応用情報技術者 2016年 秋期 午前2 問52
問題文
あるプロジェクトの作業が図のとおり計画されているとき、最短日数で終了するためには、作業Hはプロジェクトの開始から遅くとも何日後に開始しなければならないか。

選択肢
ア:12
イ:14
ウ:18
エ:21(正解)
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最遅開始時刻【午前2解説】
正解の理由
作業Hの遅くとも開始できる時刻は、ネットワーク図の前方(最早時刻)計算で得た各ノードの最早終了時刻と、後方(最遅時刻)計算で得た各ノードの最遅終了時刻を用いて求めます。与えられた図ではプロジェクトの最短所要日数(クリティカルパス長)は 日で、後方計算により作業Hの最遅開始時刻は 日であるため、選択肢は エ(21)が正しいです。具体的には作業Hの最遅開始 = 作業Hの最遅終了 − 所要日数 = (後述の後方計算に基づく)となります。
解法ステップ
-
ネットワークをノード単位で前方(最早)計算する。各アクティビティの最早開始(ES)=所属ノードの最早時刻、最早終了(EF)=ES+所要日数。次ノードの最早時刻はそのノードへ入る活動のEFの最大値。
- ノード1(開始): 時刻 。
- A (1→2, 8): ES=0, EF=8 → ノード2最早=8
- B (1→3, 5): ES=0, EF=5 → ノード3最早=5
- C (1→5, 12): ES=0, EF=12 → ノード5候補=12
- D (2→4,10): ES=8, EF=18 → ノード4候補=18
- E (3→4,9): ES=5, EF=14 → ノード4候補=14 → ノード4最早 = max(18,14) = 18
- ダミー (4→5,0): ノード4最早=18 → ノード5候補=18 → ノード5最早 = max(12,18) = 18
- G (4→7,12): ES=18, EF=30 → ノード7候補=30
- F (2→7,8): ES=8, EF=16 → ノード7候補=16
- H (5→6,5): ES=18, EF=23 → ノード6最早=23
- I (6→7,4): ES=23, EF=27 → ノード7候補=27 → ノード7最早 = max(30,16,27) = 30
- よってプロジェクトの最短所要日数 = 30日(クリティカルパスは1→2→4→7)。
-
後方(最遅)計算を行う。終点ノードの最遅終了(LF)はプロジェクト所要日数に等しい(ここでは30)。各アクティビティの最遅開始(LS)=LS(終点ノード)=LF−所要日数。始点ノードの最遅時刻は各出口のLSの最小値。
- ノード7 LF = 30
- 各終端活動のLS:
- G (4→7,12): LS_G = 30−12 = 18 → ノード4 LF ≤ 18
- F (2→7,8): LS_F = 30−8 = 22 → ノード2 LF ≤ 22
- I (6→7,4): LS_I = 30−4 = 26 → ノード6 LF ≤ 26
- ノード4 LF = 18(G の LS=18 と、ダミー(4→5)経由のノード5 LF=21 の小さい方)
- D (2→4,10): LS_D = 18−10 = 8 → ノード2 LF ≤ 8(ただしノード2は他の出口との最小をとる)
- E (3→4,9): LS_E = 18−9 = 9 → ノード3 LF = 9
- ノード2の出口LSはDが8、Fが22 → ノード2 LF = min(8,22) = 8
- ノード6 LF = 26(Iにより)
- H (5→6,5): LS_H = 26−5 = 21 → ノード5 LF ≤ 21
- C (1→5,12): LS_C = ノード5 LF −12 = 21−12 = 9 → ノード1 LFの候補
- 最終的にHの最遅開始はLS_H = 21
-
作業Hを遅くとも開始しなければならない時刻はLS_H = 21日であるため、選択肢は エ(21)。
選択肢別の誤答解説
- ア: 12
誤りの典型は「作業Cの最早終了(12)」と混同してHの最遅開始とすることです。12はダミー(4→5)を無視したときの作業Hの最早開始です。実際にはHはダミーを通じて作業Dの完了も待つので、最早開始は18日です。いずれにしても“遅くとも開始しなければならない時刻”ではありません。 - イ: 14
どこかの途中ノードの最早/最遅時刻の差を誤って採用した値です。ネットワーク全体の後方計算を行わず局所的に計算すると出やすい誤答です。 - ウ: 18
18は作業Hの最早開始(ノード5の最早時刻)です。Hは18日後から開始できますが、遅くとも開始しなければならない時刻は後方計算で求める21日です。 - エ: 21(正答)
前方・後方両方の計算により作業Hの最遅開始が 日であることが示されます。すなわちHはプロジェクト開始から遅くとも21日後に開始しなければ最短で終了できません。
よくある誤解
- 最早開始(ES)と最遅開始(LS)を混同する
ESは「いつから始められるか」、LSは「遅くともいつまでに始めないと遅延するか」。両者は別の値であるため混同に注意。 - ダミー矢印を無視する
ダミーは所要日数ゼロでも依存関係を表す重要要素で、ノードの最早時刻や最遅時刻に影響するため省略してはいけません。 - クリティカルパス長=ある作業の最遅開始とは限らない
クリティカルパス上の作業ならLS=ESとなるが、HはクリティカルでないためLSはプロジェクト全体の所要日数から逆算する必要がある。
補足コラム
- ネットワーク図の表現にはAOA(矢印表現)とAON(ノード表現)があります。本問題はAOA形式で、ダミー矢印(所要日数0)が使われています。ダミーは同じノード(AON)なら不要ですが、AOAでは依存関係を表現するためにしばしば必要です。
- クリティカルパス法(CPM)の手順は「前方計算で最短所要日数と各ノードの最早時刻を得る → 後方計算で各ノードの最遅時刻を求める → 活動の余裕(スラック)を算出してクリティカル活動を特定する」です。
FAQ
Q. なぜノード7の最早終了がプロジェクト所要日数になるのですか?
A. ノード7が終点(プロジェクト完了)だからです。前方計算でノード7に到達するのに必要な最大の所要時間がプロジェクトの最短所要日数になります。
A. ノード7が終点(プロジェクト完了)だからです。前方計算でノード7に到達するのに必要な最大の所要時間がプロジェクトの最短所要日数になります。
Q. Hの最遅終了はどの値を使って計算していますか?
A. Hの最遅終了はHの直後のノード(ここではノード6)の最遅終了(LF_node6)です。ノード6の最遅終了は後続活動IのLS(= 30−4 = 26)によって決まります。したがってLS_H = 26 − 5 = 21です。
A. Hの最遅終了はHの直後のノード(ここではノード6)の最遅終了(LF_node6)です。ノード6の最遅終了は後続活動IのLS(= 30−4 = 26)によって決まります。したがってLS_H = 26 − 5 = 21です。
Q. ダミーを入れると所要日数が変わりますか?
A. ダミー自身は所要日数0なので直接の所要日数は変えませんが、依存関係を変えることでどのパスがクリティカルになるかに影響を与え得ます。
A. ダミー自身は所要日数0なので直接の所要日数は変えませんが、依存関係を変えることでどのパスがクリティカルになるかに影響を与え得ます。
関連キーワード: クリティカルパス、前方計算、後方計算、最早開始、最遅開始、ダミー作業、ネットワーク図、CPM、PERT

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