ITパスポート 2016年 秋期 問72
問題文
プライベートIPアドレスに関する記述として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:プライベートIPアドレスは、ICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)によって割り当てられる。
イ:プライベートIPアドレスは、PCやルータには割当て可能だが、サーバのように多数の利用者からアクセスされる機器には割り当てることはできない。
ウ:プライベートIPアドレスを利用した企業内ネットワーク上の端末から外部のインターネットへのアクセスは、NAT機能を使えば可能となる。(正解)
エ:プライベートIPアドレスを利用するためには、プロバイダ(ISP)に申請して承認を受ける必要がある。
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プライベートIPアドレス【ITパスポート解説】
正解の理由
企業内や家庭内で使うプライベートIPアドレスは、外部のインターネット上でそのまま使える「グローバル(公的)IPアドレス」とは別物です。内側の端末がインターネットに接続するには、ルータなどでNAT(Network Address Translation:ネットワークアドレス変換)を使って、プライベートIPをグローバルIPに変換する必要があります。したがって、選択肢ウ「プライベートIPを利用した企業内ネットワーク上の端末から外部のインターネットへのアクセスは、NAT機能を使えば可能となる」は正しい説明です。
解法ステップ
- 「プライベートIP」が何かを確認する。RFC1918で定められた私的利用のためのIPアドレス範囲であることを押さえる。
- 各選択肢がプライベートIPの運用実態と矛盾していないかを検討する。特に「割り当て主体」「利用可能な機器」「インターネット接続方法」「申請の要否」をチェックする。
- NATの役割(プライベート⇄グローバルの変換)を理解しているかで正誤を判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「プライベートIPはICANNによって割り当てられる」
誤り。ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers:インターネット資源の調整を行う組織)はグローバルな役割を持ちますが、プライベートIPの利用範囲(RFC1918で定める範囲そのもの)は標準文書で定められており、個々のプライベートIPの利用に対してICANNが割り当てや管理を行うわけではありません。グローバルIPはIANA→地域インターネットレジストリ(RIR)→ISPの流れで配分されます。 - イ: 「プライベートIPはPCやルータには割当て可能だが、サーバには割り当てられない」
誤り。サーバ(サービスを提供するコンピュータ)にもプライベートIPは割り当てられます。社内専用の社内サーバはプライベートIPで運用されることが一般的です。外部の不特定多数から直接アクセスさせたい場合は、グローバルIPやNATのポート転送(ポートフォワード)などの仕組みが必要になりますが、「割り当てられない」という表現は間違いです。 - ウ: 「NAT機能を使えば外部へのアクセスは可能となる」
正しい。NAT(ネットワークアドレス変換)により、プライベートIPを使用する端末がインターネットへ接続できるようになります。家庭のルータで複数の機器が同時に1つのプロバイダ割当のグローバルIPを共有する例がこれに当たります。 - エ: 「プライベートIPを使うためにISPに申請が必要」
誤り。プライベートIPはRFC1918で予約された範囲のため、個別にISPや公的機関の承認を得る必要はありません。実際に同じプライベートIPアドレスが異なる組織で使われても、公衆インターネット上ではそのままルーティングされないため衝突しません(重複しても問題にならない)。ただし、ISPを通じてグローバルIPを取得する場合や、特別な公的割当が必要な場合は別です。
よくある誤解
- 「プライベートIPは誰かに割り当ててもらわないと使えない」
→ 実際はRFC1918の範囲を使えば自由に内部ネットワークで使用できます。申請不要です。 - 「サーバだから必ずグローバルIPが必要」
→ 社内専用サーバであればプライベートIPで問題ありません。外部公開する場合のみグローバルIPやNATの設定が必要です。 - 「プライベートIPがネット上で重複すると大混乱になる」
→ プライベートIPはインターネット上で直接ルーティングされないため、別の組織と同じアドレスを使っていても通常は衝突しません。
補足コラム
- RFC1918で定義された主要なプライベートIPレンジは次の通りです。覚え方のヒントとして、家庭用ルータでよく見るのは192.168.x.xです。
- 10.0.0.0/8(10.0.0.0〜10.255.255.255)
- 172.16.0.0/12(172.16.0.0〜172.31.255.255)
- 192.168.0.0/16(192.168.0.0〜192.168.255.255)
- NATの種類の例:
- SNAT(Source NAT):内部の送信元アドレスをグローバルに変換する。家庭のインターネット接続で一般的。
- DNAT(Destination NAT)/ポートフォワード:外部から特定のポートで受けた通信を内部サーバへ転送する。
- PAT(Port Address Translation):複数内部端末の異なる通信を、ひとつのグローバルIPでポート番号を使って区別する(「IPマスカレード」と呼ばれることもある)。
- 注意点:NATを使うと内部からの通信は容易ですが、外部から内部の任意の端末へ直接接続するのは制約が出ます。外部公開が必要なサーバは、グローバルIPを割り当てるか、ポートフォワードやリバースプロキシ、DMZやVPNなどの仕組みを検討します。将来的にはIPv6の普及でパブリックIPが十分に割り当てられ、NATの必要性が減る可能性があります。
FAQ
Q. 家庭の複数端末が同じプライベートIPを使ってはいけませんか?
A. 同じ内部ネットワーク内では重複してはダメです(機器同士で衝突します)。ただし、別の家庭や別の組織で同じプライベートIP範囲を使うこと自体は問題になりません。インターネット上で直接ルーティングされないためです。
A. 同じ内部ネットワーク内では重複してはダメです(機器同士で衝突します)。ただし、別の家庭や別の組織で同じプライベートIP範囲を使うこと自体は問題になりません。インターネット上で直接ルーティングされないためです。
Q. 外部から社内サーバにアクセスさせたいときはどうすればよいですか?
A. 主に次の方法があります:サーバにグローバルIPを割り当てる、ルータでポートフォワード(DNAT)設定をする、リバースプロキシやロードバランサ経由で公開する、またはVPNで社内ネットワークに入ってもらう。
A. 主に次の方法があります:サーバにグローバルIPを割り当てる、ルータでポートフォワード(DNAT)設定をする、リバースプロキシやロードバランサ経由で公開する、またはVPNで社内ネットワークに入ってもらう。
Q. NATはセキュリティ対策になりますか?
A. 完全な防御ではありませんが、NATによって内部の直接到達が制限されるため、外部からの無条件な直接アクセスは難しくなります。ただしポートフォワードを設定すればその限りではないため、別途ファイアウォールや認証などの対策が必要です。
A. 完全な防御ではありませんが、NATによって内部の直接到達が制限されるため、外部からの無条件な直接アクセスは難しくなります。ただしポートフォワードを設定すればその限りではないため、別途ファイアウォールや認証などの対策が必要です。
関連キーワード: プライベートIP、NAT(ネットワークアドレス変換)、RFC1918、グローバルIP、ICANN、IANA、ISP、ポートフォワード、IPv6

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