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ITパスポート 2010年 春期 62


問題文

ADSL回線に関する記述として、適切なものはどれか。

選択肢

ADSLモデムから収容局までの一部区間で、光ファイバ回線を使用してもよい。
ADSLモデムから収容局までの距離に関係なく常に一定の通信速度を維持する。
アナログ電話とPCを同時利用すると、単独利用に比べて通信速度が低下する。
ダウンロード時の通信速度はアップロード時の通信速度に比べて速い。(正解)

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ADSL回線に関する記述【ITパスポート 解説】

正解の理由

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)は、下り(ダウンロード)と上り(アップロード)で通信速度の割り当てが違う方式です。下り側により多くの周波数帯域を割り当てているため、ダウンロードの速度がアップロードより速くなります。したがって、選択肢のうち正しいのは 「ダウンロード時の通信速度はアップロード時の通信速度に比べて速い」です。
(用語補足)
  • ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)…電話回線の銅線を使って高速データ通信を行う技術。下りを重視する「非対称」が特徴です。
  • 収容局(central office / telephone exchange:加入者線を集約する電話局)…加入者の回線が集められる電話会社の局所設備。

解法ステップ

  1. ADSLの名称を分解して意味を確認する(Asymmetric=非対称、下りと上りが違う)。
  2. ADSLの仕組み(周波数を分割して音声とデータを同時に扱う)を思い出す。
  3. 各選択肢について、ADSLの仕組みや物理的条件(銅線の距離、周波数分割)と照らし合わせて当てはめる。
  4. 「下り優先(非対称)」という基本性質から、が正しいと判断する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: ADSLモデムから収容局までの一部区間で、光ファイバ回線を使用してもよい。
    誤り。ADSLは加入者宅から収容局までの「最後の区間(ローカルループ)」にある銅線(電話線)上で動作する技術です。事業者側の更に先(収容局以降)のバックボーンに光ファイバが使われることは多いですが、「モデムから収容局まで」の区間に光が入ると、ADSL方式自体は成立しません(光を使うなら別の技術=FTTHなどになります)。ただし、極端に短い場合や局側設備に遠端装置が入るケースでは、収容局までの経路の一部が光ファイバ化されても、最後は銅線が残るのが一般的です。
  • イ: ADSLモデムから収容局までの距離に関係なく常に一定の通信速度を維持する。
    誤り。銅線は距離が長くなるほど信号が減衰(弱く)なり、雑音の影響が大きくなります。結果として実効速度は距離や線路品質に依存し、長距離では速度が落ちます。したがって「距離に関係なく一定」は成立しません。
  • ウ: アナログ電話とPCを同時利用すると、単独利用に比べて通信速度が低下する。
    誤り。ADSLは音声(アナログ電話)とデータを周波数分割で同じ線上に共存させます。音声は低い周波数帯、データは高い周波数帯を使うため、通常の電話通話と同時利用してもデータ速度が低下することはありません(ただし線路が非常に劣化している場合など例外はあり得ます)。電話側にはフィルタ(スプリッタ)を入れて分離します。
  • エ: ダウンロード時の通信速度はアップロード時の通信速度に比べて速い。
    正しい。ADSLは名前の通り「非対称(Asymmetric)」で、下り側により多くの帯域を割り当てているため、通常ダウンロードの速度がアップロードより速くなります。

よくある誤解

  1. 「電話を使うとADSLが遅くなる」
    → 実際には周波数分離されているため、通常は通話と同時利用で速度が落ちません。通話が原因で遅くなるケースは線路障害や機器故障などの例外的状況です。
  2. 「光ファイバが一部でも入ればADSLの速度が変わらない」
    → 収容局以降に光が入るのは普通ですが、最後の「家庭〜交換局」区間が銅線である限りADSLの特性(距離依存や非対称)は残ります。光に置き換わると別技術の話になります。
  3. 「ADSLは常に一定速度が保証される」
    → プロバイダが「最大値」を提示するのは普通です。実際の速度は距離・線路品質・利用時間帯などで変わります。

補足コラム

  • ADSLは家庭向けに普及した古典的なブロードバンド技術です。需要が下り中心(動画視聴やウェブ閲覧)である点を考慮して非対称設計になっています。
  • 後継としてはVDSL(Very-high-bit-rate Digital Subscriber Line:より高速なデジタル加入者線。短距離で高速)やFTTC/FTTH(Fiber to the Curb/Home:光ファイバを家庭まで引く技術)などが普及しています。光に置き換わると、ADSL特有の「距離で速度が落ちる」「下り重視」という性質は変わります。
  • 実務上のワンポイント:家の内配線やフィルタ(DSLフィルタ、スプリッタ)を正しく使うことで安定性が改善します。モデムやルータの再起動、ノイズ源(古い電話機・家電)チェックも効果的です。

FAQ

Q1. なぜ「非対称(Asymmetric)」なのですか?
A1. 多くの家庭利用ではダウンロード(ウェブ閲覧、動画再生)がアップロードよりデータ量が多いため、下りに帯域を多く割り当てて効率化するためです。
Q2. ADSLでも光の恩恵を受けることはありますか?
A2. はい。収容局以降やプロバイダ設備の間などは光ファイバが使われているため、広域の高速伝送や安定性に寄与します。しかし家庭側の最後の銅線区間がボトルネックになります。
Q3. 電話線が短ければどれくらい速くなる?
A3. 短いほど信号損失が少なくS/N比(信号対雑音比)が高くなり、結果として実効速度は上がります。速度は「距離」や「線路品質」「実装されているスペック(プラン)」で決まります。

関連キーワード: ADSL、非対称デジタル加入者線、収容局、ローカルループ、下り・上り、周波数分割、DSLフィルタ、VDSL、FTTC、FTTH
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