プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験 概要
プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験の試験内容・出題形式・対策情報
本試験の問題演習(過去問・サンプル問題)は現在準備中です。 まずは以下の試験概要をご覧ください。
本記事は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表した「情報処理技術者試験の見直しの検討状況」および「プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)シラバス(案)」を基に、現時点で判明している情報を整理・補強したものです。試験区分名称・出題数・合格基準・免除制度・実施時期などは今後変更される可能性があります。シラバス案は改訂が続いているため、参照している版と公表状況は本文「シラバス概要」冒頭の表に一元的にまとめています。最新情報は必ずIPA公式を確認してください。
プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(PD-M)とは
プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は、DXやAI利活用を通じた価値創造に必要なスキルを評価するため、現行の応用情報技術者試験(AP)や高度区分を大括り化して再編する新しい試験体系です。「マネジメント」「データ・AI」「システム」の3区分で構成され、本稿ではマネジメント区分(PD-M)に焦点を当てます。
PD-Mは、組織やビジネスにおけるデジタル技術の活用を計画・管理・推進する能力を問う区分で、プロジェクトマネジメント、DX推進、ITサービスマネジメント、監査・ガバナンス、IT戦略などの知識・技能が中心です。
| 項目 | 内容(暫定) |
|---|---|
| 区分 | プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(PD-M)※名称は仮称 |
| 管理主体 | 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) |
| 実施方式 | CBT(Computer Based Testing)/IPAは全試験区分をCBT方式で実施予定と公表 |
| 想定レベル | レベル3〜4相当と推定(IPA未公表。現行の応用情報〜高度試験を再編するため) |
| 開始予定 | 2027年度 夏頃〜秋頃(IPA検討状況) |
各種数値・出題形式は現時点で暫定です。最終的な内容は必ずIPA公式の公表を確認してください。
試験の形式・出題構成・採点方式
IPA公表の検討状況に基づく暫定構成(3区分共通の案)を整理します。
| 項目 | 内容(暫定) |
|---|---|
| 科目構成 | 科目A-1/科目A-2/科目B |
| 科目A-1 | 90分/60問(主に知識確認。3区分と情報処理安全確保支援士試験の共通知識) |
| 科目A-2 | 科目A-2+科目Bを合算して120分扱い、A-2は23問(区分ごとの専門知識) |
| 科目B | 12問(技能。事例に基づく総合的な判断) |
| 出題形式 | IPA未公表(多肢選択式か記述・論述式かは示されていない) |
| 合格基準 | 配点・基準点は未確定(IPAの今後公表を待つ必要あり) |
採点や合格判定方法、各科目のウェイト配分などの正式発表は未実施です。合否判定の詳細はIPAの最終資料によります。
対象者像・求められる知識と技能
対象者像
組織やビジネスにおけるデジタル技術の活用を計画・管理・推進する立場の実務者・マネジメント人材が主な対象です。現行制度では、応用情報技術者試験(AP)のマネジメント・ストラテジ領域や、プロジェクトマネージャ試験(PM)、ITサービスマネージャ試験(SM)、システム監査技術者試験(AU)、ITストラテジスト試験(ST)が対象としてきた人材層に相当します。
求められる主な能力
- 外部・内部環境の分析に基づくデジタル戦略の立案と、組織・ビジネス変革の推進
- SLA・変更管理・インシデント管理などを通じたITサービスの安定提供と継続的改善
- 変化・不確実性に適応しながら価値創出を図るプロジェクトマネジメント
- 内部統制の評価やデジタル環境の監査を通じたガバナンスの確保
- AI等の新技術の利活用に伴うリスクの識別と管理
シラバス概要
シラバス案の公表状況
シラバス案は改訂が続いています。本ページが参照している版と、各科目の公表状況は以下のとおりです(2026年8月17日時点)。
| 対象 | 状況 | 参照している版 |
|---|---|---|
| 科目A-1(3区分・支援士の共通知識) | 準備中 | ー |
| 科目A-2(マネジメント区分の専門知識) | 公表済み | Ver0.2(PDF)(2026年6月30日公表/2026年7月31日更新) |
| 科目B(マネジメント区分の技能) | 公表済み | 同上のPDFに収録(Ver0.1から出題範囲の構造変更なし) |
| サンプル問題 | 準備中 | ー |
科目A-2と科目Bは同一のPDF(Ver0.2)に収録されています。Ver0.1では科目Bの「目標とする技能」のみでしたが、Ver0.2で科目A-2の「目標とする知識(専門知識)」が新たに追加されました。IPAは残るシラバス案・サンプル問題を2026年度夏頃を目途に順次公表するとしています。
科目A-2の出題範囲(目標とする知識)
科目A-2は、全試験区分に共通する科目Aの体系のうち、マネジメント区分が担当する分類だけを抜き出す形で範囲が定められています。PD-Mが対象とするのは4大分類・8中分類です(分類番号が飛んでいるのは、共通体系の一部だけを担当するため)。
| 出題範囲(大分類・中分類) | 主な小分類 | 代表的な用語例 |
|---|---|---|
| 大分類1:ビジネス変革/中分類1:ビジネス変革の方法論 | 社会変化の動向、イノベーションマネジメント、イノベーション戦略、変革活動のマネジメント | CX・GX・AX、JIS Q 56002、イノベーションの5類型、ADKARモデル、コッターの8段階プロセス、デザイン経営、学習する組織 |
| 大分類1:ビジネス変革/中分類2:経営戦略・デジタル戦略 | 経営戦略、デジタル戦略、情報システム戦略、エンタープライズアーキテクチャ | ダイナミックケイパビリティ、IPランドスケープ、TCFD開示、DX推進指標、DX認定制度、システム化計画、要件定義、調達計画、TOGAF、ザックマンフレームワーク |
| 大分類1:ビジネス変革/中分類3:ビジネスモデル・ビジネスプロセス | ビジネス調査・ビジネス分析、ビジネスモデル、ビジネスプロセス、プロダクトのマネジメント、マーケティング、ブランディング | PEST分析、STP分析、ビジネスモデルキャンバス、ECRSの原則、制約条件理論(TOC)、PMF、RICE・MoSCoW、LTV、アトリビューションモデル、ブランドセーフティ |
| 大分類1:ビジネス変革/中分類4:サービスマネジメント | サービスマネジメント(目的と考え方、事業の確立・維持・改善、設計・構築・移行、サービス要求の実現、サービスの保証) | JIS Q 20000、SLA、サービスポートフォリオ、変更管理、CMDB、SPOC、フォロー・ザ・サン、MTBF・MTTR、BIA、RTO・RPO・RLO |
| 大分類1:ビジネス変革/中分類5:プロジェクトマネジメント | プロジェクトマネジメント、立上げから終結までのプロセス | アウトカム、便益マネジメント、テーラリング、プロジェクトガバナンス、サーバントリーダーシップ、感情的知性(EI)、タックマンの成長モデル、学んだ教訓 |
| 大分類3:組織活動/中分類12:ガバナンス・監査 | コーポレートガバナンス、内部統制・デジタルガバナンス、監査 | スチュワードシップ・コード、ERM、J-SOX、3つのラインモデル、COBIT、システム管理基準、AIガバナンス、統制自己評価(CSA)、CAAT、監査調書 |
| 大分類6:セキュリティ/中分類24:情報セキュリティマネジメント | 情報セキュリティ、情報セキュリティマネジメント、リスクマネジメント、諸規程、ISMS、管理策、関連制度 | クラウドサービスの責任共有モデル、サイバーハイジーン、JIS Q 31000、リスク選好、サイバー保険、サイバーセキュリティ経営ガイドライン、サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度 |
| 大分類7:倫理・コンプライアンス/中分類28:ビジネス関連法規 | 知的財産権、不正競争防止法、労働関連法規、取引関連法規、環境関連法規、その他デジタル関連法規・標準化 | パリ条約、営業秘密の3要件、フリーランス・事業者間取引適正化等法、GX推進法、AI基本法、EU AI Act、情報流通プラットフォーム対処法 |
用語例はシラバス案から一部を抜粋したものです。網羅的な一覧はIPAのPDF原文を参照してください。
科目A-2の範囲をどう読むか
現行制度で学習してきた人にとって、科目A-2の大半は「現行のどの試験の午前IIか」に読み替えられます。
- 中分類1〜3(ビジネス変革の方法論、経営戦略・デジタル戦略、ビジネスモデル・ビジネスプロセス)は、ITストラテジスト試験(ST)の企画・戦略領域と応用情報技術者試験(AP)のストラテジ系がベース
- 中分類4(サービスマネジメント)は、ITサービスマネージャ試験(SM)とほぼ同じ骨格。JIS Q 20000を軸にした用語体系がそのまま踏襲されている
- 中分類5(プロジェクトマネジメント)は、プロジェクトマネージャ試験(PM)に相当。便益、アウトカム、テーラリング、学んだ教訓といったISO 21500・21502系の用語が前面に出ている
- 中分類12(ガバナンス・監査)は、システム監査技術者試験(AU)の中核。J-SOX、システム管理基準、監査手続・監査調書は現行のAU午前IIと重なる
- 中分類24・28(情報セキュリティマネジメント、ビジネス関連法規)は、区分固有というより全体の土台。情報セキュリティマネジメント試験(SG)やAPの範囲と重なる
一方で、現行の高度試験ではあまり問われてこなかった新顔もはっきりしています。イノベーションマネジメント(JIS Q 56002)、チェンジマネジメント(ADKARモデル、コッターの8段階プロセス)、デザイン経営、AIガバナンス、GX推進法、AI基本法、EU AI Actなどがこれにあたります。現行のPM・SM・AU・STの学習資産はそのまま使える一方、この新顔の領域は既存の過去問では埋まらないため、優先的に補強する価値があります。
科目Bの出題範囲(目標とする技能)
科目Bは、PD-Mで問われる実務的・総合的判断力を示す領域として、4大項目・15小項目で構成されます。Ver0.1からVer0.2にかけて構造の変更はありません。
1. 組織及びビジネスの変革・デジタル戦略に関すること
- 1-1. 外部環境、内部環境及び組織内外のステークホルダのニーズの分析・把握
- 1-2. あるべき姿かつ経営戦略と整合するビジネスモデルの策定及びビジネスプロセスの設計
- 1-3. ポートフォリオ及びプログラムのマネジメント、マーケティング、顧客エンゲージメントなどの活用
- 1-4. イノベーションマネジメントの実践とイノベーション活動を支える組織文化の醸成
- 1-5. 事業戦略立案におけるシステム思考・デザイン思考の活用と経営課題の解決やデジタル戦略の実現への展開
外部環境(社会、市場、テクノロジ、法律、地政学など)と内部環境(組織の能力・資産、事業ポートフォリオなど)の調査・分析、BPRを含む業務プロセス設計、定量的な改善目標と成功基準の設定、PoCによる実現性評価などが「目標とする技能」として挙げられています。
2. サービスマネジメントに関すること
- 2-1. 顧客及び供給者とのつながりを管理し、サービスレベルを維持するために必要な、事業関係管理、サービスレベル管理、供給者管理
- 2-2. 安定性を維持しつつ新規サービス又はサービス変更を行うために必要な、変更管理、リリース及び展開管理
- 2-3. サービスの運用品質を確保するために必要な、サービスデスク、インシデント管理、問題管理
- 2-4. サービスが利用可能な状態を保つために必要な、サービス可用性管理、サービス継続管理
サービスポートフォリオ管理、サービスの報告、継続的改善、資産・構成管理、予算業務・会計業務、需要管理・容量能力管理まで、JIS Q 20000の枠組みに沿った技能が具体的に列挙されています。
3. プロジェクトマネジメントに関すること
- 3-1. 組織内外の環境の変化への適応、不確実性への対応、及び価値の創出に関するプロジェクトマネジメント
- 3-2. プロジェクト組織、プロジェクトチーム及びチームのメンバーに関するプロジェクトマネジメント
- 3-3. プロジェクトの立ち上げ、計画、実行・管理及び終結のプロセスに関するプロジェクトマネジメント
アウトプットとアウトカムの区別、組織目標とプロジェクト目標の整合、不確実性へのレジリエンス向上、ステークホルダとの共創、スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスク・変更の管理が中心です。
4. 組織のガバナンス・監査に関すること
- 4-1. 組織のガバナンス、マネジメント及び内部統制の構築と運用に関する助言(支援を含む)
- 4-2. デジタル環境及びその企画・開発・導入・運用・保守・利用などのプロセスに関する監査の実施及び報告
- 4-3. 情報セキュリティ、新技術(AIほか)の利活用などに関する監査の実施及び報告
監査計画の策定、予備調査・本調査、監査手続書の作成と実施、監査証拠の入手、監査調書に基づく監査報告書の作成、改善提案のフォローアップという監査の一連の流れが技能として定義されています。AIの利活用が明示的に監査対象に含まれている点が、現行のシステム監査技術者試験からの大きな追加です。
(注)上記はシラバス案の大項目・小項目から抽出し、要約・整理したものです。各小項目に紐づく「目標とする技能の例」の全文はIPAのPDF原文を参照してください。
現行制度との関係・免除制度(検討中の扱い)
現行制度の諸試験は、プロフェッショナルデジタルスキル試験への統合・再編が検討されています。主要な関連関係を整理します。
- 応用情報技術者試験(AP)および各高度試験群は、各区分へ再編・統合される方向(検討案)
- プロジェクトマネージャ試験(PM)、ITサービスマネージャ試験(SM)、システム監査技術者試験(AU)、ITストラテジスト試験(ST)等の領域は、主にマネジメント区分に集約される想定
- 免除制度は現行の高度試験相当の扱いを維持する方向で検討されており、現行の合格・免除保持者に対する経過措置案も提示されています。ただし詳細は未確定のため、現行制度で合格・免除を確保しておくことは有力なリスクヘッジです。
実施時期・今後のスケジュール(暫定)
- 2026年3月31日:IPAが「見直しの検討状況」を公表(基礎的な案提示)
- 2026年6月22日:データマネジメント試験のサンプル問題が新試験制度の各区分に先駆けて公表(プロフェッショナルデジタルスキル試験各区分のサンプル問題は準備中)
- 2026年6月30日:マネジメント区分のシラバス案Ver0.1公表(科目Bの「目標とする技能」。システム区分と同時公表、データ・AI区分は準備中)
- 2026年7月31日:同シラバス案がVer0.2に更新(科目A-2の「目標とする知識」が追加。科目Bの構造は変更なし)
- 2026年度中:残りのシラバス案やサンプル問題の順次公表が予定(2026年度夏頃を目途に一通り掲載予定)
- 2026年度:現行の応用情報・高度試験はCBT方式へ移行し、前期(2026年11月頃)・後期(2027年2月頃)に実施予定(マネジメント系ではITストラテジスト・ITサービスマネージャが前期、プロジェクトマネージャ・システム監査技術者が後期)。現行制度は2026年度の試験実施をもって終了予定
- 2027年度(令和9年度)夏頃〜秋頃:プロフェッショナルデジタルスキル試験の開始を想定(最終決定はIPAの公表による)
このスケジュールはIPAの検討状況に基づく暫定予定です。正式な実施日や移行ルールは、IPAの追加発表を確認してください。
関連リンク
- IPA公式:新試験制度のシラバス案(各区分の最新版・公表状況の一覧)
- IPA公式:情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況
- 戦国ITブログ:2027年の情報処理技術者試験再編を整理!PDS・データマネジメント試験・CBT化の要点は?
まとめ
プロフェッショナルデジタルスキル試験は、DX時代に必要なマネジメント系スキルを横断的に評価するための再編案として示されています。科目A-2・科目Bのシラバス案からは、戦略立案からサービス運用、プロジェクトと監査まで幅広い実務能力が求められることが明確です。範囲の大半は現行のST・SM・PM・AUの学習資産で対応できる一方、イノベーションマネジメントやチェンジマネジメント、AIガバナンスといった新しい領域が加わっている点が特徴です。ただし出題形式(多肢選択式か記述・論述式か)はIPAから公表されておらず、現行の午後試験のような記述・論述が残るかどうかは現時点で判断できません。最新のシラバスやサンプル問題は順次公表されるため、IPA公式の告知を定期的に確認してください。
