基本情報技術者 2009年 秋期 午前(科目A) 問80
問題文
図のような契約の下で、A社、B社、C社の開発要員がプロジェクトチームを組んでソフト開発業務を実施するとき、適法な行為はどれか。

選択肢
ア:A社の担当者がB社の要員に直接作業指示を行う。
イ:A社のリーダがプロジェクトチーム全員の作業指示を行う。
ウ:B社の担当者がC社の要員に業務の割り振りや作業スケジュールの指示を行う。(正解)
エ:B社の担当者が業務の進捗によってC社の要員の就業条件の調整を行う。
契約関係と指揮命令の適法性【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論→B社とC社が「派遣契約」の関係にあるため、B社担当者がC社要員に業務割振りや作業スケジュールの指示を行う行為は適法である。
- 根拠→労働者派遣では「指揮命令権」は派遣先(今回のB社)に認められる一方、賃金・就業条件など雇用管理は派遣元(C社)の権限に残るという法理に基づく。
- 差がつくポイント→請負関係(A社↔B社)は発注者の直接的な指揮を認めない点と、就業条件の調整は派遣元が行う点を必ず区別して理解すること。
正解の理由
正解: ウ
B社とC社は「派遣契約」で結ばれているため、C社の要員は雇用関係上はC社に所属する派遣労働者です。派遣先であるB社は業務の指示・割振りや作業スケジュールの設定といった「業務上の指揮命令」を行うことが適法です。一方で賃金や雇用条件の変更・調整は派遣元であるC社の管理領域に属し、これを派遣先が行うと問題になります。したがって「業務の割り振りや作業スケジュールの指示」は合法であり、ウが正解です。
B社とC社は「派遣契約」で結ばれているため、C社の要員は雇用関係上はC社に所属する派遣労働者です。派遣先であるB社は業務の指示・割振りや作業スケジュールの設定といった「業務上の指揮命令」を行うことが適法です。一方で賃金や雇用条件の変更・調整は派遣元であるC社の管理領域に属し、これを派遣先が行うと問題になります。したがって「業務の割り振りや作業スケジュールの指示」は合法であり、ウが正解です。
よくある誤解
- 「派遣先は派遣社員のすべての管理ができる」と考える誤解:業務上の指揮は可能でも、賃金や雇用条件の変更など雇用管理は派遣元の権限です。
- 「請負だから発注元(A社)は何でも指示できる」と考える誤解:請負は成果責任を負う契約であり、発注元が日々の作業指示を行うと請負の実態が崩れ、偽装請負になる恐れがあります。
解法ステップ
- 図で契約関係を確認する:A社↔B社は請負契約、B社↔C社は派遣契約。
- 「請負」と「派遣」の本質を整理する:請負は成果提供・業務の一括受託、派遣は労働者を派遣する形態で指揮関係が発生。
- 各選択肢がどの契約関係に触れているか判定する:指示の主体と対象の間にある契約形態を照らし合わせる。
- 労働法上の権限(指揮命令 vs 雇用管理)を基に適法性を判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: A社の担当者がB社の要員に直接作業指示を行う。
→ 誤り。A社とB社は請負契約関係。請負では受託者(B社)が業務遂行の裁量・指揮命令権を持つため、発注者(A社)が直接作業指示を行うと請負の実態を損ない得る。偽装請負の問題にもつながる。 - イ: A社のリーダがプロジェクトチーム全員の作業指示を行う。
→ 誤り。A社はB社との請負関係にあり、さらにC社要員は派遣労働者であるため、A社が全員に指示することは契約形態上認められない。特に派遣要員への直接指揮は派遣先(B社)に限定されるべきである。 - ウ: B社の担当者がC社の要員に業務の割り振りや作業スケジュールの指示を行う。
→ 正解。B社は派遣先として派遣労働者(C社の要員)に対して業務上の指揮命令を行うことが可能であり、業務割振りやスケジュール指示は許容される。 - エ: B社の担当者が業務の進捗によってC社の要員の就業条件の調整を行う。
→ 誤り。就業条件(賃金、雇用時間、各種待遇)は原則として派遣元であるC社の管理領域であり、派遣先のB社がこれを調整すると雇用管理の越権となる。
補足コラム
- 請負契約と派遣契約は似て非なる関係です。請負は「成果物」を契約対象とし、受託者が労務管理と遂行方法を自ら決めます。派遣は「労働力の提供」であり、派遣先が直接指揮命令できる代わりに、雇用管理は派遣元が担います。
- 実務上は「誰が指示しているか」「誰が実際に雇用しているか」「報酬や人事管理を誰が行っているか」を総合的に見て「派遣」か「請負」かが判断されます。違法派遣や偽装請負は監督官庁の是正対象となるため注意が必要です。
FAQ
Q1: 派遣先は派遣社員に対してどこまで指示できますか?
A1: 業務内容や作業手順、時間配分などの「業務上の指揮」は可能ですが、賃金や雇用契約内容の変更など雇用管理は派遣元に属します。
A1: 業務内容や作業手順、時間配分などの「業務上の指揮」は可能ですが、賃金や雇用契約内容の変更など雇用管理は派遣元に属します。
Q2: 発注元(A社)が請負先の社員に細かく指示するとどうなる?
A2: 請負の実態を崩し偽装請負と見なされる恐れがあり、法的・行政的リスクを招きます。発注は成果物の要件提示に留め、日常の作業指揮は受託者の裁量に任せるべきです。
A2: 請負の実態を崩し偽装請負と見なされる恐れがあり、法的・行政的リスクを招きます。発注は成果物の要件提示に留め、日常の作業指揮は受託者の裁量に任せるべきです。
Q3: 就業条件の調整とは何を指しますか?
A3: 賃金の決定、労働時間や休日の設定、雇用契約の変更、懲戒などの人事管理に関わる事項を指します。
A3: 賃金の決定、労働時間や休日の設定、雇用契約の変更、懲戒などの人事管理に関わる事項を指します。
Q4: 違法な指示を受けた派遣社員はどうすればよいですか?
A4: まず派遣元に相談し、必要なら労働基準監督署や労働局に相談・通報することが考えられます。
A4: まず派遣元に相談し、必要なら労働基準監督署や労働局に相談・通報することが考えられます。
関連キーワード: 労働者派遣法、請負契約、派遣契約、指揮命令関係、雇用管理、偽装請負、業務委託、就業条件、外注、下請け

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