応用情報技術者 2020年 秋期 午前2 問37
問題文
PC からサーバに対し、IPv6 を利用した通信を行う場合、ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。
選択肢
ア:IPsec(正解)
イ:PPP
ウ:SSH
エ:TLS
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ネットワーク層の暗号化方式【午前2解説】
正解の理由
IPv6通信でネットワーク層(OSI参照モデルの第3層)で暗号化や認証を行う仕組みは、アのIPsecです。IPsecはIP(IPv4/IPv6)に対するセキュリティ拡張で、ネットワーク層で動作してトラフィックの機密性・完全性・認証を提供します。具体的にはESP(Encapsulating Security Payload)で暗号化(機密性)を、AH(Authentication Header)で認証・改ざん検知(完全性/認証)を実現します。鍵管理にはIKE(Internet Key Exchange、通常 IKEv2)が使われ、トンネルモードやトランスポートモードで運用されます。
解法ステップ
- 問題が「ネットワーク層で暗号化を行うもの」を問うていることを確認する(層を意識する)。
- 各選択肢の主要な動作層を思い出す:
- IPsec → ネットワーク層(IPに対するセキュリティ)
- PPP → データリンク層(点対点リンクのプロトコル)
- SSH/TLS → 通常はアプリケーション層やその上位でのセッション/トランスポート保護
- ネットワーク層で暗号化を行うものとしてIPsecが該当するため、選択肢アを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア IPsec
- 正答。IPパケット単位で動作するセキュリティ機構。ESP(暗号化)とAH(認証/整合性)を使い、IKEで鍵交換を行う。IPv6と密接に使われることが多い。
-
イ PPP
- 誤答。PPP(Point-to-Point Protocol)は物理層の上で動作するデータリンク層のプロトコルで、点対点のリンク設定・認証(LCP、PAP/CHAP)やネットワーク層プロトコルの多重化(NCP)を行う。暗号化そのものは標準で提供しない(別途MPPE等を組み合わせることはあるが、PPP自体はデータリンク層の機能でありネットワーク層暗号ではない)。
-
ウ SSH
- 誤答。SSHは主にリモートシェルやトンネルに使われるアプリケーション層のプロトコルで、セッションを暗号化する(TCP上で動作)。ホスト間のIPパケット全体をネットワーク層で暗号化する仕組みではない。
-
エ TLS
- 誤答。TLSは主にアプリケーション層の通信(例:HTTPS)の保護に用いられるプロトコルで、トランスポート層の上(またはそれに相当)で動作し、アプリケーションごとの暗号化を提供する。ネットワーク層のIPパケット全体を暗号化するものではない。
よくある誤解
- 「TLSやSSHも暗号化するからネットワーク層の暗号化と同じ」は誤りです。TLS/SSHはセッションやアプリケーション単位の保護で、パケットレベル(IP全体)の保護とは用途や適用範囲が異なります。
- 「PPPは物理層のプロトコル」ではなく、PPPは物理層の上で動作するデータリンク層のプロトコルです(点対点接続の確立やアドレスネゴシエーション、認証などを担当)。
- 「IPv6では必ずIPsecを使う」は誤解です。IPv6では実装上IPsecのサポートが規格上で重視されてきましたが、常に暗号化が自動で有効になるわけではなく、運用ポリシーに依存します。
補足コラム
- AHとESPの違い(簡潔)
- AH(Authentication Header):パケットの完全性と送信元認証を提供する(暗号化は行わない)。
- ESP(Encapsulating Security Payload):暗号化(機密性)を提供し、オプションで認証も行う。実運用では機密性が必要な場面でESPがよく使われます。
- モード:トランスポートモード(エンド間のペイロード保護)とトンネルモード(ゲートウェイ間でIPパケット全体を保護)の使い分けがポイントです。
- 実装例(Linux + strongSwanの簡単な設定イメージ)
# /etc/ipsec.conf の一部(概略)
conn example
left=192.0.2.1
right=198.51.100.1
ike=aes256-sha2_256-modp2048
esp=aes256-sha2_256
keyexchange=ikev2
auto=add
このようにIKEでSAを確立し、ESPで暗号化を行います。
FAQ
Q. IPv6でIPsecが必須ですか?
A. 実装としてIPsecのサポートが推奨されてきましたが、利用は運用方針によります。必ず有効化されているわけではありません。
A. 実装としてIPsecのサポートが推奨されてきましたが、利用は運用方針によります。必ず有効化されているわけではありません。
Q. IPsecはIPv4でも使えますか?
A. はい。IPsecはIPv4/IPv6いずれにも適用可能です。
A. はい。IPsecはIPv4/IPv6いずれにも適用可能です。
Q. エンドツーエンドの暗号化にIPsecとTLSどちらを使うべきですか?
A. 用途次第です。アプリケーション層(ウェブやメールなど)ではTLSが簡単で柔軟、ネットワーク全体やゲートウェイ間での透過的保護を行いたい場合はIPsecが適しています。
A. 用途次第です。アプリケーション層(ウェブやメールなど)ではTLSが簡単で柔軟、ネットワーク全体やゲートウェイ間での透過的保護を行いたい場合はIPsecが適しています。
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