ネットワークスペシャリスト 2013年 午前2 問01
問題文
LANケーブルに関する記述として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:LANケーブル内の対になった導線がより線となっているのは、導線に発生する外来ノイズを減らすためであり、ケーブル内の全ての対のピッチは均一の方が効果が高い。
イ:カテゴリ5eUTPケーブルは1000BASE-Tで利用される非シールドより対線であり、2本の導線が4対収められている。(正解)
ウ:カテゴリ6のUTPケーブルを使用する1000BASE-TXでは、1対のより線で250Mビット/秒のデータを上り下り同時に送り,4対合計で1Gビット/秒の全二重通信を実現している。
エ:対線は2本の導線の電位差で情報を伝え、この対線に発生する外来ノイズの大きさは2本の導線の間隔に反比例する。
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ツイストペアLANケーブル【午前2解説】
正解の理由
選択肢イは、カテゴリ5eケーブルが「UTP(Unshielded Twisted Pair:非シールドツイストペア)」であり、1本のケーブルに4対(計8本)の導線が入っていること、そして1000BASE-T(ギガビットイーサネット)で主にUTPが用いられる点を正しく述べています。したがって本設問では選択肢イが正答です。
解法ステップ
- 各選択肢で使われている用語(UTP、カテゴリ5e、1000BASE-T/TX、ツイストペア、対線の間隔)を一つずつ確認する。
- 基本仕様を思い出す:カテゴリ5eはギガビットEthernet対応のUTP規格であること、UTPは4対構成であること、1000BASE-Tは4対を使用して1Gb/sを実現すること。
- 電磁誘導と差動(差分)伝送の基礎を用いて、対線間隔と外来ノイズ感受性の関係を検証する。
- 各選択肢の記述が事実と整合するか(名称の正確さ、因果関係の誤りなど)を確認して誤りを見つける。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「より線が外来ノイズを減らす」「全対のピッチは均一が有利」
- より線(多股撚り線)は主に柔軟性と配線時の取り回しを良くするために使われます。外来ノイズ低減が主目的ではありません。むしろ、より線は導体断面や表面積の違いから高周波特性が若干変わるため、伝送特性に影響することがあります。
- ツイストペアではペアごとに異なる撚りピッチ(ツイストレート)を採用するのが一般的で、これは隣接ペア間のクロストークを低減する目的です。すべての対のピッチを均一にすると相互に同調しやすくなり、クロストークが増えるため必ずしも有利ではありません。よって記述は誤りです。
- イ: 正しい記述(前述参照)。カテゴリ5eはUTPで、4対(8本)構成であり、1000BASE-Tに対応します。
- ウ: 「カテゴリ6のUTPを使用する1000BASE-TX…」
- 1000BASE-T(正式なギガビット標準)は4対それぞれが250Mbit/s(四分割)を双方向で送受信し、合計で1Gbit/sを実現します。この動作は差動伝送とPAM符号化、エコーキャンセルにより1対で同時に上り下り(双方向)を実現する点を正しく述べていますが、設問は「1000BASE-TX」としているため誤りと判断されます。1000BASE-TXは一般的な標準名ではなく、ここでの表現は不正確です(試験では1000BASE-Tが正しい名称)。したがって選択肢は誤り扱いになります。
- エ: 「外来ノイズの大きさは2本の導線の間隔に反比例する」
- 誤りです。対線に発生する外来ノイズ(誘導起電力)はループ面積に比例します。2本の導線間隔が広いとループ面積が大きくなり、磁束の変化による誘導電圧は大きくなります。つまり間隔が広いほどノイズ感受性は高くなります。よって「反比例する」は物理的に誤りです。
よくある誤解
- 誤解1: 「より線(多股線)はノイズを減らす」
- 実際にはより線は機械的柔軟性のため。ノイズ耐性の改善は主にツイスト(撚り)構造や差動伝送、シールドの有無によります。
- 誤解2: 「ケーブルのペア間を離すほどノイズが減る」
- 対照的に、ペア間の間隔が広くなるとループ面積が増え、外来磁束の影響を受けやすくなります。ツイストは局所的に対の向きを入れ替え、誘導を打ち消す作用を持ちます。
- 誤解3: 「すべての対の撚りピッチを同じにすべき」
- 実務では各対で撚りピッチを変えて相互クロストークを低減します。均一ピッチはむしろクロストーク悪化の原因になります。
補足コラム
- 差動信号とコモンモード除去: ツイストペアの受信器は2本の導線間の電位差(差動成分)を検出します。外来ノイズは両導線にほぼ同じ電位(コモンモード)として重畳されるため、差分受信により打ち消されます。これによりツイストペアは高いノイズ耐性を持ちます。
- ループ面積と誘導起電力の関係(簡単な式): 磁束Φ = B·A とすると誘導起電力は
よって面積A(対間隔×長さに概略比例)が大きいほど誘導電圧は大きくなります。 - カテゴリの目安: カテゴリ5eはギガビットEthernet(1000BASE-T)に対応。カテゴリ6はより高周波まで対応し、10GBASE-Tでも短距離で用いられます(ただし10Gではケーブル品質や距離制限あり)。
- UTP(非シールド)とSTP(シールド): 電磁環境が厳しい場合はシールド付きケーブル(FTP、STP等)を用いるが、接地やシールド処理を誤ると逆に性能を悪化させることがあるため配線設計が重要です。
FAQ
Q: なぜツイスト(撚り)が有効なのですか?
A: ツイストは対線の向きを周期的に変えることで、近接する外来磁束や隣接ペアから受ける誘導を互いに打ち消し、結果としてコモンモード成分を増やし差動成分の保護を助けます。
A: ツイストは対線の向きを周期的に変えることで、近接する外来磁束や隣接ペアから受ける誘導を互いに打ち消し、結果としてコモンモード成分を増やし差動成分の保護を助けます。
Q: カテゴリ5eとカテゴリ6の違いは何ですか?
A: 両者は伝送可能な周波数帯域やクロストーク特性などが異なり、カテゴリ6はより高い周波数での伝送に耐え、10GBASE-T等で有利ですが、ケーブル敷設の品質や距離による制約も存在します。
A: 両者は伝送可能な周波数帯域やクロストーク特性などが異なり、カテゴリ6はより高い周波数での伝送に耐え、10GBASE-T等で有利ですが、ケーブル敷設の品質や距離による制約も存在します。
Q: より線(stranded)ケーブルはどこで使うべきですか?
A: パッチコードや可動部分にはより線が使われます。壁面配線などの長距離固定配線には単線(solid)が一般に用いられます。
A: パッチコードや可動部分にはより線が使われます。壁面配線などの長距離固定配線には単線(solid)が一般に用いられます。
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