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応用情報技術者 2023年 秋期 午前237


問題文

楕円曲線暗号の特徴はどれか。

選択肢

RSA暗号と比べて、短い鍵長で同レベルの安全性が実現できる。(正解)
共通鍵暗号方式であり、暗号化や復号の処理を高速に行うことができる。
総当たりによる解読が不可能なことが、数学的に証明されている。
データを秘匿する目的で用いる場合、復号鍵を秘密にしておく必要がない。

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楕円曲線暗号【午前2解説】

正解の理由

選択肢のうち正しいのは、です。楕円曲線暗号(ECC)は、楕円曲線上の離散対数問題(ECDLP)が計算的に難しいことを安全性の根拠としており、同等の安全性を確保するために必要な鍵長がRSAなどの従来の公開鍵方式より短くて済みます。これにより、鍵の保存・伝送や演算コストの面で効率が良く、特にリソース制約のある環境で有利です。

解法ステップ

  1. 問題文から「楕円曲線暗号」の基本性質を問う設問だと把握する。キーワードは「短い鍵長」「共通鍵」「数学的証明」「復号鍵の秘匿」など。
  2. 各選択肢を、暗号方式の分類(公開鍵/共通鍵)、理論的証明の有無、鍵の役割で検証する。
  3. 楕円曲線暗号は公開鍵暗号の一種であり、ECDLPに基づく計算困難性が前提である点から、該当する選択肢を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • (正解)
    • ECCは公開鍵暗号で、ECDLPが困難であるため、RSAと比較して短い鍵長で同等の安全性を実現できます。例えば、一般に ECC 256bit は RSA 3072bit 程度に相当するとされます。
  • イ(誤り)
    • 「共通鍵暗号方式である」とあるが、ECCは公開鍵暗号方式(公開鍵・秘密鍵の対)であり、共通鍵暗号(対称鍵)とは別の分類です。共通鍵暗号はAESなどを指し、鍵の管理や処理特性が異なります。
  • ウ(誤り)
    • 「総当たりによる解読が不可能であることが数学的に証明されている」という記述は誤りです。ECCが安全であるのはECDLPが現状計算困難であるとされるためで、情報論的に不可能(数学的に不朽の証明)と示されているわけではありません。安全性は現代の計算モデルでの困難性に基づく仮定です。
  • エ(誤り)
    • 「復号鍵を秘密にしておく必要がない」とあるが、データの秘匿目的で公開鍵暗号を使う場合、受信者の秘密鍵(復号鍵)は必ず秘匿する必要があります。復号鍵を公開すれば誰でも復号できてしまいます。

よくある誤解

  • ECCは「破られない」という誤解
    • 現状はECDLPが困難であるため安全と見なされていますが、数学的な決定的証明はありません。将来のアルゴリズムや実装ミス、量子計算機の登場で状況が変わる可能性があります。
  • 鍵長の差は単純な比率で表せるという誤解
    • 「ECCの鍵長はRSAの何分の一」といった単純な比率で表現されることがありますが、実際の等価性はビット長ごとに評価されるため、代表的な対応(例:ECC 256bit ≒ RSA 3072bit)を参照するのが適切です。

補足コラム

  • 実用上の利点
    • ECCは鍵長が短いため、署名サイズや証明書サイズが小さくなり、ネットワーク帯域やストレージ使用量を抑えられます。モバイルやIoT機器など、計算資源や通信帯域が限られる環境で広く採用されています。
  • 標準化された曲線
    • よく使われる曲線には secp256r1(別名 prime256v1)、secp384r1、secp521r1 などがあります。選択する曲線や実装によってはサイドチャネル耐性など考慮が必要です。
  • 実装上の注意点
    • アルゴリズム自体の数学的性質に加え、乱数生成、サイドチャネル対策(タイミング攻撃や電力解析)や安全なパラメータ選定が重要です。

FAQ

Q: ECCの鍵長はRSAと比べてどれくらい短くて済みますか?
A: 目安として、ECC 256bit は RSA 3072bit 程度、ECC 384bit は RSA 7680bit 程度、ECC 521bit は RSA 15360bit 程度に相当すると言われます(近似値)。用途や求める安全域によって選択してください。
Q: ECCは共通鍵暗号と何が違いますか?
A: ECCは公開鍵暗号方式で、公開鍵で暗号化(または鍵交換)し、対応する秘密鍵で復号します。一方、共通鍵暗号は同一の秘密鍵を送受信双方が共有して暗号化・復号を行います。用途や鍵配布の仕組みが異なります。
Q: 量子コンピュータはECCに影響しますか?
A: はい。量子アルゴリズム(Shorのアルゴリズム)は現行の公開鍵暗号の多く(RSA、ECCなど)を破る可能性があります。ポスト量子暗号(量子耐性のある公開鍵方式)への移行が検討されています。

関連キーワード: ECC、楕円曲線離散対数問題、ECDSA、ECDH、公開鍵暗号、鍵長比較、サイドチャネル対策、標準曲線
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