基本情報技術者 2012年 春期 午前(科目A) 問80
問題文
製造物責任法の対象となる制御用ソフトウェアの不具合はどれか。ここで、制御用ソフトウェアはエレベータの制御装置に組み込まれているものとする。
選択肢
ア:エレベータの待ち時間が長くなる原因となった不具合
イ:エレベータの可動部分の交換を早める原因となった不具合
ウ:エレベータメーカーの出荷作業の遅延の原因となった不具合
エ:人的被害が出たエレベータ事故の原因となった不具合(正解)
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製造物責任法と制御用ソフトウェア【午前解説】
正解の理由
正解:エ
制御用ソフトウェアがエレベータの制御装置に組み込まれている場合、そのソフトは当該機械の一部(製造物)と見なされます。PL法は「欠陥ある製造物」によって人の生命・身体に被害が生じた場合の損害賠償を想定しており、人的被害を生じさせた不具合は明確にこの対象に該当します。したがって、人的被害を伴うエレベータ事故を引き起こした不具合がPL法の対象となります。
制御用ソフトウェアがエレベータの制御装置に組み込まれている場合、そのソフトは当該機械の一部(製造物)と見なされます。PL法は「欠陥ある製造物」によって人の生命・身体に被害が生じた場合の損害賠償を想定しており、人的被害を生じさせた不具合は明確にこの対象に該当します。したがって、人的被害を伴うエレベータ事故を引き起こした不具合がPL法の対象となります。
解法ステップ
- 被害の種類を特定する(人的被害、財産損害、経済的損失のどれか)。
- 対象物が「製造物」かを判断する(ソフトが単体か組み込みか、製品の一部か)。
- PL法の適用要件(欠陥の存在、因果関係、被害の種類)に照らして当てはまるか検討する。
- 選択肢ごとに「人的被害かどうか」を基準に正誤を決める(人的被害ならPL法の典型的対象)。
選択肢別の誤答解説
- ア: エレベータの待ち時間が長くなる原因となった不具合
→ 待ち時間の増加は利便性の低下や時間的損害であり、主に経済的・精神的損害に相当します。PL法は人の生命・身体に被害を与えた場合が主眼のため、通常は該当しません。 - イ: エレベータの可動部分の交換を早める原因となった不具合
→ 部品の摩耗や寿命低下は財産的損害(修理・交換費用)に該当します。財産被害でも適用され得る場面はあるものの、PL法の中心は人的被害であり、選択肢エと比べると典型的な適用例ではありません。 - ウ: エレベータメーカーの出荷作業の遅延の原因となった不具合
→ 出荷遅延は企業の業務や営業損失といった純粋な経済的損害であり、PL法の対象範囲ではないか限定的です。 - エ: 人的被害が出たエレベータ事故の原因となった不具合
→ 人の生命・身体に被害を与えた場合はPL法の典型的適用事例であり、制御用ソフトが組み込まれた製品の欠陥として製造物責任の対象になります(正解)。
よくある誤解
- ソフトウェアは「無形」だからPL法の対象外:組み込まれたソフトウェアは製品の一部として扱われ得るため、組み込みソフトは対象となり得ます。
- すべての損害がPL法で賠償される:PL法の主眼は人の生命・身体の保護であり、純粋な経済的損失は適用外または限定されます。
- 「欠陥=バグ=自動的責任」ではない:因果関係や欠陥の存在・発生時点など立証要素が必要で、製造者が責任を免れる抗弁も存在します。
補足コラム
- 組み込みソフトウェアとPL法:単体で提供されるソフトウェアと異なり、機械に組み込まれその機能を直接制御するソフトウェアは「製品の一部」として法的評価されやすく、欠陥が人的被害を招けばPL法適用の可能性が高まります。
- 法的争点:実務上は「欠陥の存在」「欠陥と被害の因果関係」「被害の範囲(人的か財産か)」が主要な争点です。メーカーは欠陥不存在や相当注意を尽くした旨、また被害者側の過失を主張する場合があります。
- 設計上の注意:安全クリティカルなソフトは設計・検証・運用で安全対策(フェイルセーフ、冗長化、検証証跡)を強化することがリスク低減に直結します。
FAQ
Q1: 組み込みでない市販のソフトウェアはPL法の対象になりますか?
A1: ソフトウェア単体も「製品」として販売されれば対象となり得ますが、サービス形態の提供や純粋な情報提供は対象外となる場合があります。事案により判断が分かれます。
A1: ソフトウェア単体も「製品」として販売されれば対象となり得ますが、サービス形態の提供や純粋な情報提供は対象外となる場合があります。事案により判断が分かれます。
Q2: 人的被害が無ければPL法での救済は受けられませんか?
A2: PL法は人的被害を重視しますが、財産被害についても適用される場合があります。ただし純粋な経済的損失(商品の価格低下など)は適用外とされることが多いです。
A2: PL法は人的被害を重視しますが、財産被害についても適用される場合があります。ただし純粋な経済的損失(商品の価格低下など)は適用外とされることが多いです。
Q3: ソフトウェアの「バグ」=自動的にメーカー責任ですか?
A3: いいえ。欠陥の立証、因果関係、被害発生の状況などが必要であり、メーカーにも抗弁や過失相殺の余地があります。
A3: いいえ。欠陥の立証、因果関係、被害発生の状況などが必要であり、メーカーにも抗弁や過失相殺の余地があります。
Q4: どのような予防措置が有効ですか?
A4: リスクアセスメント、フェイルセーフ設計、厳格なテスト・バリデーション、監査ログの整備やユーザへの注意喚起が有効です。
A4: リスクアセスメント、フェイルセーフ設計、厳格なテスト・バリデーション、監査ログの整備やユーザへの注意喚起が有効です。
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