ネットワークスペシャリスト 2012年 午後1 問01
Webサイトの構築に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
J社は、インターネットで情報を提供するWebサイト(URLは、http://www.web-j-sha.example.com)を運営しており、C社のデータセンタ(以下、DC-Cという)に設備を設置している。図1に、J社のシステム構成を示す。

DNS-PとDNS-Sは、J社のドメインを管理するDNSサーバであり、DNS-PからDNS-Sへア転送を行い、2台のDNSサーバ間でリソースレコードの同期を取っている。
J社では、サービス利用者の増加に伴い、毎年Webサーバを増強してきた。来年度も増強が計画されているが、長期間又は復旧不能なサービス停止による利益損失を防ぐことを目的としたイの観点から、他のデータセンタにもサーバを設置し、ディザスタリカバリにも対応する方針が出された。そこで、情報システム部のE主任がシステム構成を検討することになり、次の要件が決められた。
・増設先のデータセンタは、D社のデータセンタ(以下、DC-Dという)とする。
・WebブラウザからWebサーバへのアクセス(以下、Webアクセスという)の数、サーバ負荷に応じて、Webアクセスを二つのデータセンタに分散する。
・一方のデータセンタにアクセスできない場合、他方のデータセンタにWebアクセスを切り替える。一つのデータセンタだけでサービスを提供する場合は、サービスレベルの低下を容認する。
〔DNS ラウンドロビン方式の検討〕
E主任は、DC-D については、DC-C と同様に、ルータ、FW, SLB 及びWebサーバを設置することにした. Webアクセスを処理する能力は、DC-C が約 70,000 セッション/秒、DC-D が約 30,000 セッション/秒である. また、Webアクセスの分散については、DNS ラウンドロビンを利用した分散方式を考えた. 次に、E主任が考えた方式を示す.
・Webアクセスを処理する能力から、DC-C と DC-D に対する Webアクセスの分散割合は 7 対 3 とする.
・WebサイトのURLの FQDN に対応するIPアドレスを 10 個準備し、DNS-P の ウ レコードに登録する.
・仮想サーバのIPアドレスとして、10 個のIPアドレスのうちの 7 個を a の SLB に設定し、3 個を b の SLB に設定する.
・DNS-S は、DC-D に置くこととする.
情報システム部内で DNS ラウンドロビン方式について議論したところ、次の指摘を受けた.
・①Webサーバの負荷に応じた分散ができない。
・②データセンタの故障時に、故障しているデータセンタへ Webアクセスが継続する。
〔新方式によるシステム設計の検討〕
E主任は、指摘された点について SLBの納入ベンダに相談した. その結果、SLB と連携して動作する SLB マネージャ装置 (以下、SLB-M という) を導入すれば、解決できそうなことが分かった. SLB-M の主な機能は、次のとおりである.
・J社のサブドメインである Webサイトのドメインを管理する DNSサーバとして機能し、複数台の SLB-M を設置することで冗長構成を実現できる。
・SLB から、Webサーバの負荷情報とセッション情報を収集する。
・収集した情報を、SLB-M 間で共有する。
・共有した情報から、DC-C 又は DC-D のどちらに Webアクセスを振り分けるかを判断して、DNS への名前解決の要求に対し、最適な応答を返す。E主任は、SLB-M の機能を検討した結果、次の方針で設計を行うことにした。
・③DNS-P の設定を変更し、SLB-M を Webサイトのドメインの DNSサーバとして動作させる。
・SLB-M は、DC-C と DC-D に、それぞれ 1 台ずつ設置する。
・SLB-M は、同一データセンタ内の SLB から、Webサーバの負荷情報とセッション情報を収集する。
・Webサーバの負荷情報とセッション情報を、SLB-M 間で共有する。
E主任が考えた新方式のシステム構成案を、図2に示す。

E主任は、④データセンタをまたがる SLB-M 間の通信による影響を懸念し、調査を行ったが、問題ないことが分かった。そこで、新方式のシステム構成案の動作検証を行い、次の処理手順で負荷分散が行われていることを確認した。
(1) Webブラウザ(又は Webブラウザが利用する ISP のキャッシュ DNSサーバ)は、DNS-P 又は DNS-S に対して Webサイトの名前解決を要求する。
(2) DNS-P 又は DNS-S は、Webサイトのドメインの エ DNSサーバとして、DC-C と DC-D の SLB-M を応答する。
(3) Webブラウザは、SLB-M に対して Webサイトの名前解決を要求する。
(4) SLB-M は、Webサーバの負荷情報とセッション情報を基に、Webブラウザに対して最適なIPアドレスを応答する。
(5) Webブラウザは、応答があったIPアドレスにアクセスする。
(6) SLBは、保持しているセッション情報を確認し、そのWebブラウザのセッション情報が既に存在する場合は、適切なWebサーバにWebブラウザを接続する。
(7) 一方、Webブラウザのセッション情報が存在しない場合、SLBは、新規セッションとして登録し、最適なWebサーバにWebブラウザを接続する。
次に、E主任は冗長機能について確認した。その結果、SLB-Mの故障時に、データセンタ間でWebアクセスが適切に分散されないことが分かった。そこで、E主任は、SLB-M間の情報共有はせず、両方のデータセンタのSLBから情報を収集するように、SLB-Mの設定を変更した。
この変更の動作検証によって、片方のデータセンタのSLB-M故障時にもWebアクセスが適切に分散されることが確認できた。その後、新方式によるシステム設計は企画会議で承認され、次年度計画に盛り込まれた。
設問1:
本文中のア〜エに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ア:ゾーン
イ:事業継続
ウ:A
エ:権威
解説
解答の論理構成
-
アについて
【問題文】「DNS-PからDNS-Sへア転送を行い、2台のDNSサーバ間でリソースレコードの同期を取っている。」
‐ プライマリとセカンダリ間で行う同期は DNS の“ゾーン転送”であり、この語を入れると文意が自然に成立します。
➜ ア=「ゾーン」 -
イについて
【問題文】「長期間又は復旧不能なサービス停止による利益損失を防ぐことを目的としたイの観点から、他のデータセンタにもサーバを設置し…」
‐ 災害・障害時にも業務を止めないという観点は“事業継続”です。ディザスタリカバリもその一環であるため整合します。
➜ イ=「事業継続」 -
ウについて
【問題文】「…FQDN に対応する IP アドレスを 10 個準備し、DNS-P の ウ レコードに登録する。」
‐ FQDN→IPv4 アドレスの対応を登録するレコードは DNS の“A レコード”です。
➜ ウ=「A」 -
エについて
【問題文】「DNS-P 又は DNS-S は、Webサイトのドメインの エ DNS サーバとして、DC-C と DC-D の SLB-M を応答する。」
‐ “権威 DNS サーバ”として応答する、と補えば SLB-M がドメインを正式に管理する役割を示せます。
➜ エ=「権威」
誤りやすいポイント
- ゾーン転送を“ゾーン情報転送”や“データ転送”と書き換えてしまう。語句の改変は禁止です。
- 事業継続を“BCP”と略記してしまい空欄に収まらないケース。
- A レコードと CNAME レコードを混同する。FQDN→IP なら A レコードです。
- “権威 DNS”を“プライマリ DNS”と誤記し、セカンダリとの混同で減点される。
FAQ
Q: ゾーン転送が行われる方向に決まりはありますか?
A: 一般にはプライマリからセカンダリへ行われますが、IXFR により差分同期も可能です。
A: 一般にはプライマリからセカンダリへ行われますが、IXFR により差分同期も可能です。
Q: A レコードは IPv6 でも使いますか?
A: IPv6 アドレスは AAAA レコードに登録します。A レコードは IPv4 専用です。
A: IPv6 アドレスは AAAA レコードに登録します。A レコードは IPv4 専用です。
Q: 権威 DNS とキャッシュ DNS の違いは?
A: 権威 DNS はドメイン情報の正式な保有者、キャッシュ DNS は名前解決結果を一時保存して高速化を図るリゾルバです。
A: 権威 DNS はドメイン情報の正式な保有者、キャッシュ DNS は名前解決結果を一時保存して高速化を図るリゾルバです。
関連キーワード: ゾーン転送, 事業継続, Aレコード, 権威DNS, DNSラウンドロビン
設問2:〔DNSラウンドロビン方式の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(1)a、b に入れるデータセンタ名を答えよ。
模範解答
a:DC-C
b:DC-D
解説
解答の論理構成
- 分散割合の設定
【問題文】には、DNS ラウンドロビンで分散する割合を・Webアクセスを処理する能力から、DC-C と DC-D に対する Webアクセスの分散割合は 7 対 3 とする.
と明記しています。 - IP アドレスの割当て
同じ段落で、仮想サーバ用 IP アドレスを 10 個登録し、次のように振り分ける指示があります。・仮想サーバの IP アドレスとして、10 個の IP アドレスのうちの 7 個を a の SLB に設定し、3 個を b の SLB に設定する. - 7 対 3 = DC-C 対 DC-D
分散割合「7 対 3」を実現するには「7 個」の IP を処理能力が大きいデータセンタ、すなわち「DC-C」に割り当て、「3 個」の IP を「DC-D」に割り当てるのが自然な帰結です。 - 結論
以上より、
a = 「DC-C」
b = 「DC-D」
誤りやすいポイント
- “分散割合”を「IP アドレス数」ではなく「セッション数」と混同し、あえて逆に割り振ってしまう。
- 「処理能力が大きい方=IP アドレス数が少なくてもよい」と誤解し、7 個を DC-D に設定してしまう。
- DC-C と DC-D の表記を取り違え、「DC-C=30,000 セッション/秒」と読み違える。
FAQ
Q: 7 個と 3 個の内訳は必ず固定ですか?
A: 本設問では「10 個の IP アドレスのうちの 7 個を…3 個を…」と指示があるため固定ですが、実務ではサーバ追加やトラフィック変動に合わせて再調整する場合があります。
A: 本設問では「10 個の IP アドレスのうちの 7 個を…3 個を…」と指示があるため固定ですが、実務ではサーバ追加やトラフィック変動に合わせて再調整する場合があります。
Q: DNS ラウンドロビン方式ではリアルタイム負荷分散はできませんか?
A: DNS 応答はキャッシュされるためリアルタイム性は低く、【問題文】の指摘
A: DNS 応答はキャッシュされるためリアルタイム性は低く、【問題文】の指摘
・①Webサーバの負荷に応じた分散ができない
のとおりです。動的負荷分散が必要な場合は後半で採用された「SLB-M」による方式が有効です。
Q: 「10 個の IP アドレス」はなぜ必要なのですか?
A: 単一 IP を返すよりも DNS ラウンドロビンで複数 IP を返す方が、ブラウザやキャッシュ DNS がランダムに選択するため負荷分散効果が高まるためです。
A: 単一 IP を返すよりも DNS ラウンドロビンで複数 IP を返す方が、ブラウザやキャッシュ DNS がランダムに選択するため負荷分散効果が高まるためです。
関連キーワード: DNSラウンドロビン, IPアドレス割当, 負荷分散, データセンタ冗長, サーバ性能
設問2:〔DNSラウンドロビン方式の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(2)DNS-Sを DC-D に設置目的を、要件に基づき、40字以内で述べよ。
模範解答
DC-C 障害時にも DNS-S を使って DC-D でサービス提供を可能とするため
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には「一方のデータセンタにアクセスできない場合、他方のデータセンタにWebアクセスを切り替える」とあります。この要件は障害時にもサービス継続を図るディザスタリカバリ方針を示しています。
- DNS は名前解決の入口であり、プライマリが存在するデータセンタが停止すると、同センタ内にしか DNS サーバがない構成では名前解決自体ができなくなります。
- そこで「DNS-S は、DC-D に置くこととする」という設計が採用されています。セカンダリ DNS を別サイトに配置することで、【問題文】の要件を DNS レベルで担保できます。
- 以上を踏まえ、「DC-C に障害が発生しても、別サイトにある DNS-S が機能し続け、DC-D でサービスを提供できる」ことが設置目的となります。
誤りやすいポイント
- 「DNS-S を DC-D に置く」=ロードバランス向上と勘違いし、冗長・継続性の観点を見落とす。
- プライマリ/セカンダリの概念を誤解し、「DNS-P が停止すると DNS-S は使えない」と思い込む。実際はゾーンデータが同期されているため名前解決は可能です。
- 名前解決ができても Web サーバ群が動かなければ意味がない、という発想から DNS-S の配置を軽視しがち。実際は入口が開かれなければ切替も機能しません。
FAQ
Q: プライマリ DNS が落ちるとセカンダリは自動でプライマリへ昇格するのですか?
A: 昇格というより、あらかじめ同期したゾーンデータを基に読み取り専用で応答し続けます。外部から見れば問題なく名前解決が行えます。
A: 昇格というより、あらかじめ同期したゾーンデータを基に読み取り専用で応答し続けます。外部から見れば問題なく名前解決が行えます。
Q: DNS-S を別センタに置くだけでデータセンタ切替は完結しますか?
A: 名前解決の継続性は確保できますが、実際にトラフィックを受け止める Web サーバ群や SLB が DC-D に用意されていることが前提です。
A: 名前解決の継続性は確保できますが、実際にトラフィックを受け止める Web サーバ群や SLB が DC-D に用意されていることが前提です。
Q: DNS-S を DC-D に置かなかった場合の具体的な障害シナリオは?
A: DC-C が停止すると DNS-P と DNS-S が同時に失われ、FQDN から IP アドレスを得られずユーザはサイトに到達できません。
A: DC-C が停止すると DNS-P と DNS-S が同時に失われ、FQDN から IP アドレスを得られずユーザはサイトに到達できません。
関連キーワード: 冗長化, セカンダリDNS, シングルポイント, ディザスタリカバリ
設問2:〔DNSラウンドロビン方式の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(3)本文中の下線①の理由を、DNSラウンドロビン方式が Web アクセス数を分散する方式であるという観点から、30字以内で述べよ。
模範解答
Web アクセス数と Web サーバの負荷が比例しないから
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、DNS ラウンドロビン方式として
「Webサイトの URL の FQDN に対応する IP アドレスを 10 個準備し、DNS-P の ウ レコードに登録する」と記載されています。
これは DNS 応答を順番に並べ替えて返すだけの方式で、サーバの状態を考慮しません。 - 同じく【問題文】で指摘された下線①は
「①Webサーバの負荷に応じた分散ができない。」
という課題です。 - DNS ラウンドロビンは“名前解決要求数”をほぼ均等に振り分けるだけで、各要求に対し実際に発生する TCP セッション数や CPU/メモリ消費などの“負荷”はサーバごとに異なります。
- したがって、アクセス数が均等でも負荷は均等にならないため、下線①の理由は
「Web アクセス数と Web サーバの負荷が比例しない」
となります。
誤りやすいポイント
- DNS の TTL が長いとキャッシュが効き過ぎて分散どころか“偏り”が生じる点を忘れる。
- 「7 対 3 の IP 割当=7 対 3 の負荷」と思い込み、CPU 使用率や同時接続数といった実負荷を無視してしまう。
- DNS ラウンドロビンを“リアルタイム負荷分散”と誤解し、監視機構が無いことを見落とす。
FAQ
Q: DNS ラウンドロビンは簡単なのに、なぜ本番環境で敬遠されるのですか?
A: TTL キャッシュが原因で分散精度が低く、故障時も無停止切替ができないためです。サービス継続性を重視する場合は SLB や GSLB などを併用します。
A: TTL キャッシュが原因で分散精度が低く、故障時も無停止切替ができないためです。サービス継続性を重視する場合は SLB や GSLB などを併用します。
Q: 7 対 3 で IP を登録すれば負荷も 7 対 3 になるのでは?
A: 名前解決の回数はその比率になりますが、各アクセスが発生させる処理量は均一ではないため、負荷が比率通りになる保証はありません。
A: 名前解決の回数はその比率になりますが、各アクセスが発生させる処理量は均一ではないため、負荷が比率通りになる保証はありません。
Q: DNS 応答順序を動的に変更すれば負荷分散できますか?
A: 応答順序だけではサーバ負荷を把握できません。負荷情報を取得し応答内容自体を動的に変える“GSLB(広域負荷分散)”などが必要です。
A: 応答順序だけではサーバ負荷を把握できません。負荷情報を取得し応答内容自体を動的に変える“GSLB(広域負荷分散)”などが必要です。
関連キーワード: DNSラウンドロビン, 負荷分散, TTLキャッシュ, セッション管理, GSLB
設問2:〔DNSラウンドロビン方式の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(4)本文中の下線②の事象を回避するために、故障時に DNS サーバで実施する設定変更の内容を、40字以内で述べよ。
模範解答
故障したデータセンタの仮想サーバの IP アドレスの A レコードを削除する。
解説
解答の論理構成
- 方式の前提
- 分散方法として「DNS ラウンドロビン」を採用し、「Webサイトの URL の FQDN に対応する IP アドレスを 10 個準備し、DNS-P の ウ レコードに登録する。」とあります。ここで登録するのは A レコードです。
- 指摘された問題点
- 本文には「・②データセンタの故障時に、故障しているデータセンタへ Webアクセスが継続する。」と明記されています。
- ラウンドロビンは単純に複数の A レコードを順番に返すため、片方のデータセンタがダウンしても、その IP アドレスがキャッシュ DNS などに残り続け、ブラウザは障害データセンタへ通信してしまいます。
- 回避策の論理
- DNS が障害センタの IP を返さなければアクセスは発生しません。
- よって障害発生時には、DNS ゾーンから障害センタの IP を表す A レコードを削除し、健全センタの IP だけを返すようにします。
- 解答
- 以上より「故障したデータセンタの仮想サーバの IP アドレスの A レコードを削除する。」が正答となります。
誤りやすいポイント
- CNAME 変更と混同する
A レコードで実装しているため、CNAME を書き換えても解決しません。 - TTL を短く設定すれば十分と誤解する
TTL を短縮しても障害直後のアクセスは失敗します。確実に排除するならレコード削除が必要です。 - 片方のセンタ全体を別ゾーンにする案
ゾーンを分割してもブラウザは両方問い合わせるため、障害側を返さない保証になりません。
FAQ
Q: TTL を極端に短く設定するだけではだめですか?
A: 通信途中のキャッシュ DNS が独自のポリシで再配布する場合があり、完全には防げません。確実に停止させるには障害側 A レコードの削除が推奨されます。
A: 通信途中のキャッシュ DNS が独自のポリシで再配布する場合があり、完全には防げません。確実に停止させるには障害側 A レコードの削除が推奨されます。
Q: 削除ではなくコメントアウトや無効化でも同じですか?
A: ゾーン転送後に名前解決応答に含まれなければよいので、運用上安全に実装できる方法(削除・無効化)はいずれでも構いません。
A: ゾーン転送後に名前解決応答に含まれなければよいので、運用上安全に実装できる方法(削除・無効化)はいずれでも構いません。
Q: 削除後、復旧したらどう戻しますか?
A: 復旧確認後に同じ IP の A レコードを再登録し、ゾーン転送でセカンダリへ反映させます。
A: 復旧確認後に同じ IP の A レコードを再登録し、ゾーン転送でセカンダリへ反映させます。
関連キーワード: DNSラウンドロビン, Aレコード, フェイルオーバー, 障害切替, 負荷分散
設問3:〔新方式によるシステム設計の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(1)本文中の下線③における DNS-P の設定変更の内容を、30字以内で述べよ。
模範解答
SLB-M に Web サイトのドメインの権限を委譲する。
解説
解答の論理構成
-
現状の役割
問題文では、J社のドメインを管理するサーバとして
――「DNS-P と DNS-S は、J社のドメインを管理する DNS サーバであり」
と記載されています。したがって、FQDN「web.j-sha.example.com」も DNS-P が権限を持つゾーン内にあります。 -
新方式で求められる変更点
下線③の指示は
――「③DNS-P の設定を変更し、SLB-M を Webサイトのドメインの DNS サーバとして動作させる」
です。ここで SLB-M を “DNS サーバとして動作” させるとは、実際には ゾーンの権限を移す ことを意味します。権限を持たないままでは名前解決要求を受け取っても応答できません。 -
DNS 権限委譲の仕組み
上位ゾーン管理者が下位ゾーンの NS レコード を登録し、問い合わせを新サーバへ転送させる仕掛けが「権限委譲」です。SLB-M の機能説明にも
――「J 社のサブドメインである Webサイトのドメインを管理する DNS サーバとして機能し」
とあり、委譲を受けることを前提にしています。 -
導かれる設定内容
以上より、DNS-P 側で行う作業は「web.j-sha.example.com の NS レコードを SLB-M(ns1.web.j-sha.example.com/ns2.web.j-sha.example.com)に設定する」、すなわち ドメインの権限を委譲 することになります。
誤りやすいポイント
- 「SLB-M をセカンダリに追加する」と誤解し、単なるゾーン転送設定を書いてしまう。下位ドメインの委譲とプライマリ/セカンダリ関係は別概念です。
- 新設する NS レコードを DNS-S にだけ登録すればよいと思い込み、上位ゾーン(DNS-P)への登録を忘れる。上位に NS がなければ委譲は完結しません。
- A レコードを増やすだけで負荷分散ができると考え、NS レコードの重要性を見落とす。
FAQ
Q: 既存の「j-sha.example.com」ゾーンを丸ごと SLB-M に移すのですか?
A: いいえ、Web サイト用のサブドメイン「web.j-sha.example.com」だけを委譲します。メールなど他用途のレコードは引き続き DNS-P/DNS-S が保持します。
A: いいえ、Web サイト用のサブドメイン「web.j-sha.example.com」だけを委譲します。メールなど他用途のレコードは引き続き DNS-P/DNS-S が保持します。
Q: 権限委譲後も DNS-P と DNS-S にゾーン情報を残しておく必要はありますか?
A: 参照用にコピーを置くことは可能ですが、権限はありません。委譲後の正式応答は SLB-M が行います。
A: 参照用にコピーを置くことは可能ですが、権限はありません。委譲後の正式応答は SLB-M が行います。
Q: SLB-M がダウンした場合、DNS-P が代わりに応答しますか?
A: 権限を委譲した以上、DNS-P は応答しません。冗長化は「複数台の SLB-M を設置することで冗長構成を実現できる」という仕様で確保します。
A: 権限を委譲した以上、DNS-P は応答しません。冗長化は「複数台の SLB-M を設置することで冗長構成を実現できる」という仕様で確保します。
関連キーワード: NSレコード, 権限委譲, サブドメイン, DNS冗長化
設問3:〔新方式によるシステム設計の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(2)本文中の下線④について、SLB-M 間の通信による影響は何か。SLB-M 間の通信によって発生が懸念された事象と、その結果、Web ブラウザ通信で発生が懸念された事象について、それぞれ 20 字以内で述べよ。
模範解答
SLB-M間の通信によって発生が懸念された事象:インターネット接続回線の帯域圧迫
Webブラウザ通信で発生が懸念された事象:Web サーバへのアクセス遅延
解説
解答の論理構成
- まず問題文では、下線部④として「データセンタをまたがる SLB-M 間の通信による影響を懸念」したと述べています。ここで注目すべきキーワードは “SLB-M 間の通信” です。
- SLB-M は「Webサーバの負荷情報とセッション情報を、SLB-M 間で共有する」装置であり、共有対象の情報はリアルタイムに近い頻度で更新されます。したがって、データセンタ間を流れる通信量が増える恐れがあります。
- データセンタ間を結ぶのは一般にインターネット接続回線です。大量の同期トラフィックが流れると「インターネット接続回線」の利用帯域が大きくなり、帯域が“圧迫”されるという懸念が妥当です。
- 回線帯域が圧迫されると、その同じ回線を通る利用者向けの Web ブラウザ通信も影響を受けます。帯域逼迫が引き起こす典型的な現象は「Web サーバへのアクセス遅延」であり、レスポンス低下を招きます。
- よって、
・SLB-M間通信で懸念されるのは「インターネット接続回線の帯域圧迫」。
・その結果、Webブラウザ側で懸念されるのは「Web サーバへのアクセス遅延」。
以上が模範解答と合致します。
誤りやすいポイント
- 「パケットロス」や「セッション切断」と答える例が多いですが、問題文は“影響”の性質を問うており、主原因は通信量増大による“帯域”の問題です。
- Web ブラウザ通信で発生するのは“遅延”であって“接続不能”と断定すると失点になります。サービスレベルの低下は容認と言及されていますが、完全停止までは想定していません。
- SLB-M の冗長性や DNS 応答時間に意識が向きすぎて、帯域という根本的リソースを見落としやすい点に注意が必要です。
FAQ
Q: SLB-M で共有する情報量はどの程度なのでしょうか?
A: セッションテーブルや負荷に関する統計値など数 KB〜数十 KB が高頻度で同期されるため、長距離回線では無視できないトラフィックになります。
A: セッションテーブルや負荷に関する統計値など数 KB〜数十 KB が高頻度で同期されるため、長距離回線では無視できないトラフィックになります。
Q: 帯域圧迫が起きても QoS で制御すれば良いのでは?
A: QoS は有効ですが、本問は「懸念」の洗い出しが目的です。最初の設計段階では、追加トラフィック自体を減らす(=共有しない設定に変更)という判断が合理的です。
A: QoS は有効ですが、本問は「懸念」の洗い出しが目的です。最初の設計段階では、追加トラフィック自体を減らす(=共有しない設定に変更)という判断が合理的です。
Q: アクセス遅延は DNS 応答遅延も含みますか?
A: はい。Webブラウザが IP アドレス決定を待つ時間も遅延要因になりますが、本問では総合的に「Web サーバへのアクセス遅延」とまとめて表現しています。
A: はい。Webブラウザが IP アドレス決定を待つ時間も遅延要因になりますが、本問では総合的に「Web サーバへのアクセス遅延」とまとめて表現しています。
関連キーワード: 帯域管理, 負荷分散, DNS同期, 遅延原因, 冗長構成
設問3:〔新方式によるシステム設計の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(3)処理手順(4)において、最適な IP アドレスを応答するために SLB-M が利用する Web サーバの負荷情報の具体例を、二つ挙げよ。
模範解答
①:Web サーバの応答時間
②:Web サーバのデータ通信量
解説
解答の論理構成
-
根拠となる記述
【問題文】には、SLB-M の機能として
・「Webサーバの負荷情報とセッション情報を収集する。」
・「共有した情報から、DC-C 又は DC-D のどちらに Webアクセスを振り分けるかを判断して、DNS への名前解決の要求に対し、最適な応答を返す。」
とあります。さらに処理手順(4)で
「SLB-M は、Webサーバの負荷情報とセッション情報を基に、Webブラウザに対して最適な IP アドレスを応答する。」
と示されており、“負荷情報”が IP アドレス選択の判断材料になることが明記されています。 -
“負荷情報”の意味合い
負荷情報とは、サーバが現在どれだけ忙しいか、あるいは通信がどれほど集中しているかを定量的に示す指標です。DNS レベルでアクセス先を選ぶ際には、短時間で取得でき、サーバ全体の混雑度を代表するメトリクスが適しています。 -
具体例の選定
①「Web サーバの応答時間」はリクエストに対するレスポンス速度を直接表すため、最も単純かつ効果的な負荷指標です。
②「Web サーバのデータ通信量」はネットワーク I/O の混雑度を測れるため、帯域消費が多いときの迂回判断に有効です。
以上の 2 つは、いずれもリアルタイムで取得しやすく、SLB-M が“最適な IP アドレス”を返す際の判断に直結します。
誤りやすいポイント
- CPU 使用率やメモリ使用率だけを挙げると、通信遅延や帯域逼迫を反映できない場合があります。応答時間や通信量のように“利用者体感”に近い値を含めることが重要です。
- 「セッション数」は負荷指標の一つですが、問題が求めているのは“Web サーバの負荷情報の具体例”です。セッション数は SLB で保持する情報なので、サーバ側負荷とは別に扱われる点に注意してください。
- DNS ラウンドロビン方式との混同により「IP アドレスの数」を挙げてしまう誤答が見られますが、これは負荷情報ではありません。
FAQ
Q: CPU 使用率を答えてはいけませんか?
A: 禁止ではありませんが、応答時間や通信量の方がネットワーク経由で取得しやすく、利用者体感に直結するため代表例として選びやすいです。
A: 禁止ではありませんが、応答時間や通信量の方がネットワーク経由で取得しやすく、利用者体感に直結するため代表例として選びやすいです。
Q: “Web サーバの応答時間”はどのように測定しますか?
A: SLB から HTTP ヘルスチェックを定期的に実施し、リクエスト送信からレスポンス受信までの所要時間を計測する方法が一般的です。
A: SLB から HTTP ヘルスチェックを定期的に実施し、リクエスト送信からレスポンス受信までの所要時間を計測する方法が一般的です。
Q: データ通信量はどの期間で集計するのが適切ですか?
A: 秒単位〜数分単位での移動平均を取ると、急激なトラフィック変化にも追従しつつ過度な揺らぎを抑制できます。
A: 秒単位〜数分単位での移動平均を取ると、急激なトラフィック変化にも追従しつつ過度な揺らぎを抑制できます。
関連キーワード: 負荷分散, 応答時間, スループット, DNS, セッション管理
設問3:〔新方式によるシステム設計の検討〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(4)処理手順(6)において、Web ブラウザを接続する適切な Web サーバを、30字以内で述べよ。
模範解答
Webブラウザのセッションを維持しているWeb サーバ
解説
解答の論理構成
- 【問題文】の処理手順(6)には
“SLBは、保持しているセッション情報を確認し、そのWebブラウザのセッション情報が既に存在する場合は、適切なWebサーバにWebブラウザを接続する。”
とあります。 - ここで言う“適切なWebサーバ”とは、すでに “そのWebブラウザのセッション情報” を保持しているサーバを指します。
- なぜなら、HTTPセッションは一般にアプリケーションサーバ側で状態を保持しており、同一ブラウザが別サーバに振り分けられると状態不整合が発生してしまうからです(セッションアフィニティの要件)。
- したがって SLB は負荷分散よりもセッション維持を優先し、“Webブラウザのセッションを維持しているWebサーバ” に接続させるのが正解となります。
誤りやすいポイント
- “負荷が低いWebサーバ” と勘違いしやすい。処理手順(7)は新規セッション時のルールであり、既存セッションには適用されません。
- “同一データセンタ内の任意サーバ” と答えるミス。セッション維持はデータセンタをまたいででも優先されます。
- “SLB-Mが選択したWebサーバ” と記述してしまう混同。あくまでステップ(6)は SLB の判断です。
FAQ
Q: セッション情報が失われた場合はどうなりますか?
A: 処理手順(7)に移行し、新規セッションとして最適なWebサーバへ振り分け直します。
A: 処理手順(7)に移行し、新規セッションとして最適なWebサーバへ振り分け直します。
Q: Cookie 方式以外でもセッション維持は必要ですか?
A: URL リライティングや独自トークンでも同じくサーバ側状態を保持するため、同一サーバへの接続が必要です。
A: URL リライティングや独自トークンでも同じくサーバ側状態を保持するため、同一サーバへの接続が必要です。
Q: セッション共有ミドルウェアを入れれば負荷分散ポリシーを変えられますか?
A: 共有ストレージや分散キャッシュでセッションを無状態化すれば、必ずしも同一サーバに固定する必要はありませんが、本設計では採用していません。
A: 共有ストレージや分散キャッシュでセッションを無状態化すれば、必ずしも同一サーバに固定する必要はありませんが、本設計では採用していません。
関連キーワード: セッション維持, ロードバランサ, DNSラウンドロビン, 負荷分散


