基本情報技術者 2012年 秋期 午前(科目A) 問80
問題文
派遣元会社A社と派遣先会社B社が派遣契約を結び、A社は社員であるN氏を派遣した。労働者派遣法に照らして適切な行為はどれか。
選択肢
ア:B社の繁忙期とN氏の休暇申請が重なったので,B社から直接N氏に休暇の変更を指示した。
イ:N氏からの作業環境に関する苦情に対し、B社は雇用関係にないので、対応はA社だけで行った。
ウ:N氏は派遣期間中の仕事に関する指示を、B社の担当者から直接受けることにした。(正解)
エ:派遣期間中にN氏の作業時間が空いたので、B社は派遣取決め以外の作業を依頼した。
派遣契約における指揮命令と雇用管理の範囲【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論→派遣先は業務の具体的な指揮命令を行えるが、休暇や賃金などの雇用管理や契約変更は派遣元の権限であり派遣先は単独で変更できません。
- 根拠→労働者派遣法と労働安全衛生法は、派遣先に作業指示・安全配慮義務を課しつつ、雇用条件の決定・管理は派遣元の責任と位置づけています。
- 差がつくポイント→「指揮命令」と「雇用管理」を混同しないこと、派遣取決めの範囲外の業務依頼は原則禁止であり事前合意が必要である点に注意してください。
正解の理由
正解: ウ
派遣労働の関係では、派遣先(B社)は日々の業務の遂行方法や仕事の指示(指揮命令)を行うことが認められます。一方で、休暇の承認や賃金の決定、雇用契約そのものの変更などの「雇用管理」は派遣元(A社)の権限です。したがって「派遣期間中の仕事に関する指示をB社の担当者から直接受ける」行為は、法的に許容される正常な運用です。
派遣労働の関係では、派遣先(B社)は日々の業務の遂行方法や仕事の指示(指揮命令)を行うことが認められます。一方で、休暇の承認や賃金の決定、雇用契約そのものの変更などの「雇用管理」は派遣元(A社)の権限です。したがって「派遣期間中の仕事に関する指示をB社の担当者から直接受ける」行為は、法的に許容される正常な運用です。
よくある誤解
- 派遣先は派遣社員に何でも指示できる:業務指示は可能でも、休暇や賃金など雇用条件の変更はできません。
- 派遣先は職場環境の苦情に無関係:派遣先にも安全配慮義務や職場管理義務があり、苦情対応は放棄できません。
- 派遣契約の範囲外業務は黙認される:空き時間に別業務を勝手に依頼するのは原則禁止で、合意が必要です。
解法ステップ
- 問題文で「指示の内容が業務(作業方法・指揮命令)か、雇用管理(休暇・賃金等)か」を切り分ける。
- 「派遣先が行えること(作業指示・安全配慮)」と「派遣元が行うこと(雇用管理)」を照合する。
- 各選択肢がどちらに該当するかを判定し、法的に認められるかどうかで正誤を決める。
選択肢別の誤答解説
- ア: B社の繁忙期とN氏の休暇申請が重なったので,B社から直接N氏に休暇の変更を指示した。
→ 誤り。休暇の承認や変更は雇用管理に関する事項であり、派遣元が管理します。派遣先が直接変更を指示するのは不適切です。 - イ: N氏からの作業環境に関する苦情に対し、B社は雇用関係にないので、対応はA社だけで行った。
→ 誤り。派遣先にも職場の安全衛生や労働環境についての責任があり、苦情対応や改善措置の実施義務があります。放置は違反になります。 - ウ: N氏は派遣期間中の仕事に関する指示を、B社の担当者から直接受けることにした。
→ 正解。業務の具体的な指示・指揮は派遣先が行うことができ、これは派遣の通常運用に合致します。 - エ: 派遣期間中にN氏の作業時間が空いたので、B社は派遣取決め以外の作業を依頼した。
→ 誤り。派遣取決め(派遣契約)に含まれない業務の依頼は原則禁止であり、事前に派遣元と調整・合意が必要です。
補足コラム
派遣関係でよく問題になるのは「指揮命令」と「雇用管理」の境界線です。具体例で整理すると、派遣先が行うのは「1日の作業内容、作業手順、出勤指示(作業開始・終業時刻の範囲内での指示)」など業務遂行に関する指示です。一方で「有給休暇の付与・承認、雇用契約の解約、給与支払」は派遣元の責務です。また、派遣先は労働安全衛生法上の義務により、職場の安全確保や健康管理を行わなければならず、派遣労働者の苦情に対して何も対応しないことは許されません。実務上、業務範囲を超える依頼が発生した場合は、派遣元と派遣先で速やかに派遣取決めの変更や別途契約を行う必要があります。
FAQ
Q1: 派遣先は作業時間の変更を命じられますか?
A1: 業務指示の範囲内で勤務の割り振りや業務開始の指示は可能ですが、就業規則や契約で定める大幅な勤務条件変更は派遣元と調整が必要です。
A1: 業務指示の範囲内で勤務の割り振りや業務開始の指示は可能ですが、就業規則や契約で定める大幅な勤務条件変更は派遣元と調整が必要です。
Q2: 派遣社員の苦情はどちらが対応するべきですか?
A2: 原則として派遣先は職場の管理責任を負い、苦情対応や改善措置を行う必要があります。必要に応じて派遣元と連携します。
A2: 原則として派遣先は職場の管理責任を負い、苦情対応や改善措置を行う必要があります。必要に応じて派遣元と連携します。
Q3: 空き時間に他部署の手伝いを頼めますか?
A3: 派遣契約に含まれない業務を勝手に依頼することは原則禁止です。追加業務は派遣元と合意のうえで対応します。
A3: 派遣契約に含まれない業務を勝手に依頼することは原則禁止です。追加業務は派遣元と合意のうえで対応します。
関連キーワード: 労働者派遣法、派遣元、派遣先、指揮命令、雇用管理、派遣契約、労働条件、安全衛生

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