ネットワークスペシャリスト 2011年 午前2 問05
問題文
図は,OSPFを使用するルータa〜iのネットワーク構成を示す。拠点1と拠点3の間の通信はWAN1を、拠点2と拠点3の間の通信はWAN2を通過するようにしたい。xとyに設定するコストとして適切な組合せはどれか。ここで、図中の数字はOSPFコストを示す。


選択肢
ア:
イ:(正解)
ウ:
エ:
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OSPF経路コスト調整【午前2解説】
正解の理由
拠点1から拠点3へはWAN1経由、拠点2から拠点3へはWAN2経由とするためには、各拠点から見た2経路のコスト差を厳密に比較し、**両方で「不等(=片方が必ず小さい)」**になる必要があります。各経路コストを計算すると、拠点1/拠点2ともにWAN2経路のコストは 、拠点1のWAN1経路は 、拠点2のWAN1経路は となります。したがって
- 拠点1がWAN1を選ぶ条件: →
- 拠点2がWAN2を選ぶ条件: →
これを同時に満たすのは の範囲のみで、与えられた選択肢のうち該当するのは イ(x=30, y=30)だけです。よって選択肢は イ が正解です。
解法ステップ
- 各拠点から拠点3(ノードi経由)への候補経路を列挙する。拠点1は a→b→(WAN1)→e→(f/h)→i、あるいは a→d→(WAN2)→g→(f/h)→i。拠点2は c→b→(WAN1)… または c→d→(WAN2)….
- 各区間のコストを足し、経路ごとの合計コストを求める。
- 拠点1 の WAN1 経路(最短経路選択を考慮):
- 拠点1 の WAN2 経路:
- 拠点2 の WAN1 経路:
- 拠点2 の WAN2 経路:
- 要件(拠点1はWAN1、拠点2はWAN2)を満たすための不等式を立てる:
- かつ
- よって 。
- 選択肢の中でこの条件を満たすのは x=y=30 の イ のみ。
選択肢別の誤答解説
- ア(x=20, y=20)
min=20 のとき拠点1のWAN1とWAN2のコストが等しくなり、拠点1で等コスト(ECMP)の発生があるため「必ずWAN1を使う」とは言えません(要件を満たさない)。 - イ(x=30, y=30)
min=30 のとき拠点1:WAN1=170, WAN2=180 → WAN1を選ぶ。拠点2:WAN2=180, WAN1=190 → WAN2を選ぶ。両方の条件を満たすため正解。 - ウ(x=40, y=40)
min=40 のとき拠点1はWAN1=170 < WAN2=190 でWAN1を選ぶが、拠点2ではWAN2=190 と WAN1=190 が等しくなりECMPとなるため「拠点2が必ずWAN2を通る」とは言えず要件未達。 - エ(x=50, y=50)
min=50 のときWAN2経路がさらに高くなり、拠点2もWAN1を選んでしまう。要件に反する。
よくある誤解
- e→h(30)と e→f(40) を取り違えるミス
e→h経由のほうがe→f経由より低コスト(30 vs 40)であるため、必ず最短経路の枝を選んで計算すること。ここを e→f(40)で計算すると拠点1側のWAN1コストが誤って 180 とされ、誤結論(ウ)につながることがある。 - 等コスト(=ECMP)を「望ましい片道選択」と誤認すること
問題は“確実に特定のWANを通す”ことが目的なので、等コストによる経路分散は要件を満たさない。 - 終端ノード(f/h→i の +10)を忘れる誤り
f→i, h→i のコスト10を合算し忘れると、しきい値がずれて誤判定する。
補足コラム
OSPFではリンクコストは合算で比較され、等コストならECMP(Equal-Cost Multi-Path)で複数経路にトラフィックを分散できます。要件で「必ず特定経路を通す」ことを求める場合、等価(=等コスト)を避けるために十分なマージンを設けることが重要です。整数コスト設計では、余裕を持たせるために1以上の差を確保するのが実務上の基本です。
FAQ
Q1: x と y が異なる場合はどう判断する?
A1: 実際の判定は を用います。両方を同一にする必要はなく、条件 を満たすどちらか小さい方が 21〜39 の範囲なら要件が満たせます(ただし選択肢は同値のみ)。
A1: 実際の判定は を用います。両方を同一にする必要はなく、条件 を満たすどちらか小さい方が 21〜39 の範囲なら要件が満たせます(ただし選択肢は同値のみ)。
Q2: 等コストになったときOSPFはどちらを使う?
A2: OSPFは等コストならECMPで複数経路を用いる(ルータ実装やトラフィック分配方式で挙動は変わる)。「必ず片方を使う」ことは保証されないので、問題要件では不適と判断します。
A2: OSPFは等コストならECMPで複数経路を用いる(ルータ実装やトラフィック分配方式で挙動は変わる)。「必ず片方を使う」ことは保証されないので、問題要件では不適と判断します。
Q3: コスト調整以外で経路を固定化する方法は?
A3: ポリシールーティングや静的ルート、BGPのローカルプレファレンス等で経路選択を操作できますが、OSPFのリンクコスト設計で解決できるならそれが最も単純です。
A3: ポリシールーティングや静的ルート、BGPのローカルプレファレンス等で経路選択を操作できますが、OSPFのリンクコスト設計で解決できるならそれが最も単純です。
関連キーワード: OSPF、コスト設計、ECMP、経路選択、WAN設計

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