HAクラスタリングのフェールオーバ処理順序【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:フェールオーバ処理は「待機系が専有権を奪い→ネットワーク確認→ログ確認→本番系シャットダウン」の順で行うのが適切です。
- 根拠:待機系はまずリソースの専有権を確保し、ネットワーク障害の有無を確認した後、ログで状況を把握し、本番系の安全な停止を促します。
- 差がつくポイント:専有権の奪取を最初に行わないと、二重起動(スプリットブレイン)などの重大障害を招くため、順序の理解が重要です。
正解の理由
選択肢ウの順序は、HAクラスタの基本的なフェールオーバ手順に沿っています。
まず待機系サーバが本番系の論理ドライブの専有権を奪いロックを掛けることで、リソースの二重使用を防止します。
次にネットワークの正常性を確認し、障害がネットワークに起因するかを判断します。
その後、ディスクのハートビートログをチェックして本番系の状態を詳細に把握し、最後に本番系にシャットダウン要求を出します。
この流れにより、システムの整合性と安全性が保たれます。
よくある誤解
フェールオーバ時にネットワーク確認やログ確認を最初に行うべきと誤解しがちですが、専有権の確保が最優先です。
また、本番系のシャットダウンを待機系が勝手に行うのではなく、適切な手順を踏む必要があります。
解法ステップ
- 待機系サーバが本番系サーバの論理ドライブの専有権を奪い、ロックを掛ける。
- 待機系サーバから接続スイッチに対してネットワークの正常性を確認する。
- 待機系サーバは本番系サーバのディスクハートビートログをチェックし、ネットワーク負荷などの原因を調査する。
- 本番系サーバにOSのシャットダウン要求を発行し、自ら強制シャットダウンを行う。
選択肢別の誤答解説
- ア: (1)、(2)、(3)、(4)
→ ログ確認を最初に行うため、専有権確保が遅れ二重起動リスクが高まる。
- イ: (3)、(1)、(2)、(4)
→ ネットワーク確認を先に行うが、専有権奪取が後回しで安全性が低い。
- ウ: (2)、(3)、(1)、(4)
→ 正解。専有権確保を最優先し、順序も適切。
- エ: (3)、(2)、(1)、(4)
→ ネットワーク確認を最初に行い、専有権確保が遅れるため誤り。
補足コラム
HAクラスタリングでは「スプリットブレイン」と呼ばれる、複数ノードが同時にリソースを操作してしまう障害を防ぐため、専有権の管理が極めて重要です。
フェールオーバ処理は単なる切り替えではなく、システムの整合性を保つための厳密な手順に従う必要があります。
FAQ
Q: なぜ専有権の奪取が最初に必要なのですか?
A: 専有権を最初に奪わないと、両系統が同じリソースを操作し、データ破損やスプリットブレインが発生するためです。
Q: ネットワーク確認はなぜ専有権奪取の後に行うのですか?
A: 専有権を確保した後にネットワーク障害の有無を確認することで、誤ったフェールオーバを防ぎ、正確な障害判定が可能になります。
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