マルチプロセッサの性能上限の計算問題【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:オーバヘッド定数a=0.1のとき、性能Pの上限は10となる。
- 根拠:性能式P=1+(n−1)anでn→∞の極限を考えると、Pはa1に収束する。
- 差がつくポイント:極限の考え方を理解し、分母のオーバヘッドが性能上限を決めることを押さえること。
正解の理由
性能Pは
P=1+(n−1)an
で表されます。nを非常に大きくすると、(n−1)aが支配的になり、分母はほぼnaとなります。
したがって、
n→∞limP=n→∞lim1+(n−1)an=n→∞lim(n−1)an=a1
となります。a=0.1なので、性能の上限は1/0.1=10です。よって正解はイです。
よくある誤解
性能がn台分単純に増えると考え、上限が無限大になると誤解しやすいです。オーバヘッドaがあるため、性能は必ず上限に収束します。
解法ステップ
- 性能式を確認する:P=1+(n−1)an
- nを大きくしたときの極限を考える
- 分母の1は無視できるほど小さくなるため、P≈nan=a1
- a=0.1を代入し、Pの上限を計算する
- 選択肢から10を選ぶ
選択肢別の誤答解説
- ア: 5
a=0.1なら1/a=10なので、5は性能上限として小さすぎる。
- イ: 10
正解。1/a=10で性能上限を正しく求めている。
- ウ: 15
a=0.1では性能上限は10なので、15は過大評価。
- エ: 20
同様に過大評価であり、オーバヘッドを無視している。
補足コラム
この性能式は「Amdahlの法則」に似た形で、並列処理の効率低下をオーバヘッドaで表現しています。オーバヘッドが小さいほど性能上限は高くなり、逆に大きいと性能向上は限定的です。実際のシステム設計ではこのバランスが重要です。
FAQ
Q: なぜ性能は1/aに収束するのですか?
A: nが大きくなると分母の(n−1)aが支配的になり、Pはnan=a1に近づくためです。
Q: オーバヘッドaが0の場合はどうなりますか?
A: a=0ならオーバヘッドがなく、性能は理論上n倍まで増加し、上限はありません。
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