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システムアーキテクト 2023年 午前201


問題文

システムやソフトウェアの品質に関する主張の正当性を裏付ける文書である“アシュアランスケース”を導入する目的として、適切なものはどれか。

選択肢

システムの構成品目の故障モードに着目してシステムの頼性を定性的に分析することによって、故障の原因及び影響を明らかにする。
システムやソフトウェアに関する主張と証拠を示して論理的に説明することによって、目標の品質が達成できることを示す。(正解)
システムやソフトウェアの振る舞いに対してガイドワードを用いて分析することによって、システムやソフトウェアが意図する振る舞いから逸脱するケースを明らかにする。
障害とその中間的な原因から基本的な原因までの全てをゲートで関連付けた樹形図で表すことによって、原因又は原因の組合せを明らかにする。

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アシュアランスケース【午前2解説】

正解の理由

アシュアランスケースは「主張(Claim)とそれを裏付ける証拠(Evidence)を論理的に結びつけて、ある品質・安全性などの目標が満たされていることを示す文書的構成物」です。選択肢でこれを正しく表しているのが の記述です。アシュアランスケースは単なるテスト結果や解析結果の羅列ではなく、目標(例えば「安全である」「信頼できる」)→その根拠となる議論→具体的な証拠という構造で、評価者や認証者に対して納得可能な説明を行うことを目的とします。したがって「主張と証拠を示して論理的に説明することによって、目標の品質が達成できることを示す」という の表現が最も適切です。

解法ステップ

  1. 選択肢のキーワードを短く把握する(例:「主張と証拠」「故障モード」「ガイドワード」「樹形図」)。
  2. 「主張と証拠を論理的に説明する文書」という定義が頭にあれば、それに合致する選択肢を探す。該当するのは
  3. 残りの選択肢を技術名で照合して排除する:
    • 故障モードに着目する → FMEA(選択肢ア)
    • ガイドワードを用いる振る舞い分析 → HAZOP(選択肢ウ)
    • ゲートで原因を表す樹形図 → FTA(選択肢エ)
  4. これらはいずれも解析手法であり、解析結果はアシュアランスケースの「証拠」として使えるが、アシュアランスケースそのものではないため除外する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 誤り。これはFMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モード影響分析)の記述です。構成品目の故障モードとその影響を系統的に洗い出す手法で、信頼性設計やリスク低減策の検討に使われます。FMEAの結果はアシュアランスケースの証拠になり得ますが、アシュアランスケース自体の定義ではありません。
  • ウ: 誤り。ガイドワードを用いる振る舞い分析はHAZOP(Hazard and Operability Study)です。主にプロセス設計や運用における想定外の逸脱や危険を定性的に発見する手法で、ガイドワード(例:無い、過度、逆、早い、遅い など)を使って機能の逸脱を検討します。これも解析手法であり、アシュアランスケースとは別物ですが、HAZOP結果は証拠として組み込み可能です。
  • エ: 誤り。これはFTA(Fault Tree Analysis、故障の木解析)の説明です。障害(トップ事象)から中間事象、基本原因へと論理ゲートで展開して原因や原因の組合せを明らかにする手法です。FTAは因果関係の定量化・定性化に有用で、やはりアシュアランスケースの証拠ソースになりますが、アシュアランスケースそのものではありません。

よくある誤解

  • アシュアランスケース=単なるテスト報告書と思う
    → テスト結果は重要な証拠だが、アシュアランスケースは「証拠をどのように主張と結び付けているか」が重要な点です。
  • HAZOP、FMEA、FTAなどの解析手法と混同する
    → これらは解析手法であり、アシュアランスケースは解析結果などの証拠を論理的に構成する仕組みです。
  • アシュアランスケースは一度作れば終わりと思う
    → ライフサイクルに沿って更新・追跡される「生きたアーティファクト」です。設計変更や新たな証拠で議論を再構築する必要があります。

補足コラム

アシュアランスケースの典型的な構造は「Claim(主張)– Argument(議論)– Evidence(証拠)」で、英語ではCAE構造とも呼ばれます。視覚的表現としてはGoal Structuring Notation(GSN)が広く使われています。実務では、解析手法(FMEA、HAZOP、FTA)、検証試験、コードレビュー、形式手法、運用データなど多様な証拠を組み合わせて議論を構築し、トレーサビリティを確保します。制度や認証(安全認証など)に提出する際は、単に証拠を提示するだけでなく、なぜそれで十分なのかを説明する「議論の質」が重視されます。

FAQ

Q: アシュアランスケースと安全ケースは同じですか?
A: 概念は近いですが、安全ケースは安全に特化したアシュアランスケースと考えられます。アシュアランスケースは品質・セキュリティなど広い目的で使えます。
Q: 小規模システムでもアシュアランスケースは必要ですか?
A: 規模やクリティカル度に応じて簡易版のアシュアランスケースが有効です。重要なのは「主張と証拠の対応」を明確にすることです。
Q: 解析手法の結果だけで十分なアシュアランスケースになりますか?
A: 解析結果は重要な証拠ですが、議論(argument)が欠けると説得力が不足します。証拠の妥当性・適用範囲を明示することが必要です。

関連キーワード: アシュアランスケース、CAE、GSN、HAZOP、FMEA、FTA、証拠、検証、妥当性確認、トレーサビリティ、安全性、信頼性
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