応用情報技術者 2015年 春期 午後 問09
プロジェクトの人的資源計画とコミュニケーション計画の策定及び実施に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
A社は、食品加工業を営む中堅の会社である。中長期売上目標を達成するための施策として、物流システムを再構築することを決定し、プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトマネージャ(PM)には、システム部のW部長が任命された。システム部のX君は、システム部のY課長と利用部門である営業部のZ君とともに、プロジェクト運営事務局(以下、事務局という)のメンバに任命された。
新物流システムは利用部門の意見を最大限に取り入れ、利用者の操作画面を一新するとともに、ワークフローを取り入れて業務プロセスを大きく変えようとしていた。そのため、利用部門をプロジェクトに巻き込んで一体感を生むことが必要であった。
〔人的資源計画及びコミュニケーション計画〕
W部長と事務局は、人的資源計画及びコミュニケーション計画の立案に着手した。まず、人的資源計画として図1に示すプロジェクト体制図を作成した。

W部長は、プロジェクトメンバを、業務担当は①利用部門から専任で選出し、開発担当はシステム部から専任で選出してPMの配下に置いた。同時に、A社内で全体の利害調整や意思決定を行う委員会組織であるステアリングコミッティが設置された。
本プロジェクトのステークホルダは、A社内では経営層、利用部門とシステム部、社外では原材料供給業者、卸売業者、システム開発委託先など多岐にわたった。
例えば、ステアリングコミッティのメンバである営業担当役員のN常務は、本プロジェクトの活動を営業部長のP氏に一任していたのでプロジェクトへの直接の関与は少なかったが、業務プロセスの改革によって商品の納期が大幅に短縮されることを期待していたので、プロジェクトへの関心は高かった。
A社は、詳細設計からソフトウェア結合テストまでの開発工程について、過去に取引実績があったB社と請負契約を締結した。それ以外の工程は、準委任契約とした。B社の開発リーダであるV氏は、過去にA社の大規模開発プロジェクトに携わった経験があり、A社からの信頼が厚かった。X君は、プロジェクト計画書、及び開発要員に対する要求事項を、V氏に提示した。それを受けて、B社は、A社システムの開発経験者を中心に20数名の開発要員を手配した。
次に、事務局は、プロジェクトにおける工程ごとの a、責任及び権限を明確にするために、表1に示す責任分担のマトリックスを作成した。


利用部門とシステム部は、これまでシステム化案件に関する定例会議を開催していたが、利用部門は積極的に参加せず、コミュニケーションが十分に図られていなかった。そこで、責任分担のマトリックスに、要件定義、ユーザ受入テスト、移行の実行、及び設計の作業支援は、業務担当の a であることを明記した。
さらに、コミュニケーション計画の一環で、プロジェクトに対する各ステークホルダの b 関係及び関与に関する情報を基に、ステークホルダ登録簿を作成した。b が対立する可能性があるステークホルダに対して、印を付けた。
〔設計工程でのコミュニケーション〕
設計工程に入り、事務局は週次開催の進捗確認会議を設定した。参加者は、W部長、事務局、P部長、業務チームリーダ、開発リーダ、H~Kの開発チームリーダとした。事務局は、各開発チームリーダからの報告に基づき、全体の進捗状況を一覧形式でまとめた。さらに、進捗状況や課題などについて、月ごとに、プロジェクト状況報告書を作成し、ステアリングコミッティへ報告した。また、プロジェクトの管理情報は共有ファイルサーバに格納されており、ステークホルダ登録簿に設定されているアクセス権限に応じた資料の閲覧が可能であった。
X君は、初回の進捗確認会議の冒頭で、前週末時点の設計書の作成の予実を提出するように、開発チームリーダに指示した。会議終了後、作業の進捗度合をどのように報告すべきか、という問合せがあった。A社では、社内のプロジェクト活動の標準化を推進中であったが、その時点では作業の進捗度合に関する正式な社内基準はなかった。X君は、過去に採用された基準の事例を調べ、活動中の他プロジェクトの事務局とも話し合った結果、次に示す基準をまとめ、この基準を採用することを結論付けた。
・作業ステータスは、設計書ごとに“作業未着手”、“作業中(設計書作成中)”、“レビュー中(レビュー及び指摘事項の対応中)”、“作業完了”の4段階で示す。
・“作業中”の進捗度合は、設計書ごとに“作成ページ数/予定ページ数”で示す。
X君は、②本プロジェクトではX君がまとめたこの基準に従って報告するように回答し、プロジェクト内に周知徹底した。
利用部門は、要件定義工程でシステムへの要求仕様についてシステム部と合意していた。しかし、設計工程に入っても、利用部門から仕様に関する質問が頻繁にあった。A社内では、利用部門との質疑応答は全て事務局で受け付け、仕分けする手順になっていて、今のところ遅滞なく運営されていた。しかし、連絡手段が電子メール、電話、対面と様々であったので、事務局はそれらを仕分けたり、電話や対面による連絡内容を文書化したりすることに多くの時間を費やしていた。さらに、必要項目が漏れていることが度々あった。その結果、事務局から開発リーダ及び開発チームリーダに質問内容を的確に伝えられなかったケースが発生していた。X君は、これらの対策として、③プロジェクトにおける質疑応答の連絡手段を電子メールに限定し、B社を含めたプロジェクトの関係者全員に周知徹底した。
〔ソフトウェア結合テスト工程でのコミュニケーション〕
ソフトウェア結合テスト実施中、X君は、Y課長から緊急の仕様変更指示を受けた。3日後に予定している次回のテスト実施までに、プログラムの変更が必要だった。その日、B社のV氏は出張で不在だった。X君は、A社の開発リーダがB社の開発要員を招集してプログラムの変更を直接指示してもよいかと、Y課長に相談した。しかし、Y課長からは④“B社の開発要員に、直接指示してはいけない。”と指摘されたので、プロジェクト内で定めた基準に従い、B社にプログラムの変更を指示した。B社の開発要員の速やかな対応によって、予定どおり次回のテストに進むことができた。
設問1:〔人的資源計画及びコミュニケーション計画〕について、(1)~(3)に答えよ。
問題文を見る(1)W部長が本文中の下線①のようにした狙いを、A社内のコミュニケーションの観点から30字以内で述べよ。
模範解答
利用部門をプロジェクトに巻き込んで一体感を生むため
解説
解答の論理構成
- 本文には、下線部①について「W部長は、プロジェクトメンバを、業務担当は①利用部門から専任で選出し、開発担当はシステム部から専任で選出してPMの配下に置いた」とあります。
- その背景として「新物流システムは利用部門の意見を最大限に取り入れ、利用者の操作画面を一新するとともに、ワークフローを取り入れて業務プロセスを大きく変えようとしていた。そのため、利用部門をプロジェクトに巻き込んで一体感を生むことが必要であった」と記述されています。
- つまり、業務プロセスの大幅な変更に対して抵抗を抑え、円滑な合意形成と情報共有を行うには、利用部門が主体的に関与する体制が不可欠です。
- そこで、業務担当を「利用部門から専任で選出」し、コミュニケーション量と質を高めることで「一体感」を醸成することが狙いと読み取れます。
誤りやすいポイント
- 「専任で選出=リソース確保」が狙いと短絡的に解釈し、コミュニケーション面を見落とす。
- 体制図や責任分担マトリックスの情報に引っ張られ、権限分散や責任追跡を主目的と考えてしまう。
- 「利用者の操作画面刷新」など技術的側面に注目し、組織文化や抵抗感といった人的側面を軽視する。
FAQ
Q: なぜ「専任」である必要があるのですか?
A: 兼務だと日常業務を優先しがちになり、要件確認や意思決定が滞ります。専任化することで時間的・心理的にプロジェクトへ集中でき、密なコミュニケーションが実現します。
A: 兼務だと日常業務を優先しがちになり、要件確認や意思決定が滞ります。専任化することで時間的・心理的にプロジェクトへ集中でき、密なコミュニケーションが実現します。
Q: 開発担当をシステム部から専任で選ぶことも同じ狙いですか?
A: 開発担当については専門スキル確保と進捗コントロールが主目的ですが、利用部門との調整を迅速に行う意味でも専任が効果的です。
A: 開発担当については専門スキル確保と進捗コントロールが主目的ですが、利用部門との調整を迅速に行う意味でも専任が効果的です。
Q: ステアリングコミッティだけでは一体感は得られないのですか?
A: ステアリングコミッティは意思決定層であり、現場レベルの詳細調整や日々の課題共有には距離があります。現場メンバを専任配置することで双方の情報ギャップを埋められます。
A: ステアリングコミッティは意思決定層であり、現場レベルの詳細調整や日々の課題共有には距離があります。現場メンバを専任配置することで双方の情報ギャップを埋められます。
関連キーワード: ステークホルダ, 利害調整, 一体感形成, 専任配置, コミュニケーション計画
設問1:〔人的資源計画及びコミュニケーション計画〕について、(1)~(3)に答えよ。
問題文を見る(2)ステアリングコミッティにおいて、重要な意思決定が円滑に行われるために、ステアリングコミッティのメンバであるN常務に適した効果の高いコミュニケーション活動を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:共有ファイルサーバに格納されている、アクセス権限が高いステークホルダ向けのプロジェクトの管理情報を閲覧してもらう。
イ:週次開催の進捗確認会議への出席を依頼する。
ウ:適時個別の場を設け、プロジェクトの成果や状況を具体的に報告する。
エ:プロジェクト状況報告書を、毎月送付する。
オ:プロジェクトへの質問や意見が出されることを待ち、それらを受けたら、迅速かつ的確に対応する。
模範解答
ウ
解説
解答の導き方
結論:ウ
- 問題文からN常務の属性を整理します。本文には「営業担当役員のN常務」とあり、かつ「プロジェクトへの直接の関与は少なかった」「プロジェクトへの関心は高かった」とあります。これらから読み取れる点は次の通りです。
- 役員であることから影響力(権限、パワー)は高い可能性がある(本文に明示はないが職位から推測できる)。
- 「プロジェクトへの関心は高かった」ので関心度は高い。
- 「プロジェクトへの直接の関与は少なかった」ので日常的に会議へ出席したり細かい報告を逐次受ける余裕は少ないと判断できる。
-
ステークホルダ管理の観点では、権限(パワー)と関心度が高い相手には能動的な働きかけ(manage closely)が必要です。しかし「直接の関与は少ない」ことを考慮すると、頻繁な定例出席の要求や大量の詳細資料の一方的提供は実務上非効率です。したがって、短時間で意思決定に結びつく、タイミングを合わせた個別の報告機会が最も効果的です。
-
選択肢と対応付けて比較します。
- ア:共有ファイルサーバでの閲覧提供は受け身であり、忙しい役員が能動的に詳細を確認することを期待するのは現実的でないため不適切です。問題文にも「共有ファイルサーバに格納」され閲覧可能であると記載されていますが、それだけでは確実な関与を得られません。
- イ:週次の進捗会議への出席は時間負荷が大きく、「直接の関与は少なかった」人物には過度です。問題文は事務局が週次会議を開催していると述べていますが、そこに役員レベルを拘束するのは非効率です。
- ウ:適時に個別の場を設け、成果や状況を具体的に報告する方法は、短時間で重要事項や意思決定ポイントを伝えられ、期待される効果(例:「商品の納期が大幅に短縮されること」への説明)に直接結び付けられます。高権限・高関心・低関与の組合せに最も合致します。
- エ:毎月送付する報告は定期的で有用ではあるものの、重要な判断を要する場面や突発的な意思決定には「適時性」が不足します。補助的手段としては有効でも最優先の方法ではありません。
- オ:質問や意見を待つ受動的対応は、関心が高く影響力のあるステークホルダに対しては不十分で、期待や懸念を見落とすリスクがあります。
以上より、N常務の属性(高い関心と高い影響力だが直接関与は少ない)に最も適合するのは「ウ:適時個別の場を設け、プロジェクトの成果や状況を具体的に報告する」です。
誤りやすいポイント
- 「プロジェクトへの直接の関与は少なかった」=「影響力が低い」と誤解すること。直接関与(作業関与)と組織内での影響力(パワー)は別の概念です。本文の記述は前者を示しており、後者は職位等から判断します。
- 共有ファイルや月次の文書だけで重要ステークホルダの支持を得られると考えること。受動的手段は見落としや理解不足を招きやすいです。
- 頻度(毎週参加させるなど)を優先して、相手の時間制約や意思決定スタイルを考慮しないこと。高位のステークホルダには「質(短く的確)」が重要です。
FAQ
Q: 「プロジェクトへの直接の関与は少なかった」とあるのに、なぜ役員であるN常務の影響力は高いと考えてよいですか?
A: 「直接の関与は少なかった」は日常的な参加や詳細確認をしないことを意味しますが、役員という職位は意思決定や方針決定の権限(パワー)を持つことが通常です。関与の程度(時間的・実務的)と影響力は別軸で評価します。
A: 「直接の関与は少なかった」は日常的な参加や詳細確認をしないことを意味しますが、役員という職位は意思決定や方針決定の権限(パワー)を持つことが通常です。関与の程度(時間的・実務的)と影響力は別軸で評価します。
Q: 月次のプロジェクト状況報告(エ)は不要ですか?
A: 不要ではありません。月次報告は記録や共有の基盤として有効ですが、高権限・高関心のステークホルダには「適時性」と「意思決定に直結する要点提示」が重要なので、月次報告は個別報告の補完として位置付けると効果的です。
A: 不要ではありません。月次報告は記録や共有の基盤として有効ですが、高権限・高関心のステークホルダには「適時性」と「意思決定に直結する要点提示」が重要なので、月次報告は個別報告の補完として位置付けると効果的です。
Q: 個別報告は誰が行うべきですか?
A: 通常はPM(またはPMが指名した事務局)が責任者として要点を整理して実施します。事前に決定事項や検討事項、意思決定を求めるポイントを明確にし、短時間で結論につなげられる形で提示することが重要です。
A: 通常はPM(またはPMが指名した事務局)が責任者として要点を整理して実施します。事前に決定事項や検討事項、意思決定を求めるポイントを明確にし、短時間で結論につなげられる形で提示することが重要です。
関連キーワード: ステークホルダ分析、コミュニケーション計画、利害関係者マネジメント、意思決定支援、エンゲージメント戦略
設問1:〔人的資源計画及びコミュニケーション計画〕について、(1)~(3)に答えよ。
問題文を見る(3)本文中のa、bに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
a:役割
b:利害
解説
解答の導き方
結論:a:役割、b:利害
- a(役割)について
- 問題文に「事務局は、プロジェクトにおける工程ごとの a、責任及び権限を明確にするために、表1に示す責任分担のマトリックスを作成した。」とあります。ここは「X、責任及び権限」の並列構造になっており、責任や権限と並ぶ語として自然なのは「役割」です。
- 同文の別箇所に「責任分担のマトリックスに、要件定義、ユーザ受入テスト、移行の実行、及び設計の作業支援は、業務担当の a であることを明記した。」とあり、「業務担当の役割であること」と読むのが文法的にも意味的にも自然です。
- 表1を見ると、工程ごとにPM、業務担当、開発担当 の欄があり、セルに "管理責任"、"実行責任"、"作業支援" といった表示があります。これは「誰が、どの工程でどのような役割(=役目)を持つか」を示すためのマトリックスであり、空欄に入る語は "役割" が適切です。以上よりaは 役割 と確定できます。
- b(利害)について
- 問題文に「プロジェクトに対する各ステークホルダの b 関係及び関与に関する情報を基に、ステークホルダ登録簿を作成した。b が対立する可能性があるステークホルダに対して、印を付けた。」とあります。ここで「対立する可能性がある」と結びつく語として最も適切なのは「利害」です。
- 「利害が対立する」あるいは「利害関係が対立する」という表現はステークホルダ分析で一般的に使われ、ステークホルダ登録簿に「誰と利害が衝突する可能性があるか」を示してマーキングするのは典型的な運用です。さらに文中ですでに「関与」が明示されているため、空欄は「関与」以外の語である必要があり、文脈からもbは 利害 が最適です。
以上の理由から、解答はa:役割、b:利害 です。
誤りやすいポイント
- 空欄aを「責任」や「権限」と誤答するケース:空欄の直後に「責任及び権限」と既に書かれているため、同じ意味を重ねて入れるのは文法的に不自然です。
- 空欄aを「担当」や「職務」としてしまうケース:「責任分担のマトリックスに…は、業務担当の 担当 である」となると冗長・重複になります。問題文の流れから「役割」が最も自然です。
- 空欄bを「関心」や「影響」としてしまうケース:どちらも意味は近いですが、文中の「対立する可能性がある」に最も直結する語は「利害」です。利害は「利益や不利益(interests)」の方向が異なることで対立が発生することを表します。
- RACI等のマトリックスの理解を誤るケース:RACIはResponsible / Accountable / Consulted / Informedの略であり、一般に日本語ではそれぞれ「実行責任(Responsible)」「管理責任/説明責任(Accountable)」「協議・相談(Consulted)」「通知・報告(Informed)」のように訳されます。責任分担マトリックスが「何(役割)・誰の責任か(責任)・どの程度の決裁権か(権限)」を示す形式である点を押さえておくと混乱が減ります。
FAQ
Q: aに「職務」や「ロール」と書いたら不正解ですか?
A: 意味的には近くても、設問が期待する語は「役割」です。試験では設問の語感と文脈に合った単語(ここでは「役割」)を使うのが安全です。
A: 意味的には近くても、設問が期待する語は「役割」です。試験では設問の語感と文脈に合った単語(ここでは「役割」)を使うのが安全です。
Q: bを「影響力」としてはダメですか?
A: 「影響力(影響)」はステークホルダ分析で重要な属性ですが、問題文の「対立する可能性がある」にもっとも合う語は「利害」です。設問では「b 関係及び関与」と並んでいる点からも「利害」が適切です。
A: 「影響力(影響)」はステークホルダ分析で重要な属性ですが、問題文の「対立する可能性がある」にもっとも合う語は「利害」です。設問では「b 関係及び関与」と並んでいる点からも「利害」が適切です。
Q: 表1のどの箇所がa=役割 の根拠になりますか?
A: 表1の各工程行でPM/業務担当/開発担当 の欄に "管理責任"、"実行責任"、"作業支援" といった表示がある点が根拠です。これらは「誰がどの役割を持つか(=役割)」を示すために用いられている表示なので、空欄は「役割」です。
A: 表1の各工程行でPM/業務担当/開発担当 の欄に "管理責任"、"実行責任"、"作業支援" といった表示がある点が根拠です。これらは「誰がどの役割を持つか(=役割)」を示すために用いられている表示なので、空欄は「役割」です。
関連キーワード: 役割分担、責任分担マトリックス、利害関係、ステークホルダ登録簿、コミュニケーション計画
設問2:〔設計工程でのコミュニケーション〕について、(1)、(2)に答えよ。
問題文を見る(1)X君が行った本文中の下線②を受けて、A社として社内プロジェクト活動の標準化推進の観点から行うべきことを40字以内で述べよ。
模範解答
X君がまとめた基準を正式な社内基準とすべきかを検討する。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、A社が「社内のプロジェクト活動の標準化を推進中」である一方、「その時点では作業の進捗度合に関する正式な社内基準はなかった。」と明記されています。
- さらに、X君は「②本プロジェクトではX君がまとめたこの基準に従って報告するように回答し、プロジェクト内に周知徹底した」とあり、暫定的に独自の基準を採用した状況です。
- 標準化を推進する立場のA社としては、個別プロジェクトで生まれた実践的な基準を放置せず、全社的なルールとして採用できるかを判断・整備することが求められます。
- 以上より、「X君がまとめた基準を正式な社内基準とすべきかを検討する」という解答が導かれます。
誤りやすいポイント
- 「周知徹底する」「マニュアル化する」だけでは、標準化推進の“検討・承認プロセス”が抜け落ちるため不十分です。
- 「基準を破棄する」「新たに作り直す」と答えると、【問題文】に示された“暫定基準”を活かす発想が欠如してしまいます。
- 「全プロジェクトに適用する」と即断すると、正式承認前に適用範囲を決定してしまう点で論理の飛躍になります。
FAQ
Q: 個別プロジェクトで生まれた基準は必ず社内標準に採用すべきですか?
A: 採用を前提とするのではなく、他プロジェクトへの適合性やコストを含めて妥当性を評価・検討する必要があります。
A: 採用を前提とするのではなく、他プロジェクトへの適合性やコストを含めて妥当性を評価・検討する必要があります。
Q: 検討プロセスには誰が関与しますか?
A: 一般に、PMOや品質管理部門など標準策定を所管する組織が主導し、現場PM・利用部門からのフィードバックを受けて決定します。
A: 一般に、PMOや品質管理部門など標準策定を所管する組織が主導し、現場PM・利用部門からのフィードバックを受けて決定します。
Q: 暫定基準を正式化する際に追加すべき観点は?
A: 適用対象プロセス、測定方法の妥当性、例外管理、改訂手順などを盛り込み、文書化と教育まで行うと定着しやすくなります。
A: 適用対象プロセス、測定方法の妥当性、例外管理、改訂手順などを盛り込み、文書化と教育まで行うと定着しやすくなります。
関連キーワード: プロジェクト標準化, ステークホルダ登録簿, 進捗管理指標, 品質保証
設問2:〔設計工程でのコミュニケーション〕について、(1)、(2)に答えよ。
問題文を見る(2)X君は、質疑応答の連絡における問題点を解消するために、本文中の下線③のとおりにした。さらに実行すべき対策を20字以内で述べよ。
模範解答
連絡が必要な項目を定める。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では質疑応答の手段がばらばらで、「電話や対面による連絡内容を文書化したりすることに多くの時間を費やしていた。さらに、必要項目が漏れていることが度々あった。」と記述されています。
- 下線③で「プロジェクトにおける質疑応答の連絡手段を電子メールに限定」し、媒体は統一できましたが、同じ段落にある「必要項目が漏れている」課題は未解決です。
- 情報欠落を防ぐには、質問・回答メールに必ず記載すべき項目(案件ID、担当者、期限、影響範囲など)をテンプレート化し、入力漏れを構造的に防止する施策が必要です。
- よって、③に加えて行うべき追加策は「連絡が必要な項目を定める。」となります。
誤りやすいポイント
- 媒体を電子メールに限定すれば全て解決と早合点し、情報の質(内容不足・抜け漏れ)に触れない。
- 「フォーマットを配布する」「テンプレートを作成する」など手段を答え、設問が求める“何をすべきか”という内容面(項目定義)を外す。
- 下線③の対策と同じ内容を繰り返し記述してしまう。
FAQ
Q: フォーマット配布と項目定義は同じでは?
A: フォーマットは様式、項目定義は記載必須情報を明文化することです。フォーマットだけでは入力必須であるかが曖昧になる場合があります。
A: フォーマットは様式、項目定義は記載必須情報を明文化することです。フォーマットだけでは入力必須であるかが曖昧になる場合があります。
Q: 項目を定めるだけで運用は回るのか?
A: 定めた項目をテンプレート化し、送信前チェックリストを設けることで運用負荷を最小化しながら漏れを防げます。
A: 定めた項目をテンプレート化し、送信前チェックリストを設けることで運用負荷を最小化しながら漏れを防げます。
Q: 進捗確認会議で口頭質問が出た場合は?
A: 会議終了後に決めたテンプレートでメール発信し、公式記録として残す運用を徹底します。
A: 会議終了後に決めたテンプレートでメール発信し、公式記録として残す運用を徹底します。
関連キーワード: 電子メール, コミュニケーション, 進捗報告, ステークホルダ, 標準化
設問3:
問題文を見る本文中の下線④について、Y課長が指摘した理由を20字以内で述べよ。
模範解答
開発工程は請負契約としたから
解説
解答の論理構成
-
前提確認
【問題文】には「A社は、詳細設計からソフトウェア結合テストまでの開発工程について、過去に取引実績があった B社と請負契約を締結した。」と明記されています。 -
請負契約の特性
請負契約では、発注者は成果物に対して「完成責任」を求めますが、受注者の要員に対して直接の業務指示を行う権限は持ちません。指揮命令権は受注者(B社)にあります。 -
本件の状況
X君は「B社の開発要員を招集してプログラムの変更を直接指示」しようとしていました。これは発注者側が受注者の要員を直接動かす行為に当たり、請負契約の枠組みを逸脱します。 -
Y課長の指摘理由
「開発工程が請負契約なので、受注者の要員への直接指示は契約違反になる」──これが下線④でY課長が示した理由です。
誤りやすいポイント
- 準委任契約と請負契約の違いを取り違え、どちらでも直接指示が可能と思い込む。
- 「緊急対応だから例外的に直接指示してよい」と誤解する。請負契約は緊急でも指揮命令系統を崩さないことが原則です。
- プロジェクト体制図に「開発リーダ」が存在するため、社内のリーダが開発要員まで指揮できると早合点する。
FAQ
Q: 請負契約でも発注者が進捗会議でタスク調整するのは問題ありませんか?
A: 進捗確認や成果物レビューの要望は可能です。ただし個々の要員に「このコードをこう修正せよ」と直接指示する行為は受注者側の指揮命令権を侵害します。
A: 進捗確認や成果物レビューの要望は可能です。ただし個々の要員に「このコードをこう修正せよ」と直接指示する行為は受注者側の指揮命令権を侵害します。
Q: 準委任契約なら直接指示してもいいのですか?
A: 準委任契約では業務遂行が目的のため、発注者が業務指示を行うことは契約上許容されます。ただし契約書で定められた範囲内で指示する必要があります。
A: 準委任契約では業務遂行が目的のため、発注者が業務指示を行うことは契約上許容されます。ただし契約書で定められた範囲内で指示する必要があります。
Q: 直接指示してしまった場合のリスクは?
A: 契約違反による責任問題、追加費用や納期遅延の発生、労務管理上の責任転嫁など複合的なリスクがあります。
A: 契約違反による責任問題、追加費用や納期遅延の発生、労務管理上の責任転嫁など複合的なリスクがあります。
関連キーワード: 請負契約, 指揮命令系統, コミュニケーションマネジメント, 作業責任, ステークホルダ分析



