情報処理安全確保支援士 2025年 春期 午前2 問01
問題文
DRDoS 攻撃に該当するものはどれか。
選択肢
ア:サーバの可用性を脅かす脆弱性が発見されてから対策が提供されるまでの間に、その脆弱性を攻撃者が悪用することによって、標的のサーバのリソースを枯渇させ、利用を妨害する。
イ:最初の接続要求 (SYN) パケットを繰り返し送信することによって、標的のサーバの利用可能なメモリを枯渇させ、利用を妨害する。
ウ:多数の DNS サーバに対して送信元の IP アドレスを標的の IP アドレスに偽装したリクエストを送信し、それらのサーバの応答パケットによって、標的のサーバのリソースを枯渇させ、利用を妨害する。(正解)
エ:多数の HTTP リクエストを長期間掛けて送信し続けることによって、標的の Web サーバのセッションを占有し、利用を妨害する。
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反射増幅型DDoS【午前2解説】
正解の理由
多数の DNS サーバなどに対して、送信元 IP アドレスを標的に偽装したリクエストを送信し(送信元偽装=スプーフィング)、それらのサーバから返ってくる応答を標的に集中させてリソースを枯渇させる攻撃は、いわゆる反射(reflection)および増幅(amplification)を組み合わせた攻撃手法です。設問の選択肢では、ウ がこの特徴を正確に表しています。送信元を偽装して第三者を“反射器”として利用する点と、応答が元のリクエストより大きくなること(増幅)が被害を拡大する点が DRDoS(Distributed Reflection DoS/反射増幅型DDoS)の本質です。
解法ステップ
- 攻撃の手口をキー要素で分解する:送信元偽装(スプーフィング)/第三者を介する(反射)/応答の増幅性。
- 各選択肢が上記のどれに該当するかを判定する:
- 送信元偽装+第三者の応答→反射増幅型(DRDoS)。
- 直接多数の接続や特殊パケット送出のみ→直接型(SYNフラッド等)やアプリ層攻撃。
- 最も条件に一致する選択肢を選ぶ。
この手順で各選択肢を検討すると、送信元偽装と多数の DNS サーバを利用する点で ウ が一致します。
選択肢別の誤答解説
- ア: 脆弱性発見から対策提供までの猶予を利用して資源を枯渇させる記述は、脆弱性悪用による DoS(ゼロデイ攻撃やエクスプロイトの悪用)を示していますが、反射・送信元偽装の概念は含まれません。したがって DRDoS ではありません。
- イ: SYN パケットを繰り返す攻撃は典型的な SYN フラッド(TCP スタックのリソースを直接枯渇させる)であり、送信元を偽装して第三者を介する反射増幅型とは異なります。
- ウ: 多数の DNS サーバに対して送信元を標的に偽装してリクエストを送り、返ってくる応答で標的を攻撃する—これが反射増幅型(DRDoS)の典型例です(選択肢 ウ)。
- エ: 長時間かけて多数の HTTP リクエストでセッションを占有する攻撃(例:Slowloris)はアプリケーション層のリソース枯渇攻撃であり、反射増幅の要素はありません。
よくある誤解
- 「BGP フィルタリングで送信元偽装を防げる」:これは誤解です。BGP は経路情報の交換プロトコルであり、送信元アドレスの整合性検証には直接関与しません。送信元偽装の防止には BCP38 に基づく Ingress フィルタリングや uRPF(逆経路検査)などのルータレベルの対策が有効です。BGP は攻撃トラフィックを特定経路へ誘導(RTBH)して遮断するなどの緩和策には使えますが、偽装そのものを防ぐ手段ではありません。
- 「DNSSEC を入れれば DRDoS が防げる」:DNSSEC は応答の信頼性を高めますが、署名付き応答はサイズが大きくなることがあり、場合によっては増幅被害を悪化させることがあります。DRDoS の防止とは別の観点で設計判断が必要です。
補足コラム
主に攻撃に使われる反射サービスと対策例:
- よく使われるプロトコル:DNS(特にオープンリゾルバ)、NTP(monlist の頃)、SSDP、Chargen、Memcached(大容量増幅)など。これらは小さなリクエストで大きな応答を返す特性があると増幅に用いられやすい。
- 防御・緩和策(運用上有効な組み合わせ):
- 送信元偽装防止(発信側/中継側の対策)
- BCP38 に基づく Ingress フィルタリング(自ISPや自ネットワークの出口で送信元アドレスが自ネットワーク範囲に合致するか検証)
- uRPF(ルータでの逆経路検査)や Linux の rp_filter
- リフレクタ側の対策
- オープンリゾルバの閉鎖(パブリックに対する再帰的問い合わせを制限)
- DNS サーバの応答率制限(RRL: Response Rate Limiting)
- 受け手・運用者の緩和
- CDN/Anycast による負荷分散
- フロー解析とスクラビング(大規模なトラフィックをクリーンルームに誘導して除去)
- ブラックホール(ネットワーク単位でのドロップ)や RTBH(経路を使った一時遮断)の活用(サービス遮断の代償を伴う)
- 送信元偽装防止(発信側/中継側の対策)
- 設定例(参考)
- Linux での逆経路検査(rp_filter)有効化例:
sysctl -w net.ipv4.conf.all.rp_filter=1 sysctl -w net.ipv4.conf.default.rp_filter=1 - Cisco IOS の uRPF(簡易例):
interface GigabitEthernet0/0 ip address 203.0.113.1 255.255.255.0 ip verify unicast source reachable-via rx - BIND の応答率制限(RRL)設定例:
options { rate-limit { responses-per-second 5; window 5; }; };
- Linux での逆経路検査(rp_filter)有効化例:
FAQ
Q: DRDoS と通常の DDoS の違いは何ですか?
A: DRDoS は「分散反射増幅型」であり、攻撃者が第三者サーバ(反射器)を介して偽装した送信元(標的)へ応答を集中させる手法です。直接多数のボットから攻撃する従来の DDoS と比べ、攻撃トラフィックの源が反射器に見える点が特徴です。
A: DRDoS は「分散反射増幅型」であり、攻撃者が第三者サーバ(反射器)を介して偽装した送信元(標的)へ応答を集中させる手法です。直接多数のボットから攻撃する従来の DDoS と比べ、攻撃トラフィックの源が反射器に見える点が特徴です。
Q: 自分のネットワークを守るためにすぐできることは?
A: 自組織の境界での Ingress フィルタリング(BCP38 相当)、ルータやサーバでの uRPF/rp_filter の有効化、サーバの不要なサービス(オープンリゾルバ等)の停止、DNS サーバでの RRL 設定などが有効です。
A: 自組織の境界での Ingress フィルタリング(BCP38 相当)、ルータやサーバでの uRPF/rp_filter の有効化、サーバの不要なサービス(オープンリゾルバ等)の停止、DNS サーバでの RRL 設定などが有効です。
Q: ISP に頼めば送信元偽装をなくせますか?
A: ISP 側の協力(自ネットワークで BCP38 を実装する等)は極めて重要ですが、インターネット全体での実施が必要です。ISP 単独では全ての偽装を防げないため、組織単位でも対策を講じる必要があります。
A: ISP 側の協力(自ネットワークで BCP38 を実装する等)は極めて重要ですが、インターネット全体での実施が必要です。ISP 単独では全ての偽装を防げないため、組織単位でも対策を講じる必要があります。
関連キーワード: DRDoS、反射型DDoS、DNSアンプリフィケーション、送信元偽装、BCP38、uRPF、RRL、オープンリゾルバ、スクラビング

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