ITパスポート 2022年 問99
問題文
1台の物理的なコンピュータ上で、複数の仮想サーバを同時に動作させることによって得られる効果に関する記述a~cのうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
a 仮想サーバ上で、それぞれ異なるバージョンのOSを動作させることができ、物理的なコンピュータのリソースを有効活用できる。
b 仮想サーバの数だけ、物理的なコンピュータを増やしたときと同じ処理能力を得られる。
c 物理的なコンピュータがもつHDDの容量と同じ容量のデータを、全ての仮想サーバで同時に記録できる。
選択肢
ア:a(正解)
イ:a, c
ウ:b
エ:c
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1台の物理的なコンピュータ上で、複数の仮想サーバを同時に動作させることによって得られる効果に関する記述a~cのうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。【ITパスポート 解説】
正解の理由
正しい記述は ア の「a」のみです。
- a は正しいです。仮想サーバ(仮想化されたサーバ:1台の物理的なコンピュータ上にソフトウェアで作った複数の仮想的なサーバ)は、それぞれに異なるOS(OS:Operating System=基本ソフト)を入れて動かせます。これにより、1台の物理マシンのCPUやメモリ、ディスクなどのリソースを有効に使えます(未使用のリソースを他の仮想サーバが使えるため)。
- b は誤りです。仮想サーバを増やしても、物理マシン全体の処理能力は物理的なCPUやメモリの合計で決まります。仮想化は「分割」や「共有」をする仕組みであって、物理マシンを増やしたときと同じだけ処理能力が増えるわけではありません。
- c は誤りです。物理的なHDD(HDD:ハードディスクドライブ=データ保存装置)全体の容量と同じサイズのデータを「すべての仮想サーバで同時に」完全に保存することは基本的にできません。仮想サーバのディスクは物理ディスク上のファイルとして実現されるため、実際に保存できるデータ量は物理ディスクの総容量に制約されます(薄い割当て=thin provisioning等の仕組みで割当は見かけ上増やせますが、物理容量以上のデータを同時に確保できるわけではありません)。
解法ステップ
- 「仮想サーバ」が何かを確認する:1台の物理機で複数の仮想的なサーバを動かす技術と理解する。
- 各選択肢が仮想化の仕組みと矛盾しないかを考える:
- a:仮想化は別々のOSを動かせるか? → はい(正しい)。
- b:仮想サーバの数で物理マシンを増やしたのと同じ性能になるか? → いいえ(物理リソースは共有される)。
- c:各仮想サーバが物理HDDと同じ容量のデータを同時に持てるか? → 基本的にいいえ(物理容量の制約)。
- その結果から、正しいものだけを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア: a
正しい。仮想化により異なるバージョンのOSを同一物理機上で独立に動かせ、未使用リソースを活用して効率化できる。 -
イ: a, c
誤り。a は正しいが c が誤り。c は「同じ容量を全ての仮想サーバで同時に記録できる」と主張しているが、物理ディスク容量には限りがあり、実際に同時保存できる合計は物理容量を超えられない(thin provisioningなどの仕組みで割り当ては仮想的に増えるが、実体の保存容量は物理ディスクに依存する)。 -
ウ: b
誤り。b は「仮想サーバの数だけ物理機を増やしたのと同じ処理能力が得られる」としているが、仮想化は物理リソースを分け合う仕組みなので、同じ性能を自動で生むわけではない。例えばCPUやメモリがボトルネックになると性能は落ちる。 -
エ: c
誤り。c 単独でも誤り。仮想サーバそれぞれが物理HDDと同等のデータを「同時に」保存するには、物理的な保存領域がそれだけ必要で、1台のHDD容量で複数台分を同時に収めることはできない。
よくある誤解
-
「仮想化すると性能が倍々になる」
→ 誤解です。仮想化はリソースの有効利用と管理の柔軟性を高めますが、物理的なCPU・メモリ・ディスクの総量以上に処理能力が増えるわけではありません。 -
「仮想ディスクの割当量 = 実際に使える物理容量」
→ 誤解です。管理画面で仮想ディスクに大きなサイズを割り当てても、物理ディスクの空きがなければ実際にその分のデータは保存できません(thin provisioningでは割当は柔軟だが、実データは物理容量に依存します)。 -
「仮想サーバは物理環境と完全に同じ振る舞いをする」
→ 一部の性能やデバイス挙動は異なります。例えばI/O(入出力)性能や特殊なハードウェア利用は制約を受けることがあります。
補足コラム
- ハイパーバイザ(hypervisor:仮想化を管理するソフト)は、仮想サーバごとにCPU時間やメモリ、ディスクI/Oなどを割り当てます。ハイパーバイザには物理に近い「Type1」と、OS上で動く「Type2」があります。
- コンテナ(container:軽量な仮想化技術)は、OSのカーネル(核となる部分)を共有してプロセスを分離する仕組みで、VMに比べて起動が速く軽量です。ただし完全な別OSの実行はできません(同一カーネルで動作する必要があります)。
- thin provisioning(シン・プロビジョニング)という機能は「見かけ上」は大きなディスクを割り当てられますが、物理的に必要なデータ量が増えれば最終的には物理ストレージを増設する必要があります。
FAQ
Q1: 仮想サーバはいくつまで作れる?
A1: 理論上はソフトウェアの制限や管理の制限で決まりますが、実用上は物理マシンのCPU・メモリ・ディスクなどのリソースで制限されます。
A1: 理論上はソフトウェアの制限や管理の制限で決まりますが、実用上は物理マシンのCPU・メモリ・ディスクなどのリソースで制限されます。
Q2: 仮想化すると電気代は下がる?
A2: 一般に下がる傾向にあります。複数の物理サーバを1台にまとめれば、電力や冷却、スペースのコストが節約できます。ただし集中すると高性能な物理機が必要になる場合もあります。
A2: 一般に下がる傾向にあります。複数の物理サーバを1台にまとめれば、電力や冷却、スペースのコストが節約できます。ただし集中すると高性能な物理機が必要になる場合もあります。
Q3: 同じ物理機で別OSを動かす例は?
A3: 例えばWindows ServerとLinuxを同じ物理サーバ上で別々の仮想マシンとして同時に動かし、別々のサービスを提供する、という使い方が典型です。
A3: 例えばWindows ServerとLinuxを同じ物理サーバ上で別々の仮想マシンとして同時に動かし、別々のサービスを提供する、という使い方が典型です。
Q4: thin provisioningって安全?
A4: 便利ですが注意が必要です。割当量が見かけ上は大きくても実体の保存容量は有限なので、物理容量が不足するとサービス停止のリスクがあります。監視と容量計画が重要です。
A4: 便利ですが注意が必要です。割当量が見かけ上は大きくても実体の保存容量は有限なので、物理容量が不足するとサービス停止のリスクがあります。監視と容量計画が重要です。
関連キーワード: 仮想化、ハイパーバイザ、仮想ディスク、オーバーコミット、thin provisioning、コンテナ、I/O性能、リソース共有

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