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基本情報技術者 2016年 春期 午前(科目A)25


問題文

3次元グラフィックス処理におけるクリッピングの説明はどれか。

選択肢

CG映像作成における最終段階として、物体のデータをディスプレイに描画できるように映像化する処理である。
画像表示領域にウィンドウを定義し、ウィンドウの外側を除去し、内側の見える部分だけを取り出す処理である。(正解)
スクリーンの画素数が有限であるために図形の境界近くに生じる、階段状のギザギザを目立たなくする処理である。
立体感を生じさせるために、物体の表面に陰影を付ける処理である。

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クリッピング処理【午前解説】

正解の理由

選択肢は、描画可能な領域(ウィンドウ/ビューフラスタム)に対して外側のジオメトリを切り落とし、可視部分だけを残す処理を表しており、これが3次元グラフィックスにおけるクリッピングの本質です。クリッピングはレンダリングパイプラインで投影変換(プロジェクション行列)によってクリップ空間へ変換した後に行われ、不要なプリミティブの一部または全部を除去して以降の処理(透視除算→正規化デバイス座標→ビューポート変換→ラスタライズ)の効率と正確性を保ちます。
具体的には、ホモジニアス座標で表現されたクリップ座標 に対して の範囲検査で判定し、範囲外の部分は切り捨てられるか、交差する場合は分割(クリップ)されます。範囲内判定の後に透視除算( など)を行い、ラスタライズに渡します。

解法ステップ

  1. 問題文で「外側を除去し、内側だけを取り出す」といった意味が含まれる選択肢を探す。
  2. 3Dレンダリングの処理順序(モデル→ビュー→投影→クリップ→透視除算→ビューポート→ラスタライズ)を思い出す。
  3. 「ウィンドウの外側を除去する」という記述がクリッピングの定義と一致するかを確認する。
  4. 他選択肢が示す処理(合成・アンチエイリアス・シェーディングなど)がクリッピングではないことを照合して答えを決める。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「最終段階として映像化する処理」
    誤り。これは主にラスタライズやディスプレイドライバへの最終出力に関する説明であり、クリッピング自体の定義ではありません。クリッピングは最終描画の前段階で不要部分を取り除く処理です。
  • : 「ウィンドウの外側を除去し内側を取り出す処理」
    正しい。ビュー(あるいはスクリーン)に対して可視領域を定め、外側のジオメトリを削る操作がクリッピングです。フラスタムやクリップボックス、スクissor矩形などで行われます。
  • ウ: 「階段状のギザギザを目立たなくする処理(アンチエイリアス)」
    誤り。アンチエイリアス(サブピクセルサンプリング、フィルタリング等)はピクセル境界での見た目を滑らかにする処理で、クリッピングとは別です。
  • エ: 「物体表面に陰影を付ける処理(シェーディング)」
    誤り。シェーディングはライティング計算やサーフェスシェーダで行う処理で、可視領域の決定を行うクリッピングとは役割が異なります。

よくある誤解

  1. クリッピングは透視除算()の後に行うと思い込む誤解
    • 実務上は投影変換(プロジェクション行列)でクリップ座標に変換した後、クリッピング判定を行い、その後透視除算でNDCに変換します。透視除算の前にクリッピングをするのが一般的です。
  2. クリッピングとカリングを混同する誤解
    • カリングは視錐台外にあるオブジェクト全体や背面ポリゴンを描画候補から除外する(高速化のための予備的判定)処理で、クリッピングはプリミティブの一部を切る詳細な処理です。両者は目的と粒度が異なります。
  3. クリッピング=スクリーン上の矩形切り取りだけと捉える誤解
    • 2Dのスクリーンクリップ(スクissor)だけでなく、3Dではビュー(フラスタム)に対するクリップが行われ、ホモジニアス座標に基づく不等式で判定されます。

補足コラム

  • 代表的なクリッピングアルゴリズム
    • 線分クリッピング: Cohen–Sutherland、Liang–Barsky
    • 多角形クリッピング: Sutherland–Hodgman、Weiler–Atherton
  • 実装上の工夫
    • 多くのレンダラーは、まずバウンディングボックスやバウンディングボリュームでトライバルな除外(バウンディングボリュームカリング)を行い、残ったプリミティブのみを正確なクリッピングにかけて処理コストを下げます。
  • ホモジニアスクリッピングの利点
    • 透視投影後にクリッピングを行うことで、透視分割の不連続性を避け、直線性を保ったまま正しく交点計算ができます。
コード例(ホモジニアスクリップ検査の簡易版)
def is_inside_clip(xc, yc, zc, wc):
    return (-wc <= xc <= wc) and (-wc <= yc <= wc) and (-wc <= zc <= wc)
# xc,yc,zc,wc は投影行列を掛けた後のクリップ座標

FAQ

Q1: クリッピングは常に投影変換の直後に行われますか?
A1: 理想的には投影変換(クリップ座標への変換)の直後に行います。ただし効率のため、ビュー空間でのバウンディングカリングなどを事前に行うケースが多くあります。
Q2: クリッピングとラスタライズの境界はどこですか?
A2: クリッピングはプリミティブの幾何学的な可視部分の決定(クリップ面での切断)を行い、その後透視除算→NDC→ビューポート変換を経てラスタライズ(ピクセル化)します。ラスタライズはピクセル単位の描画処理です。
Q3: 深度バッファ(Zバッファ)とクリッピングはどう違いますか?
A3: クリッピングは視体積外のジオメトリを取り除く操作であり、深度バッファは同一ピクセル内で手前のピクセルを決定するために使用します。役割が異なりますが両方とも可視化に必要です。

関連キーワード: 3Dレンダリング、クリッピング、投影変換、透視除算、ビュー空間、フラスタム、ラスタライズ、クリップ座標、アンチエイリアス、カリング
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