エンベデッドシステムスペシャリスト 2011年 午前2 問14
問題文
A/D変換に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:サンプリング周期が短いほど、高い周波数の信号まで変換できる。(正解)
イ:ナイキスト周波数を超える入力信号は、ディジタルフィルタで補正することによって正しく変換できる。
ウ:入力信号よりもノイズの周波数が高い場合、ハイパスフィルタを用いることによって正しく変換できる。
エ:変換時間が短いほど、高い分解能で変換できる。
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サンプリング周期と変換可能周波数【午前2解説】
正解の理由
適切なのはアです。サンプリング周期が短いほど、単位時間当たりの標本化回数であるサンプリング周波数が高くなります。
サンプリング周波数を とすると、正しく変換できる信号の周波数は、原則としてナイキスト周波数 より低い範囲です。そのため、サンプリング周期を短くして を高くすると、より高い周波数の信号まで変換できます。
解法ステップ
- サンプリング周期 とサンプリング周波数 の関係を確認します。
なので、周期が短いほど周波数は高くなります。 - 変換可能な信号の上限は、ナイキスト周波数 です。
- サンプリング周期を短くするとナイキスト周波数も高くなるため、高い周波数の信号を扱えます。
選択肢別の誤答解説
- ア:適切です。サンプリング周期が短いほどサンプリング周波数が高くなり、変換できる信号の周波数範囲も広がります。
- イ:不適切です。ナイキスト周波数を超えた信号を標本化すると、折返し雑音(エイリアシング)が発生します。標本化後にディジタルフィルタで補正するのではなく、A/D変換の前にアナログのローパスフィルタで高周波成分を除去するのが基本です。
- ウ:不適切です。入力信号より高い周波数のノイズを抑えるには、一般にローパスフィルタを使います。ハイパスフィルタは低い周波数を通しにくくするため、目的に合いません。
- エ:不適切です。変換時間と分解能は別の性能指標です。変換時間が短いことだけから、高い分解能になるとはいえません。
よくある誤解
- ナイキスト周波数とサンプリング周波数を混同する
ナイキスト周波数はサンプリング周波数そのものではなく、その半分です。 - 標本化後のディジタルフィルタでエイリアシングを直せると思う
折返しが起きると異なる周波数成分が重なってしまうため、標本化後の処理では元の信号を正しく復元できません。 - 変換速度が速ければ分解能も高いと思う
変換速度は処理にかかる時間、分解能は信号を何段階で表せるかを示す指標です。
補足コラム
A/D変換では、入力信号の最高周波数を とすると、理論上はサンプリング周波数を より高くする必要があります。実際の回路では、理想的な条件を満たすだけでなく、A/D変換の前にアンチエイリアシングフィルタを設け、不要な高周波成分を抑えることが一般的です。
FAQ
Q. サンプリング周波数を信号周波数の2倍にすれば、いつでも正しく変換できますか?
A. 理論上の基準は「信号の最高周波数の2倍を超えること」です。ただし、実際にはフィルタの特性などを考慮して、余裕を持ったサンプリング周波数にします。
A. 理論上の基準は「信号の最高周波数の2倍を超えること」です。ただし、実際にはフィルタの特性などを考慮して、余裕を持ったサンプリング周波数にします。
Q. ノイズが入力信号より高い周波数なら、何を使って除去しますか?
A. 高周波のノイズを抑えるには、一般にローパスフィルタを使います。A/D変換でエイリアシングを防ぐ場合は、変換前に適用します。
A. 高周波のノイズを抑えるには、一般にローパスフィルタを使います。A/D変換でエイリアシングを防ぐ場合は、変換前に適用します。
Q. 分解能は何によって決まりますか?
A. 主にA/D変換器のビット数で決まります。ビット数が の場合、量子化できる段階数は です。
A. 主にA/D変換器のビット数で決まります。ビット数が の場合、量子化できる段階数は です。
関連キーワード: A/D変換、サンプリング周期、サンプリング周波数、ナイキスト周波数、エイリアシング、アンチエイリアシングフィルタ、量子化分解能

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