分散型データベースで結合演算を行うときの通信負荷を最小化する手法【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:分散型データベースの結合演算で通信負荷を最小化するにはセミジョイン法が最適です。
- 根拠:セミジョイン法は必要な結合キーのみを相手ノードに送信し、不要なデータ転送を削減します。
- 差がつくポイント:結合対象の表の行数が大きく異ならず、通信コストがボトルネックになる場合にセミジョイン法の効果が顕著です。
正解の理由
セミジョイン法は、まず片方の表から結合キーの集合だけを相手ノードに送信し、相手ノードでそのキーに該当する行だけを抽出して返します。これにより、結合に不要な行の転送を避け、通信負荷を大幅に削減できます。特に分散環境で通信コストが高い場合に有効で、問題文の「双方で行数が大きく異ならない」条件でも効率的に動作します。したがって、選択肢の中で最も通信負荷を小さくできるのはウ: セミジョイン法です。
よくある誤解
通信負荷を減らすには単純に結合処理を高速化すればよいと考えがちですが、分散環境では通信量の削減が最優先です。単純な結合アルゴリズムは通信量を増やすことがあります。
解法ステップ
- 問題文の条件を確認し、分散環境かつ結合対象の表の行数が近いことを把握する。
- 通信負荷を最小化する手法を選ぶ必要があると理解する。
- 各結合手法の特徴を整理する(入れ子ループ法、インデックスジョイン法、セミジョイン法、マージジョイン法)。
- セミジョイン法が結合キーのみを送信し、不要なデータ転送を減らす点を確認する。
- これにより通信負荷が最も小さくなることから、ウを選択する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 入れ子ループ法
全行を相手ノードに送るか、繰り返し通信が発生し通信負荷が高くなるため不適切。
- イ: インデックスジョイン法
インデックスを利用して効率化するが、通信負荷削減には直接つながらず、分散環境では通信量が多くなる。
- ウ: セミジョイン法
必要な結合キーだけを送信し、通信負荷を最小化できるため正解。
- エ: マージジョイン法
両方の表をソートして結合するが、分散環境での通信量削減には寄与しない。
補足コラム
セミジョイン法は分散データベースの代表的な通信負荷削減手法であり、特に大規模データの結合処理で効果を発揮します。通信コストが高いネットワーク環境では、計算コストより通信コストの最適化が重要です。また、セミジョイン法は結合キーの選択性が高い場合により効果的です。
FAQ
Q: セミジョイン法はどのような場合に効果が高いですか?
A: 結合キーの選択性が高く、不要な行を多く除外できる場合に通信負荷を大幅に削減できます。
Q: マージジョイン法はなぜ通信負荷削減に向かないのですか?
A: 両方の表を全て送受信してソート・結合するため、通信量が多くなりやすいからです。
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