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ITパスポート 2020年 秋期 12


問題文

A社では、設計までをA社で行ったプログラムの開発を、請負契約に基づきB社に委託して行う形態と、B社から派遣契約に基づき派遣されたC氏が行う形態を比較検討している。開発されたプログラムの著作権の帰属に関する規定が会社間の契約で定められていないとき、著作権の帰属先はどれか。

選択肢

請負契約ではA社に帰属し、派遣契約ではA社に帰属する。
請負契約ではA社に帰属し、派遣契約ではC氏に帰属する。
請負契約ではB社に帰属し、派遣契約ではA社に帰属する。(正解)
請負契約ではB社に帰属し、派遣契約ではC氏に帰属する。

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著作権の帰属(請負契約と派遣契約の比較)【ITパスポート 解説】

正解の理由

著作権(copyright:創作した人に与えられる権利。複製や改変の許可などをコントロールする権利)の帰属は、契約形態ごとに法律上の「通常の扱い」があります。
  • 請負契約(work contract:成果物の完成を請け負う契約)では、成果物を実際に制作した側(請負人=B社)が著作権を持ちます。
  • 派遣契約(dispatch contract:労働者を一定期間、他社に派遣して働かせる契約)では、作業を指示し実質的な業務の範囲を決める依頼者側(この問題ではA社)の業務の一部として作成されたと扱われ、著作権は依頼者であるA社に帰属するのが一般的です。
以上から、この設問での正しい選択肢は (請負ならB社、派遣ならA社)となります。

解法ステップ

  1. 契約の種類を確認する。問題は「請負」と「派遣」の比較。
  2. 各契約における「誰が成果を作ったか」と「誰の業務範囲か」を考える。
    • 請負:成果物制作は請負側の責任で、制作主体は請負人(B社)。
    • 派遣:派遣者(C氏)は派遣先(A社)の指揮のもと働き、制作は派遣先の業務の一環とみなされる。
  3. 法律上の一般ルールを当てはめる。請負は請負人が著作権者、派遣は依頼者(指揮監督する側)が著作権を有するという扱いを適用する。
  4. 選択肢と照らし合わせ、該当するものを選ぶ(この問題では )。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「請負も派遣もA社に帰属」
    誤り。請負では成果物を作った請負人(B社)に著作権が帰属するのが通常です。支払先や依頼先だからといって自動的に依頼者に帰属するわけではありません。
  • イ: 「請負はA社に帰属、派遣はC氏に帰属」
    誤り。請負で制作したのはB社の責任であり、A社に帰属するのは逆です。派遣についても、実務上は依頼者(A社)が著作権を持つケースが多く、個人(C氏)に自動的に帰属するとは限りません。
  • : 「請負はB社に帰属、派遣はA社に帰属」
    正しい。請負では成果を作った請負人B社の権利となり、派遣では派遣先A社の業務指揮下で作られるためA社が権利を持つのが一般的です。
  • エ: 「請負はB社に帰属、派遣はC氏に帰属」
    誤り。請負部分は合っていますが、派遣でC氏(実作成者)に帰属するとは限りません。派遣された状態ではA社の業務指揮下で制作されるため、依頼者であるA社が持つ場合が多いです。

よくある誤解

  1. 支払先が著作権者だと思う
    • 「誰にお金を払ったか」と「誰が著作権を持つか」は別です。契約形態と制作責任が重要です。
  2. 派遣=個人の権利が必ず残ると思う
    • 派遣では作業が派遣先の業務として行われるため、派遣先に帰属する場合が一般的です。個人(C氏)が自動的に著作権を得るわけではありません。
  3. 著作権と著作者人格権を混同する
    • 著作権は利用権(複製・改変の可否等)を含みます。著作者人格権は作者の人格に関する権利で、譲渡できない点が特徴です(下の補足を参照)。

補足コラム

  • 実務では「契約で明確に定める」ことが最も大事です。問題文のように「契約で規定がない」場合は上の一般ルールが適用されますが、企業間のトラブル防止のため、著作権の帰属や利用範囲(専属的か非専属的か、期間、改変の可否など)を契約書に明記します。
  • 「著作権譲渡(譲渡)」と「利用許諾(ライセンス)」の違い:譲渡は権利そのものを移す行為。利用許諾は一定の範囲で使える権利を与えるだけ。実務では「A社に帰属する」とするか「A社に使用を許可する(独占許諾)」かで企業の自由度が変わります。
  • 著作者人格権(moral rights):作者の名誉や氏名表示などに関する権利で、原則として譲渡できません。ただし、契約で行使を制限すること(例えば著作者が表示を求めない等)は可能な場合があります。法律相談が必要なケースも多いです。

FAQ

Q. 派遣でもB社が著作権を持つことはあるか?
A. あり得ます。派遣でも「制作の指揮や業務範囲がB社の業務として扱われる」ような場合や、契約で明確にB社に帰属すると定めていればB社が持ちます。実務では契約内容が決定的です。
Q. 個人C氏の「著作者人格権」はどうなる?
A. 著作者人格権は著作者(C氏)に残ることが多く、その点は譲渡できません。たとえ著作権(財産権)が会社に移っても、氏名表示や同一性保持など人格権は別途配慮が必要です。
Q. どう契約すべきか?
A. 安全策は次のいずれかを明記することです:
  • 著作権をA社に譲渡する(譲渡契約)
  • A社に対して包括的・独占的な利用許諾を与える(ライセンス)
  • 著作者人格権の行使をどの範囲で制限するかを合意する(注意が必要)

関連キーワード: 請負契約、派遣契約、著作権、著作者人格権、著作権譲渡、利用許諾
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