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システムアーキテクト試験 2010年 午後101


生産管理システムの再構築に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。

 A社は、設備機械メーカである。A社の製品は、受注生産方式で生産されているが、競合他社に対する優位性を確保するために、生産方式を見直すことになった。それに伴い、システムを再構築することになり、情報システム部を中心にシステム再構築の企画プロジェクトを立ち上げた。   〔生産方式の見直し〕  A社では現在、顧客からの受注ごとに“製番”と呼ばれる管理番号を付与し、製番単位で製品組立、製品を構成するユニット品の組立て、ユニット品を構成する部品や材料(以下、部品及び材料を資材という)の手配まで管理する方式をとっている。この方式を次の方式に変更することにした。 (1)ユニット品までは、製品をグループ化した機種ごとの販売予測に基づく見込生産方式とする。 (2)製品組立は、製番で管理する受注生産方式とする。顧客から受注した後、製品組立計画を立案するときにユニット品を引き当てる。
 図1に製品構成のモデルを示す。
システムアーキテクト試験(平成22年度 午後I 問1 図1)
〔現在の業務内容〕  A社各部門の現在の業務内容は次のとおりである。 (1)営業部門  営業部門では、販売計画の立案、顧客からの引合対応、見積り、納期回答、受注、出荷、据付けの後の検収確認、売上・請求などの業務を行っている。見積段階で仮の製番が付与され、受注確定時に正式な製番となり、以降の生産に引き継がれていく。現在の営業システムには、見積り、受注、売上・請求の機能がある。 (2)設計・技術部門  設計・技術部門では、製品の設計、製品製造の工程設計及び製造設備設計の業務を行っている。また、製品を構成するユニット品・資材の情報と、製品・ユニット品組立及び部品加工の製造工程情報を設計仕様書に記載して生産管理部門に渡す。現在の設計システムは、CADを全面的に活用している。 (3)生産管理部門  生産管理部門では、受注状況に基づく製品組立計画の立案、ユニット品及び資材の所要量計画の立案、ユニット品の組立計画及び部品の加工計画の立案の業務を行っている。所要量計画の基準となる部品表及び加工計画の基準となる工程表の生成や情報追加は、担当者が設計仕様書の図面などの内容を読み取り、生産管理システムに入力することによって行われている。現在の生産管理システムには、生産計画サブシステム、購買管理サブシステム及び工程管理サブシステムがあり、生産計画サブシステムには、生産管理部門で立案した組立て及び加工計画の登録・更新、ユニット品及び資材の所要量計算、基準情報の維持・管理の機能がある。 (4)購買部門  購買部門では、資材の所要量計画に基づいて、購入資材の購買先への発注業務を行っている。また、購買先からの受入検収、資材在庫管理、買掛金管理の業務も行っている。現在の購買管理サブシステムには、発注、受入検収、資材在庫管理の機能がある。 (5)製造部門  製造部門では、製品組立計画、ユニット品組立計画、部品加工計画に基づいて、各製造現場の作業計画立案・作業指示、製造作業、実績収集・作業進捗管理などの業務を行っている。現在の工程管理サブシステムには、作業指示、実績収集、作業進捗管理の機能がある。
  〔生産方式の変更に伴う各部門への要求事項〕  プロジェクトチームは、生産方式の変更に伴う各部門への要求事項をまとめた。 (1)営業部門  A社では、多様な顧客要求に応じるために、多数の機種を取りそろえている。ユニット品を見込生産するために、機種ごとの販売予測が重要になってくる。営業部門には、その精度を上げることが要求された。 (2)設計・技術部門  設計・技術部門には、製品を構成するユニット品をできるだけ標準化・共通化することが要求された。また、新製品の設計と既存製品の設計変更の内容を迅速に生産管理部門に提供することが要求された。 (3)生産管理部門  ユニット品の生産計画では、機種ごとの販売予測に基づいて、その機種を構成するユニット品の所要量及び在庫量から生産量を決める。  資材所要量計画では、ユニット品の生産計画を基に、ユニット品を構成する資材の所要量を計算し、資材の在庫量を加味した上で、正味の資材所要量を決める。  さらに、製品組立計画の立案では、ユニット品の所要量計算とユニット品在庫の引当てを行う。生産管理部門には、ユニット品の在庫管理や資材所要量計画の精度を上げることと、納期回答のために、製番で管理する製品組立計画の内容やその進捗状況を営業部門に適時にフィードバックすることが要求された。 (4)購買部門  発注は、資材所要量計画で設定された購入資材が対象になる。購買部門には、購買先への発注に対する納期管理の強化と資材在庫管理の精度を上げることが要求された。 (5)製造部門  製造部門には、生産管理部門に適時に作業進捗状況を報告することが要求された。   〔システム再構築の方針〕  各部門への要求事項を踏まえ、情報システム部長は次の(1)~(4)のシステム再構築方針を打ち出した。 (1)システム再構築においては、生産方式の見直しに対応して、生産管理システムを中心に見直し、営業システム、設計システムとの連携の強化を図る。 (2)生産管理システムに関しては、ユニット品の見込生産化に伴い、資材所要量計画、資材購買及び資材在庫管理を重点的に見直す。 (3)営業システムに関しては、生産管理システムでの生産計画設定のための、精度の高い情報を適時に提供するとともに、生産管理システムから営業上必要な情報のフィードバックを受けられるようにする。 (4)設計システムに関しては、生産管理システムで使用する基準情報を迅速かつ適時に提供できるようにする。   〔新生産管理システムの概要〕  プロジェクトチームがまとめた新生産管理システムの概要を表に、新生産管理システムの全体体系を図2に示す。
システムアーキテクト試験(平成22年度 午後I 問1 表1)
システムアーキテクト試験(平成22年度 午後I 問1 図2)

生産管理システムの再構築に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。

設問1

生産方式の変更は,受注・出荷における営業上の優位性をもたらす一方,在庫管理上のリスクが発生する。受注・出荷における営業上の優位性と在庫管理上のリスクについて,それぞれ25字以内で述べよ。

模範解答

営業上の優位性:受注から出荷までのリードタイムが短縮できること 在庫管理上のリスク:ユニット品,資材の在庫過不足が発生すること

解説

解答の論理構成

  1. 生産方式変更の内容を確認
    • 【問題文】「(1)ユニット品までは、…見込生産方式」「(2)製品組立は、製番で管理する受注生産方式」
  2. 営業上の優位性を導く
    • 見込生産したユニット品を「顧客から受注した後、製品組立計画を立案するときに…引き当てる」ため、受注後は組立だけですぐ出荷できる → リードタイム短縮。
  3. 在庫管理上のリスクを導く
    • 見込生産では販売予測の精度が課題。「ユニット品を見込生産するために…精度を上げることが要求」されるが、誤差が残れば余剰・不足両方の在庫リスクが発生する。
  4. 25字以内にまとめる
    • 優位性:受注から出荷までのリードタイムが短縮できること
    • リスク:ユニット品,資材の在庫過不足が発生すること

誤りやすいポイント

  • リードタイム短縮を「生産性向上」とだけ書いて具体性を欠く。
  • リスクを「在庫が増える」と一方向で記述し、不足リスクを落とす。
  • 「部品」だけに触れ、「ユニット品」や「資材」を忘れる。
  • 見込生産と受注生産の境界を取り違え、優位性とリスクの因果を逆に書く。

FAQ

Q: なぜリードタイム短縮が営業上の優位性になるのですか?
A: 受注後に組立工程だけ残るので、納期回答が早く確実になり、顧客満足や受注獲得率が向上するためです。
Q: 在庫過不足リスクは予測精度を高めれば解決できますか?
A: 改善はできますが完全には解消できません。需要変動や設計変更など外部要因があるため、適正在庫を維持する仕組みが別途必要です。
Q: 資材にもリスクが及ぶのはなぜですか?
A: ユニット品を構成する資材も同じ販売予測を前提に手配するため、予測誤差が資材在庫の余剰・不足として顕在化するからです。

関連キーワード: リードタイム短縮, 見込生産, 受注生産, 在庫過不足, 需要予測精度

設問2営業システムと新生産管理システムのインタフェースについて(1),(2)に答えよ。

(1)営業システムから生産計画サブシステムの製品組立計画及びユニット品生産計画に渡すべき情報は何か。それぞれ15字以内で述べよ。

模範解答

製品組立計画に渡すべき情報:見積り提示及び受注の情報 ユニット品生産計画に渡すべき情報:機種ごとの販売予測情報

解説

解答の論理構成

  1. システム方式の読み取り
    • 製品組立: “製品組立は、製番で管理する受注生産方式”【生産方式の見直し】。
    • ユニット品: “ユニット品までは…機種ごとの販売予測に基づく見込生産方式”【生産方式の見直し】。
  2. 営業システムが持つ情報
    • “見積り、受注、売上・請求の機能がある”【現在の業務内容 (1)営業部門】。
    • 販売予測精度向上が “営業部門には…要求された”【生産方式の変更に伴う各部門への要求事項 (1)】。
  3. インタフェース要件の導出
    • 製品組立計画モジュールは “営業システムとのインタフェース”【表 新生産管理システムの概要】—受注生産なので見積・受注情報を受け取る。
    • ユニット品生産計画モジュールも “営業システムとのインタフェース”【同表】—見込生産なので販売予測を受け取る。
  4. 15字以内で整理
    • 「見積り提示及び受注の情報」(12字)
    • 「機種ごとの販売予測情報」(11字)

誤りやすいポイント

  • 製品組立計画に「販売予測」を渡してしまう。製品は受注生産であり見込ではない。
  • ユニット品生産計画に「製番情報」を渡すと、在庫前提の見込生産ロジックが破綻する。
  • 見積段階のデータ連携を省き「受注確定情報のみ」と答えてしまい、計画立案の前倒し要件を外す。

FAQ

Q: 見積段階の情報も本当に必要ですか?
A: はい。“見積段階で仮の製番が付与され”【現在の業務内容 (1)営業部門】とあるように、製品組立計画は見積段階から作成精度を高めるため、見積情報も連携します。
Q: ユニット品側で受注情報を参照する場面は全くないのですか?
A: 基本計画は販売予測ベースですが、実際の引当処理は製品組立計画側で行われるため、ユニット品生産計画の入力としては不要です。
Q: 販売予測は営業システムだけで作成しますか?
A: 主体は営業部門ですが、“営業部門には、その精度を上げることが要求された”【生産方式の変更に伴う各部門への要求事項 (1)】とあり、生産管理部門などからの実績フィードバックを活用して精度を高めます。

関連キーワード: 販売予測, 受注情報, インタフェース, 所要量計画

設問2営業システムと新生産管理システムのインタフェースについて(1),(2)に答えよ。

(2)生産計画サブシステムの製品組立計画から営業システムに渡す情報は,営業部門のどの業務に必要か。10字以内で述べよ。

模範解答

納期回答業務

解説

解答の論理構成

  1. フィードバックすべき情報
    • 生産計画サブシステムには「製品組立計画」のモジュールがあり、ここで組立日程や進捗が管理されます。
  2. 営業部門への要求
    • 【問題文】では、生産管理部門への要求として「納期回答のために、製番で管理する製品組立計画の内容やその進捗状況を営業部門に適時にフィードバック」と記載されています。
  3. 情報を使う業務の特定
    • 営業業務一覧の中で「顧客からの引合対応」「見積り」「納期回答」「受注」などがあります。
    • 納期回答を行う際には製品組立の最新日程が必須であるため、製品組立計画から得た情報が直接活用されます。
  4. 結論
    • 以上より、営業システムが受け取る情報を必要とする業務は「納期回答業務」となります。

誤りやすいポイント

  • 「見積り業務」と混同する
    見積りの際にはコスト情報が中心で、組立日程の詳細は不要。
  • 「受注業務」と早合点する
    受注確定後に正式な製番が付くが、納期回答は受注より前のプロセス。
  • 業務名を曖昧に書く
    「回答業務」「納期確認」など設問が求める語句とずれると減点対象。

FAQ

Q: 製品組立計画の進捗情報も営業システムに渡りますか?
A: はい。【問題文】に「進捗状況を営業部門に適時にフィードバック」とあるため、計画値と実績進捗の両方が対象です。
Q: ユニット品生産計画の情報も納期回答に使いますか?
A: 直接的には製品組立計画が中心ですが、遅延要因分析などでユニット品状況を参照することはあります。ただし設問の焦点は製品組立計画から営業システムへのインタフェースです。

関連キーワード: 所要量計画, 生産計画, フィードバック, 在庫管理, インタフェース

設問3基準情報管理サブシステムの機能内容について,(1),(2)に答えよ。

(1)設計システムとのインタフェースにおいて,設計システムから受け取る情報は何か。二つ挙げ,それぞれ25字以内で述べよ。

模範解答

①:製品を構成するユニット品・資材の情報 ②:製品・ユニット品組立及び部品加工の製造工程情報

解説

解答の論理構成

  1. 設計システムが生成し、生産管理側へ渡す設計成果物を確認
    • 【問題文】
      「設計・技術部門では、製品を構成するユニット品・資材の情報と、製品・ユニット品組立及び部品加工の製造工程情報を設計仕様書に記載して生産管理部門に渡す。」
  2. 基準情報管理サブシステムの役割を確認
    • 表「新生産管理システムの概要」より、基準情報管理-部品表管理の機能に「設計システムとのインタフェース」が設定されている。
  3. したがって、設計システムから基準情報管理へ流れる情報は上記2種類であると論理的に決定できる。
  4. 25字以内で簡潔に表現し、模範解答と一致するかを検証
    • ①「製品を構成するユニット品・資材の情報」
    • ②「製品・ユニット品組立及び部品加工の製造工程情報」
      いずれも原文そのままで要件を満たす。

誤りやすいポイント

  • 「部品表そのもの」と回答してしまい、資材情報を漏らす。
  • 「工程情報」を「作業指示」と混同し、設計側でなく工程管理側の情報と誤認。
  • 「ユニット品」を省略して「製品構成情報」とだけ書き、具体性を欠く。

FAQ

Q: 「部品表」と答えるだけでは不正解ですか?
A: 不正解に近いです。設問は“設計システムから受け取る情報”を具体的に二つ挙げるよう求めています。「部品表」は①②双方を内包しきれず、得点が減る恐れがあります。
Q: 工程情報は生産管理側で作成するのでは?
A: 作業計画は生産管理側ですが、元となる「製品・ユニット品組立及び部品加工の製造工程情報」は設計システムが設計仕様書に記載し、基準情報として連携します。
Q: ユニット品情報と資材情報は別々に書くべき?
A: 【問題文】が一体として「製品を構成するユニット品・資材の情報」と記載しているため、同じフレーズでまとめるのが最も確実です。

関連キーワード: 部品表, 工程表, インタフェース, 基準情報, 在庫管理

設問3基準情報管理サブシステムの機能内容について,(1),(2)に答えよ。

(2)表中の(a)に入れる適切な処理を,15字以内で述べよ。

模範解答

a:部品表, 工程表の生成

解説

解答の論理構成

  1. 現行業務の確認
    【問題文】
    「所要量計画の基準となる部品表及び加工計画の基準となる工程表の生成や情報追加は、担当者が…生産管理システムに入力することによって行われている。」
    ─ 現状では“生成”と“情報追加”の両方を人手で実施している。
  2. 再構築方針
    (1)~(4) で「生産管理システムを中心に見直し」「基準情報を迅速かつ適時に提供」と指示。既存手作業をシステム化することが要求されている。
  3. 表「新生産管理システムの概要」の空欄
    ・部品表管理モジュールの機能が列挙され、最後に「部品表、工程表への情報追加」がある。
    ・この直前の (a) は同じ粒度で並ぶ機能名を補う欄。
  4. 組み合わせて導出
    現行で「生成+情報追加」を行っている ⇒ 新システムでも「生成」を明示する必要がある。
    よって (a) = 「部品表, 工程表の生成」。

誤りやすいポイント

  • 「情報追加」と類似表現のみを書き、生成を落とす。
  • 「部品表【又は】工程表」と単数で書き、両方を漏らす。
  • “作成”“展開”など別語を当てはめ、表の他行との用語統一を崩す。

FAQ

Q: “生成”と“作成”のどちらでも良いですか?
A: 表中の他項目は「計算」「策定」など動詞を名詞化した用語で統一されています。現行業務を踏襲し、かつ粒度を合わせる意味で「生成」が最適です。
Q: 「工程表管理」モジュールにも生成は不要ですか?
A: 表では「工程表管理」側に既に「情報追加」のみが列挙されています。工程表の初期生成は設計データから自動で行うため、インタフェースを持つ「部品表管理」側にまとめて記載すると設計との連携が明確になります。

関連キーワード: 部品表, 工程表, 所要量計画, 基準情報

設問4〔新生産管理システムの概要〕について、(1),(2)に答えよ。

(1)製品組立計画モジュールで、受注した製品を構成するユニット品について、その所要量を計算すると同時に、システムで行うべき機能は何か。20字以内で述べよ。

模範解答

ユニット品在庫を引き当てる機能

解説

解答の論理構成

  1. モジュールの対象確認
    表の「生産計画」-「製品組立計画」機能に「ユニット品所要量計算」が列挙されています。
  2. 業務要求との対応付け
    【問題文】〔生産方式の変更に伴う各部門への要求事項〕(3) 生産管理部門 に
    「製品組立計画の立案では、ユニット品の所要量計算とユニット品在庫の引当てを行う。」
    と具体的に記載されています。
  3. 「同時に行うべき機能」を抽出
    既に所要量計算はモジュールに含まれているため、残る機能は「ユニット品在庫の引当て」。
  4. 20字以内で表現
    「ユニット品在庫を引き当てる機能」で要件を満たします。

誤りやすいポイント

  • 「在庫管理資料作成」など他モジュールのキーワードを流用し、引当てを忘れる。
  • 「資材在庫の引当て」と書き換え、ユニット品と資材を混同する。
  • 「ユニット品在庫管理」とだけ書き、引当ての動作まで示さない。

FAQ

Q: 引当てと在庫管理はどう違いますか?
A: 引当ては「どの在庫をどのオーダに充てるかを予約する」行為、在庫管理は「数量やロケーションを把握する」行為です。
Q: なぜ資材ではなくユニット品の引当てなのですか?
A: 問題の文脈は「製品組立計画」であり、階層的に一つ下の構成要素がユニット品だからです。資材はさらに下位階層のため、別モジュールが担当します。
Q: 引当てを行わない場合のリスクは?
A: 製番別組立に必要なユニット品が確保できず、納期回答の精度低下や欠品によるライン停止が発生します。

関連キーワード: 所要量計算, 在庫引当, 生産計画, BOM, MRP

設問4〔新生産管理システムの概要〕について、(1),(2)に答えよ。

(2)資材正味所要量計算を行う上で、資材所要量計画モジュールに入力情報を提供する機能モジュールが三つあり、資材所要量計画の精度を上げるために、それぞれにおいて考慮すべきことがある。一つは部品表管理において、設計システムから受け取る情報や,その他の追加情報を部品表に迅速に反映することである。あと二つの機能モジュール名を挙げ、考慮すべきことをそれぞれ30字以内で述べよ。(①,②は順不同)

模範解答

①:機能モジュール名:ユニット品生産計画   考慮すべきこと:販売予測に基づいて,ユニット品生産量を適切に設定すること ②:機能モジュール名:資材在庫管理   考慮すべきこと:資材入出庫処理の確実な実施による在庫精度向上を図ること

解説

解答の論理構成

  1. 資材正味所要量計算に必要な情報を把握
    • 【問題文】「資材所要量計画では、ユニット品の生産計画を基に…資材の在庫量を加味した上で、正味の資材所要量を決める」。
      ⇒ 必要なのは「ユニット品生産計画」と「資材の在庫量」。
  2. 表から該当モジュールを抽出
    • 「ユニット品生産計画」:機能内容に「ユニット品正味所要量計算」。
    • 「資材在庫管理」:機能内容に「資材入出庫処理/資材棚卸処理」。
  3. それぞれの“考慮すべきこと”を設定
    • ユニット品生産計画:販売予測精度が所要量の精度に直結。
    • 資材在庫管理:入出庫記録が不正確だと在庫量が狂い、正味計算も誤る。
  4. よって模範解答のとおりとなる。

誤りやすいポイント

  • 「ユニット品在庫管理」を選択してしまう
    → 資材の在庫量ではなくユニット品の在庫量なので目的が異なる。
  • 「製品組立計画」を入れてしまう
    → 資材所要量計画はユニット品ベースで計算するため製品組立計画は直接関与しない。
  • “販売予測”の重要性を忘れ、予定生産量を固定値で考えてしまう。

FAQ

Q: なぜ「ユニット品生産計画」が必要なのですか?
A: 資材はユニット品に組み込まれて消費されるため、ユニット品の生産数量が確定しなければ資材の所要量が求められません。
Q: 在庫管理なら部品表管理でも良いのでは?
A: 部品表管理は設計情報を保持するだけで在庫数量は持ちません。入出庫・棚卸を扱う「資材在庫管理」でなければ最新の実在庫を取得できません。
Q: 販売予測の精度はどこで担保されますか?
A: 「営業システムとのインタフェース」を持つ「ユニット品生産計画」モジュールが販売予測を取り込み、その精度向上は【問題文】営業部門への要求事項で示されています。

関連キーワード: 資材所要量計画, ユニット品生産計画, 在庫管理, 所要量計算, 販売予測
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