情報処理安全確保支援士 2022年 秋期 午前2 問05
問題文
送信元IPアドレスがA、送信元ポート番号が80/tcp、宛先IPアドレスが未使用のIPアドレス空間内のIPアドレスであるSYN/ACKパケットを大量に観測した場合、推定できる攻撃はどれか。
選択肢
ア:IPアドレスAを攻撃先とするサービス妨害攻撃(正解)
イ:IPアドレスAを攻撃先とするパスワードリスト攻撃
ウ:IPアドレスAを攻撃元とするサービス妨害攻撃
エ:IPアドレスAを攻撃元とするパスワードリスト攻撃
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SYNフラッド(IPスプーフィング)【午前2解説】
正解の理由
観測されたパケットが「送信元IP=A、送信元ポート=80、パケット種別がSYN/ACK、宛先が未使用IP」という特徴を持つため、Aは大量のSYNを受けておりその応答としてSYN/ACKを未使用アドレスへ大量に送出していると推定できます。SYN/ACKはTCPのサーバ側がSYNに応答して送るパケットなので、「Aが受け取ったSYNの送信元アドレスが未使用IPに偽装されている」=攻撃者がAに対して偽装SYNを大量送信している(SYNフラッド)ことを示します。したがって、Aがサービス妨害の被害者であることを示す選択肢、すなわちアが正解です。
解法ステップ
- パケット種別を確認:SYN/ACKは「サーバのSYN応答」であると理解する。
- 送信元ポートが80/tcpであることから、SYN/ACKの送信元はHTTPサーバ等の「応答側(サーバ)」であると判断。
- 宛先が未使用IPである点に注目。未使用IPは正常なクライアントが存在しないため、その宛先からの正当なSYNはあり得ない。
- 結論:未使用IPを送信元に偽装したSYNがAに届き、Aがそれらに対してSYN/ACKを返している。大量発生=リソース枯渇の恐れがあり、AがDoSの被害者であると判断する(ア)。
選択肢別の誤答解説
- ア(正解)
Aが大量のSYNに応答している状況と一致する。宛先が未使用IPである点が「送信元偽装」を示し、Aが被害者のSYNフラッド型DoSである。 - イ(Aを攻撃先とするパスワードリスト攻撃)
パスワードリスト攻撃(ブルートフォース)はTCPの上で認証プロトコルに対する試行が観測されるはずで、SYN/ACK大量送出のパターンとは異なる。送信元ポート80やSYN/ACKという痕跡は認証試行を示さない。 - ウ(Aを攻撃元とするサービス妨害攻撃)
観測されるのはAから未使用IPへのSYN/ACK応答であり、これはAが「応答を送っている」状態を示す。Aが攻撃の発信源のように見えるのは確かだが、その原因はA自身が偽装されたSYNに応答していることであり、Aが能動的に他を攻撃している証拠ではない。 - エ(Aを攻撃元とするパスワードリスト攻撃)
同様に、SYN/ACKの大量観測はパスワードリスト攻撃の典型的痕跡ではない。送信元ポートやフラグの情報が一致しない。
よくある誤解
- SYN/ACKが観測される=Aが攻撃者だと決めつける誤り
送信元IPがAでも、そのIPが偽装されている(spoofed)可能性が高い。送信元表示が常に実際の送信者を示すわけではない。 - 反射攻撃(リフレクション)と混同する誤り
反射攻撃では攻撃者が第三者(反射器)に対して送信元を被害者に偽装して問い合わせを送り、反射器が被害者に大量のレスポンスを返す。今回のケースはAが応答を送っている点で異なり、Aが反射器からのレスポンスを受けるのではなく、A自身が大量の応答を送信している。 - 送信元ポート80=HTTP攻撃と短絡する誤り
ポート番号は役割(サーバ/クライアント)を示す手がかりにはなるが、攻撃の目的(認証突破など)を直接示すものではない。ここでは「サーバ側応答」であることの確認に使うのが適切。
補足コラム
TCP三者間ハンドシェイクの流れ:クライアントがSYNを送信 → サーバがSYN/ACKで応答 → クライアントがACKで完了。SYNフラッドはこの最初のSYNを大量に送り、サーバの半開コネクションキューを枯渇させる攻撃です。攻撃者はソースIPを偽装することで応答が届かない(または到達できない)宛先を指定し、サーバのリソースを浪費させます。対策としては、SYN cookie、接続キューの調整、RST/フィルタリング、ネットワーク境界での送信元IP検査(uRPFなど)やレートリミットが有効です。
FAQ
Q: 観測だけで偽装と断定できますか?
A: 観測パターン(大量のSYN/ACKが未使用IPへ向かう)は偽装SYNの典型的兆候で高い確度で推定できますが、ネットワークトレース(入出力のタイムスタンプ、TTL、ASパスなど)で更に裏付けるとよいです。
A: 観測パターン(大量のSYN/ACKが未使用IPへ向かう)は偽装SYNの典型的兆候で高い確度で推定できますが、ネットワークトレース(入出力のタイムスタンプ、TTL、ASパスなど)で更に裏付けるとよいです。
Q: 反射攻撃との運用上の違いは何ですか?
A: 反射攻撃では被害者が大量のレスポンスを受け取るため被害側の帯域/処理が圧迫されます。本ケースでは被害者が多数の応答を送信するため送信リソースや処理が圧迫される点で異なります(どちらもDoSだがトラフィックの向きが異なる)。
A: 反射攻撃では被害者が大量のレスポンスを受け取るため被害側の帯域/処理が圧迫されます。本ケースでは被害者が多数の応答を送信するため送信リソースや処理が圧迫される点で異なります(どちらもDoSだがトラフィックの向きが異なる)。
Q: 監視側で何を確認すべきですか?
A: 送受信の方向、TTLの不整合、未使用IPへの送信先、同時発生元SYNのログ、ネットワークエッジでのuRPF適用状況などを確認します。
A: 送受信の方向、TTLの不整合、未使用IPへの送信先、同時発生元SYNのログ、ネットワークエッジでのuRPF適用状況などを確認します。
関連キーワード: SYNフラッド、IPスプーフィング、SYN/ACK、TCP三者間ハンドシェイク、未使用IP、SYN cookie、uRPF

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