基本情報技術者 2010年 春期 午前(科目A) 問36
問題文
インターネット接続用ルータの NAT 機能の説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:インターネットへのアクセスをキャッシュしておくことによって、その後に同じ IP アドレスのサイトへアクセスする場合、表示を高速化できる機能である。
イ:通信中の IP パケットから特定のビットパターンを検出する機能である。
ウ:特定の端末あての IP パケットだけを通過させる機能である。
エ:プライベート IP アドレスとグローバル IP アドレスを相互に変換する機能である。(正解)
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NAT(アドレス変換)【午前解説】
正解の理由
正解: エ
NAT(Network Address Translation)はその名称どおりネットワークアドレスの変換機能です。家庭や企業のルータが内部でプライベートIP(RFC1918で定義)を持つ端末群の送信元IPを、プロバイダから割り当てられたグローバルIP(および必要時はポート番号)に書き換え、外部からの応答を受け取った際に元の内部IPへ戻す処理を行います。したがって「プライベートIPとグローバルIPアドレスを相互に変換する機能」である選択肢エが正しい説明です。
解法ステップ
- 問題文のキーワード「NAT」「ルータ」「インターネット接続」を確認する。
- NATの基本定義を思い出す:「Network Address Translation=アドレス変換」。
- 各選択肢を「変換(アドレス/ポート)」「キャッシュ」「パターン検出」「通過制御」に分類し、NATの定義に一致するものを選ぶ。
- 一致するのが選択肢エであれば正答と判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: インターネットへのアクセスをキャッシュして表示を高速化する機能である。
解説:これはプロキシサーバやキャッシュサーバの説明であり、NATの説明ではありません。NATは表示のキャッシュを行わず、IPアドレスの書換を行います。 - イ: 通信中の IP パケットから特定のビットパターンを検出する機能である。
解説:これはIDS/IPSや深層パケット検査(DPI)の説明に該当します。NATはパターン検出ではなく変換を行います。 - ウ: 特定の端末あての IP パケットだけを通過させる機能である。
解説:これはパケットフィルタやファイアウォールの動作に近い説明です。NATは通過制御そのものが主目的ではなく、アドレス変換が主です。 - エ: プライベート IP アドレスとグローバル IP アドレスを相互に変換する機能である。
解説:正しい。NATの定義に一致します(静的NAT、動的NAT、PAT/オーバーロードなどの形態があります)。
よくある誤解
- キャッシュ機能と混同する:Webキャッシュやプロキシの「キャッシュで高速化する」機能はNATではなく別機能です。表示高速化とは無関係です。
- 侵入検知やパターン検出と同一視する:パケットの特定パターンを検出するのはIDS/IPSやパケットフィルタの役割で、NATはアドレス変換が主目的です。
- 単純な通過制御と混同する:ファイアウォールやACLは「通す/通さない」を決めますが、NATは通過させる際にアドレスを書き換える処理を行います。両者は併用されることが多いですが目的が異なります。
補足コラム
NATには主に以下の種類があります。
- 静的NAT(1対1変換):内部IPと外部IPを固定で対応付ける。
- 動的NAT:プールされたグローバルIPを動的に割り当てる。
- PAT(Port Address Translation、オーバーロード):1つのグローバルIPで多数の内部端末をポート番号で識別して共有する。
例:内部端末 A (192.168.0.10:12345) → 外部からは (203.0.113.1:40001) と見える。戻り時にルータがポート番号でどの内部端末へ返すか決定します。NATはIPv4アドレス枯渇に対する対処として普及しましたが、IPv6では原理的に不要になることが期待されています。
FAQ
Q1. NATはセキュリティ機能ですか?
A1. 部分的に「外部から直接内部IPが見えない」ため保護効果はありますが、NAT自体はアクセス制御や検査を目的としたセキュリティ機能ではありません。ファイアウォールと併用するのが一般的です。
A1. 部分的に「外部から直接内部IPが見えない」ため保護効果はありますが、NAT自体はアクセス制御や検査を目的としたセキュリティ機能ではありません。ファイアウォールと併用するのが一般的です。
Q2. PATとNATは同じですか?
A2. PATはNATの一種で、1つのグローバルIPをポートで多人数共有する方式(オーバーロード)を指します。一般に「NAT」と言うと広義でこれを含みます。
A2. PATはNATの一種で、1つのグローバルIPをポートで多人数共有する方式(オーバーロード)を指します。一般に「NAT」と言うと広義でこれを含みます。
Q3. NATとプロキシはどう違いますか?
A3. プロキシはアプリケーション層で中継・キャッシュ・フィルタを行い、NATはIP(および場合によってはポート)を書き換えるネットワーク層/トランスポート層の処理です。
A3. プロキシはアプリケーション層で中継・キャッシュ・フィルタを行い、NATはIP(および場合によってはポート)を書き換えるネットワーク層/トランスポート層の処理です。
関連キーワード: NAT、プライベートIP、グローバルIP、PAT、ポートフォワーディング、静的NAT、動的NAT、RFC1918、ルータ、IPv6移行

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