応用情報技術者 2010年 春期 午前2 問59
問題文
システム開発委託先(受託者)から委託元(委託者)に納品される成果物に対する受入テストの適切性を確かめるシステム監査の要点はどれか。
選択肢
ア:委託者が作成した受入テスト計画書に従って、受託者が成果物に対して受入テストを実施していること
イ:受託者が成果物と一緒に受入テスト計画書を納品していること
ウ:受託者から納品された成果物に対して、委託者が受入テストを実施していること(正解)
エ:受託者から納品された成果物に対して、監査人が受入テスト計画を策定していること
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受入テスト監査要点【午前2解説】
正解の理由
監査の目的は、委託元(委託者)が納品物を受領・評価するための受入手続きが適切に行われているかを独立して確認することです。したがって、監査で評価すべき要点は、委託者自身が納品物に対して受入テストを実施し、受入基準に基づいて最終判断を下していることを示す証拠の有無です。選択肢の中でこれを直接示しているのが ウ(受託者から納品された成果物に対して、委託者が受入テストを実施していること)です。
監査人は、受入テストの実施者が誰であるか、実施方法、受入基準、実施記録(テスト結果、欠陥報告、判定・署名など)を確認して適切性を判断します。受託者が単にテスト計画を納品したり、受託者自身がテストを実施しているだけでは、委託者による受入の正当性や独立性が担保されないため不十分です。
解法ステップ
- 役割を整理する:委託者(発注者)、受託者(納入者)、監査人(第三者)を区別する。
- 監査の観点を把握する:監査は「適切性の確認」であり、最終判断者が誰か、実施主体が誰かを問う問題であることを確認する。
- 各選択肢を「受入テストの実施主体」や「監査人の職務」と照らし合わせる。
- 「委託者が受入テストを実施していること」を示す選択肢を選ぶ(ウ)。
- 証拠(テスト報告書、受入判定書、欠陥ログ、署名など)が監査で確認できるかを念頭に置く。
短いチェックリスト例(監査時):
- 受入基準は定義されているか
- 委託者がテストを実行した記録があるか(日時、実施者、結果)
- 不具合の扱いと合意形成(修正・再試験・保留)が明確か
- 受入の最終承認が委託者により行われているか
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「委託者が作成した受入テスト計画書に従って、受託者が成果物に対して受入テストを実施していること」
→ 受託者が実施するのは通常「ベンダ側のテスト(検証)」であり、受入テスト(委託者が最終的に受け入れるか否かを判断する試験)は委託者が主体的に行うのが原則。受託者実施だけでは受入の独立性・客観性が欠けるため監査上不十分。 -
イ: 「受託者が成果物と一緒に受入テスト計画書を納品していること」
→ 計画書の納品は文書的証拠に過ぎず、実際に委託者がテストを行い受入判定をしたかを示すものではない。計画書の有無だけでは適切性を判断できない。 -
ウ: 「受託者から納品された成果物に対して、委託者が受入テストを実施していること」
→ 監査が確認すべき本質を示している。受入テストの実行主体と最終受入判断が委託者にあることを示す記録が重要。 -
エ: 「受託者から納品された成果物に対して、監査人が受入テスト計画を策定していること」
→ 監査人の役割は評価・独立検証であり、受入テスト計画の策定や実行主体になるべきではない。監査人が計画を作ると監査の独立性や業務分離が曖昧になる。
よくある誤解
- 受託者が実施したテスト結果=受入テストと考える誤解。受託者のテストは検証であり、委託者による受入判定が別に必要。
- 受入テストの計画書が存在すれば監査は不要だと考える誤解。計画の存在と内容の適切性、実行の事実・結果を確認する必要がある。
- 監査人がテストを作成・実施して良いとする誤解。監査人は評価・査証を行い、計画策定や実施は関係者(通常は委託者)が行う。
補足コラム
監査で受入テストの適切性を確認する際に有用な証拠・確認ポイント:
- 受入基準(合格条件、性能要件、セキュリティ要件など)が契約書や仕様書に明記され、テスト項目に反映されているか。
- テスト実行記録(実施者、日時、環境、実行手順、実施結果のログやスクリーンショット)。
- 欠陥管理記録(不具合報告書、分類、対応履歴、再試験結果)。
- 受入判定文書(承認署名、条件付き受入の記載、保留事項の明示)。
- テスト環境の再現性(テスト環境が本番と同等か、または要件に沿っているか)。
- 委託者がテストを外部に委託する場合は、委託範囲と最終判断者が委託者であることを確認する。
実務的には、委託者がテストを「実施した」だけでなく「受入の判断を行った」ことが証跡として残っているかが監査での合否を左右します。
FAQ
Q1: 受入テストの計画は誰が作るべきですか?
A1: 原則として委託者が受入基準に基づいて受入テスト計画を作成・主導します。受託者は支援やテストデータ提供、実施補助を行うことがありますが、最終的な受入判定は委託者が行います。
A1: 原則として委託者が受入基準に基づいて受入テスト計画を作成・主導します。受託者は支援やテストデータ提供、実施補助を行うことがありますが、最終的な受入判定は委託者が行います。
Q2: 受託者が実施したテストでも監査はOKですか?
A2: 受託者実施のテストは参考資料となりますが、監査では委託者自身が実施・確認した記録や受入判定書を重視します。委託者が受託者のテストを検証・受入決裁していることが重要です。
A2: 受託者実施のテストは参考資料となりますが、監査では委託者自身が実施・確認した記録や受入判定書を重視します。委託者が受託者のテストを検証・受入決裁していることが重要です。
Q3: 監査人が受入テストを計画してもよいですか?
A3: 監査人は評価・独立検証が役割であり、テスト計画の策定や実施主体になるべきではありません。監査人は策定済みの計画・実施結果の妥当性をレビューします。
A3: 監査人は評価・独立検証が役割であり、テスト計画の策定や実施主体になるべきではありません。監査人は策定済みの計画・実施結果の妥当性をレビューします。
Q4: 委託者が第三者に受入テストを委託した場合は?
A4: 第三者委託は可能ですが、契約上およびプロセス上、最終受入判断が委託者の責任であること、第三者の実施記録が委託者によって評価・承認されていることを監査で確認します。
A4: 第三者委託は可能ですが、契約上およびプロセス上、最終受入判断が委託者の責任であること、第三者の実施記録が委託者によって評価・承認されていることを監査で確認します。
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