ITパスポート 2017年 秋期 問53
問題文
システム開発プロジェクトにおいて、次のような決定を行うプロジェクトマネジメントの活動として、最も適切なものはどれか。
スケジュールを短縮するために、投入可能な要員数、要員投入に必要な費用、短縮できる日数などを組み合わせた案を比較検討し、スケジュールの短縮が達成できる案の中から、投入する要員数と全体の費用が最小になる案を選択した。
選択肢
ア:プロジェクトコストマネジメント
イ:プロジェクト人的資源マネジメント
ウ:プロジェクトタイムマネジメント
エ:プロジェクト統合マネジメント(正解)
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スケジュール短縮案の選択【ITパスポート 解説】
正解の理由
スケジュール短縮のために「投入要員数」「要員投入に必要な費用」「短縮できる日数」といった異なる要素を組み合わせた複数案を比較し、目的(スケジュール短縮)を満たす案の中から「要員数と全体の費用が最小になる案」を選んでいます。これは単に「費用だけ」「時間だけ」「人だけ」を扱うのではなく、プロジェクト全体の目標と複数の要素(時間・費用・人的資源)を天秤にかけて最終的な意思決定を行う活動です。こうした「全体を調整して最終決定を下す」役割はプロジェクト統合マネジメント(Project Integration Management:プロジェクト全体を統合して管理する領域)が担います。したがって最も適切なのは エ です。
※プロジェクト統合マネジメント(PMBOKの用語)とは、プロジェクト全体をまとめ、方針決定や変更管理、調整を行う領域です。
解法ステップ
- 問題文で扱っている要素を洗い出す
- 「要員数」「費用」「短縮できる日数(スケジュール)」が出てくる。
- その決定が「単一の領域」か「複数領域の調整」かを判定する
- 複数の領域(人的資源・コスト・時間)にまたがる → 統合的な判断が必要。
- 選択肢の意味を短く思い出す
- プロジェクトコストマネジメント:費用の見積・予算・管理
- プロジェクト人的資源マネジメント:要員の確保・配置・育成
- プロジェクトタイムマネジメント:工程・スケジュールの計画・管理
- プロジェクト統合マネジメント:全部を調整して意思決定、計画の作成・変更管理
- 「複数領域をまたいだ最終判断」→ エ を選ぶ
選択肢別の誤答解説
- ア: プロジェクトコストマネジメント
- 役割は主に費用の見積り・予算化・コスト管理です。費用が重要なら関係しますが、今回の行為は費用だけでなく要員数やスケジュールも含めた総合判断なので限定的です。
- イ: プロジェクト人的資源マネジメント
- 要員の調達や配置、チーム運営が中心です。要員数という要素は関係しますが、費用やスケジュールまで含めて「案を比較・選択」するのは人的資源管理だけの範囲を超えます。
- ウ: プロジェクトタイムマネジメント
- スケジュール作成や短縮手法(例:ファストトラッキングやクラッシング)を扱います。ただし、今回の判断は「短縮できるか否か」だけでなく「費用と要員数の組合せで最小を選ぶ」など、他領域との調整を伴うためタイムマネジメント単独では不十分です。
- エ: プロジェクト統合マネジメント
- 複数の観点を総合して最終的な意思決定をする責任領域です。今回のように時間・コスト・人的資源を織り交ぜて案を比較検討し、全体最適な案を選ぶのは統合マネジメントの典型的な活動です。
よくある誤解
- 「スケジュールに関する決定だからウ(タイムマネジメント)だ」と考える誤り
- スケジュールだけを見るならウでよい場合もありますが、本問は費用・要員という別の軸も比較しているため統合的な判断になります。
- 「要員を増やす=人的資源マネジメントの仕事だ」と考える誤り
- 要員投入の判断自体は人的資源マネジメントが関わりますが、要員数とコストとスケジュールのトレードオフを最終的に決めるのは統合マネジメントの役割です。
- 「コストを最小化するならコストマネジメントが正解」と単純化する誤り
- 最小化の条件が「スケジュール短縮が達成できること」など他条件付きの場合、全体を勘案して選ぶ必要があります。
補足コラム
- スケジュール短縮の代表的手法
- ファストトラッキング(fast-tracking:工程を並行化して工期短縮)
- クラッシング(crashing:追加コストをかけて要員や資源を増やし、工期を短縮)
- どちらを使うか、どれだけの費用や要員で何日短縮できるかを比較するのが、本問のような意思決定です。選ぶときは「目的(何を最優先するか)」を明確にしてください(例:期日厳守ならコスト増や要員増を許容する、費用抑制が優先なら短縮幅を限定する等)。
- 「統合マネジメント」はプロジェクトの司令塔のようなものです。各分野(時間・費用・人的資源・品質など)から情報を集め、プロジェクト全体の方針や妥協点を決めます。
FAQ
Q1: 「クラッシングの検討」だけならどれが正しいですか?
A1: クラッシング自体はスケジュール短縮(タイムマネジメント)の技法ですが、クラッシングの効果と費用を比較して案を選ぶ行為は統合的な判断になるため、問題文次第で答えは変わります。
A1: クラッシング自体はスケジュール短縮(タイムマネジメント)の技法ですが、クラッシングの効果と費用を比較して案を選ぶ行為は統合的な判断になるため、問題文次第で答えは変わります。
Q2: 「要員の調達」や「チーム編成」ならイでもいいのでは?
A2: 要員の採用・配置など実務は人的資源マネジメントの領域ですが、要員投入の是非や人数と全体費用のトレードオフを決めるのは統合マネジメントです。問題文の中心が「比較検討して最終案を選ぶ」なら統合です。
A2: 要員の採用・配置など実務は人的資源マネジメントの領域ですが、要員投入の是非や人数と全体費用のトレードオフを決めるのは統合マネジメントです。問題文の中心が「比較検討して最終案を選ぶ」なら統合です。
Q3: 試験で見分けるコツはありますか?
A3: 「複数の領域(時間・コスト・人など)をまたいで最終的な決定をする」→ 統合マネジメント(エ)を疑う、が基本ルールです。
A3: 「複数の領域(時間・コスト・人など)をまたいで最終的な決定をする」→ 統合マネジメント(エ)を疑う、が基本ルールです。
関連キーワード: プロジェクトマネジメント、統合マネジメント、スケジュール圧縮、クラッシング、ファストトラッキング、コスト管理、人的資源管理、意思決定、トレードオフ、変更管理

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