ITパスポート 2022年 問86
問題文
情報セキュリティにおけるリスクアセスメントを、リスク特定、リスク分析、リスク評価の三つのプロセスに分けたとき、リスク分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:受容基準と比較できるように、各リスクのレベルを決定する必要がある。(正解)
イ:全ての情報資産を分析の対象にする必要がある。
ウ:特定した全てのリスクについて、同じ分析技法を用いる必要がある。
エ:リスクが受容可能かどうかを決定する必要がある。
🔒 解説は解答すると表示されます
リスクアセスメントにおけるリスク分析とは?【ITパスポート 解説】
正解の理由
リスク分析は、特定したリスクの「大きさ」を明らかにする工程です。ここで言う大きさとは、発生する確率(起こりやすさ)と発生したときの影響(被害の程度)を組み合わせた「リスクレベル」です。リスクレベルを決めることで、それを事前に定めた受容基準(リスクを許容できるか判断する基準:acceptance criteria)と比較できます。したがって、選択肢ア「受容基準と比較できるように、各リスクのレベルを決定する必要がある。」が最も適切です。
(用語補足)
- リスクアセスメント(risk assessment:リスクの特定・分析・評価を通じて危険度を把握すること)
- 受容基準(acceptance criteria:どの程度のリスクなら受け入れられるかを示す基準)
- リスク分析(risk analysis:リスクの発生確率と影響を見積もり、レベル化する工程)
解法ステップ
- 問題文で「リスク特定、リスク分析、リスク評価」の順序を確認する。
- 各工程の役割を思い出す。
- リスク特定:何がリスクかを見つける工程。
- リスク分析:それぞれのリスクの大きさ(レベル)を見積もる工程。
- リスク評価:受容基準と比較して受容するか対策するか決める工程。
- 選択肢を当てはめる。リスクのレベルを決める内容は「分析」に該当するので、アを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア:適切。リスク分析の主な目的は「確率と影響を評価してリスクレベルを決める」ことです。決めたレベルは受容基準と比較して、次の評価段階で判断します。
- イ:誤り。全ての情報資産(情報資産=業務で使うデータやシステムなど価値のあるもの)を無条件に対象にする必要はありません。重要度の高い資産から優先的に行うことが一般的です(スコープ設定や優先順位付けが必要)。
- ウ:誤り。すべてのリスクに同じ分析技法を使う必要はありません。リスクの性質や利用可能なデータに応じて、定性的(※後述)/定量的な手法やマトリクス、計算式を使い分けます。
- エ:誤り。リスクが受容可能かどうかを決めるのは「リスク評価」の工程です。分析は判断材料(リスクレベル)を作る段階に当たります。
よくある誤解
- 「リスク分析=リスク評価」と混同する。
- リスク分析はレベルを算出する段階。評価は受容か対策かを決定する段階です。
- 「全資産を必ず分析しなければならない」と考える。
- 重要度の低い資産はスコープから外れたり、簡易評価で済ませたりします。限られた資源で効率よく実施するのが現実的です。
- 「同じ手法で全てを比較すればよい」と思い込む。
- 定量的に数値化できるものと、専門家の判断でしか評価できないものがあります。使い分けが必要です。
補足コラム
リスク分析の具体的手法の例です。
-
定性的分析(qualitative analysis:質的分析)
- リスクの発生確率や影響を「高・中・低」などランクで評価します。手早く優先順位を付けるのに便利です。
- 例:リスクマトリクス(縦:影響、横:確率を組み合わせる図)
-
定量的分析(quantitative analysis:量的分析)
- 金額や回数で数値化して評価します。例えば年間損失期待値(ALE)を計算する方法があります。
- 代表例:SLE(Single Loss Expectancy:1回当たりの損失期待値)、ARO(Annualized Rate of Occurrence:年間発生回数想定)を使って と求めます。
-
混合アプローチ
- まず定性的にスクリーニングし、重要なリスクだけ定量分析する、という現実的な進め方がよく使われます。
受容基準の決め方は組織ごとに異なります。経営者のリスク許容度(リスクアペタイト)やコスト対効果(対策費用と残存リスクの比較)を基に決定します。
FAQ
Q1. リスク分析で「レベル」を出すって具体的に何をするのですか?
A1. 発生確率と影響(時間、金額、業務停止など)を評価し、それらを組合せて「高・中・低」や数値で表します。これが「レベル」です。
A1. 発生確率と影響(時間、金額、業務停止など)を評価し、それらを組合せて「高・中・低」や数値で表します。これが「レベル」です。
Q2. 定性的と定量的、どちらを使えば正解ですか?
A2. 目的とデータ次第です。早く優先順位を決めたいときは定性的、投資判断(対策費用の可否)を明確にするなら定量的が有効です。両方組み合わせるのが現実的です。
A2. 目的とデータ次第です。早く優先順位を決めたいときは定性的、投資判断(対策費用の可否)を明確にするなら定量的が有効です。両方組み合わせるのが現実的です。
Q3. リスク分析の結果だけで対策を決めてよいですか?
A3. いいえ。分析は判断材料です。最終的に受容するか対策するかはリスク評価の段階で、経営的判断やコスト見積もりを含めて決定します。
A3. いいえ。分析は判断材料です。最終的に受容するか対策するかはリスク評価の段階で、経営的判断やコスト見積もりを含めて決定します。
関連キーワード: リスクアセスメント、リスク分析、受容基準、リスク評価、リスクマトリクス、定性的分析、定量的分析、SLE、ARO、年間損失期待値、情報資産、リスク優先順位、リスク受容性

\ せっかくなら /
ITパスポートを
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

