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ITパスポート 2012年 春期 48


問題文

プロジェクトの立上げ時に考慮すべき事項として、適切なものはどれか。

選択肢

組織内部における前提条件や制約条件を明確にすることは重要であるが、自身では制御できない外部環境における前提条件や制約条件を明確にすることは意味がないので行わない。
プロジェクト立上げ時には今後プロジェクトがどのように進捗していくかを想定することは難しいので、プロジェクトの目的は、どのような成果が出せそうかが見えてきた段階まで待って示す。
プロジェクト立上げに当たって、細分化された最小単位の工程ごとに具体的な予算を見積もる必要があり、これができない場合にはプロジェクトを立ち上げることはできない。
プロジェクト立上げに当たって、プロジェクトマネージャを任命し責任や権限を明確にしておく。(正解)

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プロジェクト立上げで考慮すべき事項【ITパスポート 解説】

正解の理由

プロジェクトを始める段階で重要なのは、誰が責任を持ち、どこまでの権限で動くかをはっきりさせることです。プロジェクトマネージャ(PM、Project Manager:プロジェクトを統括する責任者)を任命し、責任や権限を明確にすることで、意思決定の滞りや責任のあいまいさを防げます。これにより、役割分担が明確になり、メンバーや利害関係者(ステークホルダー、stakeholder:関係する人や組織)との調整がしやすくなります。したがって選択肢の中では が適切です。

解法ステップ

  1. 設問のキーワードを拾う:「立上げ時に考慮すべき事項」→ プロジェクトの最初の段階で必要なことを問う。
  2. 各選択肢が現実的か、プロジェクト運営上どう影響するかを考える。
  3. 「責任と権限の明確化」はプロジェクトの基本要件である点を思い出す。
  4. 誤りのある極端な主張(外部条件は意味がない、目的を示さない、予算が全工程まで細かく決まっていないと立ち上げ不可)を除外する。
  5. 最も現実的で必要なものを選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 組織内部における前提条件や制約条件を明確にすることは重要であるが、自身では制御できない外部環境における前提条件や制約条件を明確にすることは意味がないので行わない。
    → 誤り。外部環境(法律、取引先の動き、経済状況など)はプロジェクトに大きな影響を与えます。制御できなくても「前提」や「制約」を明確にしておくことでリスク管理や関係者への説明ができます。
  • イ: プロジェクト立上げ時には今後プロジェクトがどのように進捗していくかを想定することは難しいので、プロジェクトの目的は、どのような成果が出せそうかが見えてきた段階まで待って示す。
    → 誤り。プロジェクトの目的(なぜやるか、何を達成するか)は早期に明確にすべきです。目的が曖昧だと方向性が定まらず、無駄な作業や認識のずれが生じます。立上げで目的やスコープ(範囲)を定めることが必須です。
  • ウ: プロジェクト立上げに当たって、細分化された最小単位の工程ごとに具体的な予算を見積もる必要があり、これができない場合にはプロジェクトを立ち上げることはできない。
    → 誤り。詳細な見積もり(工程ごとの詳細予算)は設計や計画フェーズで行う作業です。立上げ時点では概算見積もりや主要なコスト要素を把握しておくことが重要ですが、すべての最小単位まで確定していないと立ち上げられないというのは現実的でなく、柔軟に段階を踏むのが普通です。
  • エ: プロジェクト立上げに当たって、プロジェクトマネージャを任命し責任や権限を明確にしておく。
    → 正しい。責任の所在と意思決定の権限を明確にすることは、プロジェクト推進の基礎です。プロジェクト憲章(Project Charter)などで形式的に定めることが多いです。

よくある誤解

  • 「外部要因は自分のチームでコントロールできないから考えなくてよい」
    → 実際には外部要因が原因でスケジュール遅延や仕様変更が発生することがあります。事前に想定し、対応策(リスク緩和策)を準備することが重要です。
  • 「細かい見積もりができないと立ち上げられない」
    → 最初から完璧を求める必要はありません。段階的に精度を上げる(段階ゲート方式)ことが現実的で安全です。立上げ時には概算と主要な前提を示すことがポイントです。

補足コラム

  • 「プロジェクト憲章(Project Charter)」とは:プロジェクトの公式な開始文書です。プロジェクトの目的、主要な成果物、主要なステークホルダー、プロジェクトマネージャの任命と権限などを記載します。これがあると「誰が何に責任を持つか」が明確になります。
  • 役割分担のフレームワーク:RACI(責任・承認・協議・報告の頭文字)という表があります。RACIを使うと、誰がResponsible(実行責任者)、Accountable(最終責任者)、Consulted(相談先)、Informed(報告先)かを整理できます。
  • 用語メモ:WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成)は、プロジェクトを小さな作業単位に分ける手法です。見積もりや進捗管理で使いますが、立上げ時に全部を確定する必要はありません。

FAQ

Q1: プロジェクトマネージャに必ずしも強い権限が必要ですか?
A1: 権限の程度は組織やプロジェクトによります。しかし意思決定やリソース調整がスムーズに行える最低限の権限は必要です。権限がないと責任だけ押し付けられる「責任の空洞化」が起きます。
Q2: 立上げ時に必須で決めるべき項目は何ですか?
A2: 主なものは「目的・成果物(スコープ)」「主要ステークホルダー」「プロジェクトマネージャの任命」「大まかなスケジュール・予算の概算」「主要な前提・制約(リスク)」です。
Q3: 外部制約はどうやって管理すればよいですか?
A3: まず一覧化して影響度と発生確率を評価します。重要なものには備え(代替案や契約条項)を用意し、関係者と共有しておきます。
Q4: 立上げで決めた内容は後で変えられますか?
A4: はい。プロジェクトは進行に伴い状況が変わります。重要なのは変更管理のルールを事前に決め、誰がどのレベルまで変更を承認するかを明確にしておくことです。

関連キーワード: プロジェクトマネジメント、プロジェクト立上げ、プロジェクト憲章、RACI、WBS、スコープ管理、リスク管理、ステークホルダー、計画フェーズ、責任・権限管理
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