ITパスポート 2018年 春期 問97
問題文
ディジタルフォレンジックスの目的として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:自社システムを攻撃して不正侵入を試みるテストを実施して、脆弱性を発見する。
イ:情報漏えいなどの犯罪に対する法的証拠となり得るデータを収集して保全する。(正解)
ウ:ディジタルデータに対して定期的にウイルスチェックを行い、安全性を確認する。
エ:パスワード認証方式からバイオメトリクス認証方式に切り替えて、不正侵入のリスクを低減する。
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ディジタルフォレンジックスの目的【ITパスポート 解説】
正解の理由
ディジタルフォレンジックスとは、ディジタルデータ(電子的な情報)を対象に、事実を明らかにするために証拠を収集・解析・保全する技術と手続きです。ここで重要なのは「法的に使える証拠」を扱う点です。したがって、選択肢の中で「情報漏えいなどの犯罪に対する法的証拠となり得るデータを収集して保全する。」とある イ が目的として適切です。
ポイントを整理すると:
- フォレンジックスは出来事(例:不正アクセス、情報漏えい)の原因や経路を突き止め、裁判や社内調査で使える形でデータを残すことが目的です。
- 単に攻撃を試す、ウイルス検査を定期的に行う、認証方式を変えるといった行為は、フォレンジックスの「証拠収集・保全」という本質とは異なります。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを拾う:「目的」「ディジタルフォレンジックス」→ 証拠収集・解析・保全が関係するはずと考える。
- 各選択肢が「証拠の収集・保全・解析」に該当するかを判定する。
- 法的証拠性(裁判や捜査で使えるか)という視点を重視して選ぶ。
この順で考えれば、証拠を収集・保全すると明示している イ が正しいと分かります。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 自社システムを攻撃して不正侵入を試みるテストを実施して、脆弱性を発見する。
→ これは「ペネトレーションテスト(penetration test:侵入を想定して脆弱性を検査する試験)」や脆弱性診断の説明です。フォレンジックスは事後の証拠収集が目的なので該当しません。 -
イ: 情報漏えいなどの犯罪に対する法的証拠となり得るデータを収集して保全する。
→ フォレンジックスの定義そのものです。証拠の改ざん防止や証拠能力の保持(chain of custody:証拠の連鎖管理)も含みます。 -
ウ: ディジタルデータに対して定期的にウイルスチェックを行い、安全性を確認する。
→ これは「ウイルススキャン/マルウェア対策」の説明です。予防や検出の活動であり、証拠保存が主目的ではありません。 -
エ: パスワード認証方式からバイオメトリクス認証方式に切り替えて、不正侵入のリスクを低減する。
→ これは「認証方式の改善(アクセス制御の強化)」であり、セキュリティ対策の一つです。フォレンジックスの目的とは異なります。
よくある誤解
-
「フォレンジックス=不正を止める活動」と思う誤解
→ フォレンジックスは不正を防ぐ(予防)活動ではなく、発生後に証拠を集めて事実関係を明らかにする活動です。予防はセキュリティ対策(例:認証強化、ウイルス対策)です。 -
「ログを見るだけでフォレンジックス完了」と考える誤解
→ ログ解析は重要ですが、証拠として扱う場合は改ざん防止や保全手順(例えば日付管理、ハッシュ値で整合性を確認する等)が必要です。単なる閲覧は不十分です。
補足コラム
フォレンジックスでよく出てくる用語(簡単に説明):
- チェーン・オブ・カストディ(chain of custody:証拠の連鎖管理)
→ 誰がいつデータに触ったかを記録して、証拠の信頼性を保つ手続きです。 - 画像化(イメージ取得)
→ 対象のディスクや記憶媒体をそのままコピー(ビット単位)して解析用の複製を作る作業です。元データに直接手を加えないための基本手法です。 - ハッシュ関数(hash function)
→ データの「指紋」を作る数学的な操作。解析前後でハッシュ値が一致すればデータが改ざんされていないことの証明になります。
実務では、フォレンジックスは法執行機関や弁護士と連携して進めることが多いです。証拠能力を保つ手順を欠くと、せっかくの解析結果が裁判で使えないことがあります。
FAQ
Q1: フォレンジックスは誰が行いますか?
A1: 企業内ならセキュリティ担当者やIT部門が初動対応を行い、専門的な解析はフォレンジック専門家(外部の事業者や捜査機関)が行うことが多いです。
A1: 企業内ならセキュリティ担当者やIT部門が初動対応を行い、専門的な解析はフォレンジック専門家(外部の事業者や捜査機関)が行うことが多いです。
Q2: すぐに電源を切った方が良いですか?
A2: 状況によります。電源を切ることで揮発性の情報(メモリの内容)が失われる一方、不適切に操作すると証拠が改変される恐れもあります。初動は定められた手順に従うか、専門家に相談してください。
A2: 状況によります。電源を切ることで揮発性の情報(メモリの内容)が失われる一方、不適切に操作すると証拠が改変される恐れもあります。初動は定められた手順に従うか、専門家に相談してください。
Q3: フォレンジックスでどんなデータが証拠になりますか?
A3: ログ、メール、ファイルのタイムスタンプ、ハードディスクやSSDの内容、ネットワークトラフィック記録、スマホのデータなど、多様な電子データが証拠になります。
A3: ログ、メール、ファイルのタイムスタンプ、ハードディスクやSSDの内容、ネットワークトラフィック記録、スマホのデータなど、多様な電子データが証拠になります。
Q4: フォレンジックスとセキュリティ対策の関係は?
A4: セキュリティ対策は「起きないようにする」活動、フォレンジックスは「起きた後に事実を明らかにする」活動です。両方が揃って初めて組織の安全性が高まります。
A4: セキュリティ対策は「起きないようにする」活動、フォレンジックスは「起きた後に事実を明らかにする」活動です。両方が揃って初めて組織の安全性が高まります。
関連キーワード: ディジタルフォレンジックス、電子証拠、証拠保全、チェーンオブカストディ、イメージ取得、ハッシュ値、インシデント対応、ログ解析、ペネトレーションテスト、脆弱性診断

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