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ITパスポート 2015年 春期 73


問題文

共通鍵暗号方式の説明として、適切なものはどれか。

選択肢

暗号化以外に、ディジタル署名にも利用される。
公開鍵暗号方式に比べて、復号速度は一般的に遅い。
代表的な方式として、RSA方式がある。
通信相手ごとに異なる共通鍵が必要である。(正解)

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共通鍵暗号方式の説明【ITパスポート 解説】

正解の理由

共通鍵暗号(共通鍵暗号方式、別名:対称暗号)は、暗号化と復号の両方に「同じ鍵(共通鍵/秘密鍵)」を使う方式です。つまり、通信の両端が同じ鍵を共有していなければ通信を復号できません。したがって「通信相手ごとに異なる共通鍵が必要である」とする選択肢が正しいです。
ポイントをかみ砕くと:
  • 共通鍵暗号は「同じ鍵を使う」方式なので、AさんとBさんが安全にやり取りするにはA–Bで使う鍵が必要です。別の相手Cとやり取りするにはA–Cで別の鍵が必要になります。
  • 多人数で安全に通信する場合、相手ごとに鍵を用意する必要があり、鍵の数が増える(詳細は補足コラム参照)。
(用語説明)共通鍵暗号:同じ鍵で暗号化と復号を行う暗号方式(英:symmetric key cryptography)。

解法ステップ

  1. 問題文で「共通鍵暗号方式」が何を意味するかを確認する。初出で「同じ鍵を使う方式」と理解する。
  2. 各選択肢を「共通鍵(対称)」と「公開鍵(非対称)」の特徴に当てはめて検証する。
  3. 実際に使われる用途や代表例(AESは共通鍵、RSAは公開鍵)を思い出し、矛盾する選択肢を排除する。
  4. 最終的に、通信相手ごとに鍵が必要である点が共通鍵暗号の特徴と一致するかを確認する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 暗号化以外に、ディジタル署名にも利用される。
    誤り。ディジタル署名は「本人性」や「否認防止」を実現する目的で使われ、通常は公開鍵暗号(非対称暗号、英:public-key cryptography)を使用します。共通鍵暗号は署名のように「公開して検証できる仕組み」を作れません。
  • イ: 公開鍵暗号方式に比べて、復号速度は一般的に遅い。
    誤り。実際は逆で、共通鍵暗号の方が計算が速く、高速に大量データを処理できます。公開鍵暗号は数学的に重い処理(例:RSAの大きな数の演算)を使うため遅めです。
  • ウ: 代表的な方式として、RSA方式がある。
    誤り。RSAは代表的な公開鍵暗号方式です。共通鍵暗号(対称暗号)の代表例はAES(Advanced Encryption Standard:高度暗号化標準)やDES(Data Encryption Standard)などです。
  • エ: 通信相手ごとに異なる共通鍵が必要である。
    正しい。共通鍵暗号は同じ鍵を双方で共有して使うため、相手ごとに鍵を用意する必要があります。よって選択肢が適切です。

よくある誤解

  1. 「鍵が1つあれば全員と安全に通信できる」
    → 1つの共通鍵を複数人で使うと、鍵が漏れたときに全員の通信が危険になります。一般的には相手ごとに鍵を分けます。
  2. 「ディジタル署名も共通鍵でできる」
    → 共通鍵は検証のために公開できないので、署名の仕組み(誰が署名したか公に検証できること)には向きません。署名は公開鍵暗号を使います。
  3. 「共通鍵は公開鍵暗号より安全じゃない」
    → 安全性は鍵の管理とアルゴリズムによります。共通鍵暗号でも鍵を適切に管理・更新すれば非常に安全に使えます。

補足コラム

  • 鍵の数の問題(鍵管理の面倒さ)
    n人が全員互いに安全に通信するために「相手ごとに異なる共通鍵」を使うと、必要な鍵の数は組合せで増えます。対となる鍵の数は
    で表されます。例えば10人なら45個の鍵が必要になります。これが共通鍵方式のスケーラビリティの課題です。
  • 実務での使われ方(ハイブリッド方式)
    実際の通信(例:インターネットのTLS)は、公開鍵暗号で安全に共通鍵を交換(または合意)し、その後の大量データは高速な共通鍵暗号(AESなど)で暗号化します。これにより、公開鍵の「安全な鍵交換」と共通鍵の「高速処理」を両立させています。
  • 代表的な共通鍵暗号の例
    AES(強力で現代的)、DES(古い。現在は安全性不足のため非推奨)、3DES(DESを強化したもの)。公開鍵暗号の代表例はRSA、楕円曲線(Elliptic Curve Cryptography; ECC)など。

FAQ

Q1: 共通鍵はどうやって安全に渡すのですか?
A1: 直接渡すのは危険なので、公開鍵暗号やDiffie–Hellman(ディフィー・ヘルマン。鍵交換アルゴリズム)などを使って安全に共有します。TLSではこれらを組み合わせます。
Q2: 共通鍵暗号はどんな場面で使われますか?
A2: 大量のデータを高速に暗号化する必要がある場面(オンライン通信、VPN、ディスク暗号化など)で広く使われます。
Q3: 共通鍵が漏れたらどうなる?
A3: その鍵で暗号化された全てのデータが復号可能になります。速やかに鍵を無効化し、新しい鍵に切り替える必要があります。
Q4: 「共通鍵暗号」と「対称暗号」は同じですか?
A4: はい。同じ意味です。英語では symmetric key cryptography と言います。

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