍵)です。
(補足)送信者Xさんが自分の秘密鍵を使うのは「本人が送ったことを証明する」ための署名であり、内容の秘匿にはなりません。これがよくある混同の原因です。
解法ステップ
- 公開鍵暗号の基本を確認する:暗号化と復号で異なる鍵を使う(非対称暗号)。
- 「誰が復号できるべきか」を考える:メールを受け取るのはYさんなので、Yさんだけが復号できるようにする。
- 受信者だけが復号できる仕組みは「受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密鍵で復号する」方式で実現する。
- よって暗号化に使う鍵はYさんの公開鍵、選択肢では ウ が正しい。
選択肢別の誤答解説
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ア: Xさんの公開鍵
Xさんの公開鍵で暗号化すると、対応する秘密鍵(Xさんの秘密鍵)を持つ人しか復号できません。つまりXさん自身しか復号できず、Yさんには読めないため誤りです。 -
イ: Xさんの秘密鍵
Xさんの秘密鍵で暗号化(実際には秘密鍵で「暗号化」する行為は署名に相当する場合が多い)すると、対応する公開鍵(誰でも持てる)で復号や検証ができてしまいます。これだと「誰でも内容を読む」か、少なくとも秘匿性は保てず、目的の「秘密にする」にはならないため誤りです。 -
ウ: Yさんの公開鍵
Yさんだけが持つ秘密鍵で復号できるため、通信の秘匿性が保たれます。受信者だけに読ませたいという目的に合致します。したがって正解です。 -
エ: Yさんの秘密鍵
Yさんの秘密鍵は受信者自身しか持ちません。送信者がYさんの秘密鍵を使えるはずがなく、また秘密鍵を外部に渡すことはセキュリティ上あり得ません。誤りです。
よくある誤解
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「送信者の秘密鍵で暗号化すれば安全」という誤解
送信者の秘密鍵で処理すると、それは送信者の正当性(署名)を示すのに使えますが、内容が秘匿されるわけではありません。公開鍵で誰でも検証できるため、機密保持にはならない点を混同しやすいです。 -
「公開鍵は安全でなくてもよい」と思い込みがち
公開鍵は誰でも見られるものですが、正しい相手の公開鍵を使うことが重要です。なりすまし(悪意ある第三者が偽の公開鍵を配る)を防ぐ仕組み(証明書やPKI)も覚えておきましょう。 -
「公開鍵暗号は全てのデータを直接暗号化する」と考える誤解
公開鍵暗号は計算コストが高いので、実際は「データは高速の共通鍵(対称鍵)で暗号化し、その共通鍵を公開鍵で暗号化する」方式(ハイブリッド暗号)がよく使われます。
補足コラム
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ハイブリッド暗号の実際
実務のメール暗号化(例:S/MIME、PGP)では、まずメッセージ本文をAESなどの共通鍵暗号(対称鍵暗号、英: symmetric-key)で暗号化します。次に、その共通鍵だけを受信者の公開鍵で暗号化して送ります。これにより速度と秘匿性の両立ができます。 -
デジタル署名との違い
秘密にしたい場合は受信者の公開鍵で暗号化します。一方、送信者がそのメールを送ったことを証明したい(改ざんされていないことや送信者の認証)場合は、送信者の秘密鍵で署名を付けます。場合によっては両方(暗号化+署名)を組み合わせます。 -
公開鍵の入手方法
公開鍵は直接相手からもらう、企業のディレクトリで参照する、公開鍵サーバや証明書(デジタル証明書)で確認するなどの方法があります。正しい公開鍵か確認するために証明書や認証局(CA:Certificate Authority)という仕組みが使われます。
FAQ
Q: どうやってYさんの公開鍵を手に入れればいいですか?
A: 直接受け取る、公式ウェブサイトや公開鍵サーバ、企業の証明書(CA)を使って確認するなどがあります。安全性のため、第三者が改ざんしていないか確認できる方法(証明書など)を使うのが望ましいです。
A: 直接受け取る、公式ウェブサイトや公開鍵サーバ、企業の証明書(CA)を使って確認するなどがあります。安全性のため、第三者が改ざんしていないか確認できる方法(証明書など)を使うのが望ましいです。
Q: 公開鍵が盗まれたらどうなりますか?
A: 公開鍵自体は公開情報なので「盗まれる」ことの問題は小さいです。ただし、なりすましで偽の公開鍵を配布されると問題です。これを防ぐのが証明書や信頼された配布経路です。
A: 公開鍵自体は公開情報なので「盗まれる」ことの問題は小さいです。ただし、なりすましで偽の公開鍵を配布されると問題です。これを防ぐのが証明書や信頼された配布経路です。
Q: メールを暗号化するには特別なソフトが必要ですか?
A: はい。一般にはS/MIME対応のメールソフトやPGP(GnuPG)などのツールを使います。多くのメールクライアントはこれらの仕組みをサポートしています。
A: はい。一般にはS/MIME対応のメールソフトやPGP(GnuPG)などのツールを使います。多くのメールクライアントはこれらの仕組みをサポートしています。
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