基本情報技術者 2016年 春期 午前(科目A) 問58
問題文
落雷によって発生する過電圧の被害から情報システムを守るための手段として、有効なものはどれか。
選択肢
ア:サージ保護デバイス(SPD)を介して通信ケーブルとコンピュータを接続する。(正解)
イ:自家発電装置を設置する。
ウ:通信線を、経路が異なる2系統とする。
エ:電源設備の制御回路をディジタル化する。
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雷サージ対策【午前解説】
正解の理由
落雷に伴う過電圧(サージ)は通信線を経由して機器に侵入し、電子部品を破壊します。選択肢アにあるサージ保護デバイス(SPD)を通信ケーブルと機器の間に設けることで、過剰な電圧や電流を安全に接地へ逃がし、機器側へ到達する電圧を低減できます。SPDは「クランプ(通過電圧低下)」「放電(大きな電流の分流)」のいずれか、または併用で保護を行い、設置位置・種類を適切に選べば落雷誘導サージからの被害低減に非常に有効です。
SPDの種類については応答性と耐量に差があります。一般に
- TVS(トランジェント抑制ダイオード)は応答が最も速く、短時間での電圧クランプに優れる。
- MOV(金属酸化膜バリスタ)は中程度の応答速度で広く用いられる。
- GDT(ガス放電管)は放電開始電圧が高めで、応答は比較的遅いものの大電流処理能力に優れる。
これらを単独または多段で組み合わせ、接地や等電位ボンディングを併せて対策するのが実務的です。
解法ステップ
- 保護対象(通信ケーブル→機器)と脅威(落雷誘導サージ)を確認する。
- サージの侵入経路(外部ケーブル、電源線、接地差など)を特定する。
- 各選択肢がその侵入経路に対して直接的な防御手段かを評価する。
- ケーブル経由の過電圧なら、ケーブルと機器の間にSPDを設けるのが直接的。
- 発電装置は停電対策、系統多重は冗長化、制御のディジタル化は性質の変更であり、直接の過電圧防御とは異なる。
- SPDを採る場合は設置場所(サービス入口、建物内分配盤、機器直前)とSPDの種類(TVS/MOV/GDT)を検討し、接地・配線を短くして等電位化する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 有効。通信ケーブルと機器間にSPDを入れることで、ケーブルから流入するサージを接地へ逃がし、機器への到達エネルギーを低減できる。特に機器直近に設置する「局所保護」は有効性が高い。
- イ: 自家発電装置は停電や電源供給の継続を目的とするもので、落雷による瞬間的な過電圧(サージ)を直接抑えるものではない。SPDと併用することはあるが、単体でのサージ防御手段とは言えない。
- ウ: 通信線を経路2系統にすることは可用性(冗長性)を高めるが、両系統とも同じ落雷環境にさらされればサージによる障害は回避できない。経路分離はサージの回避手段とは基本的に異なる。
- エ: 電源設備の制御回路をディジタル化しても、落雷誘導による瞬間的な高電圧を直接抑えることにはならない。むしろ電子化により耐電圧が十分でない場合は脆弱性が増すことがある。
よくある誤解
- SPDをつければ直撃雷(直撃の一次雷)も完全に防げる:誤り。SPDは主に誘導サージや間接的な高電流の影響を低減する。直撃雷の完全防護は避雷設備・建物シールドや専用の放電経路が必要。
- ケーブルを複数引けば雷害を避けられる:誤り。冗長化は可用性向上だが、サージは共通モードで侵入することが多いため、適切なSPDや等電位化が必要。
- GDTは最速のSPDである:誤り。GDTは大電流に耐えられる反面、応答は比較的遅く、迅速な電圧クランプを要する場合はTVSやMOVと組み合わせる。
補足コラム
- 多段保護(サージ保護の階層化): 建物の受電点に高エネルギー対応のSPD(一次)、分電盤に二次、機器直前に三次(機器保護)といった配置で、各段を協調させる設計が効果的。GDTを一次、MOVやTVSを二次・三次に配置することが多い。
- 配線の実装上の注意: SPDのリードは極力短く、アースは太く短い導体で接続する。等電位ボンディングを徹底し、接地抵抗を下げることが性能を左右する。
- 光ファイバの活用: 通信回線を光ファイバにすることで導電性の経路が無くなり、サージ侵入の有効な手段となる(ただし電源や他の接続点も考慮する)。
FAQ
Q: SPDはどれくらいで交換すべきですか?
A: SPDはサージを受けるたびに劣化します。明確な大量サージを受けたときや、状態表示(インジケータ)で故障表示が出たときに交換します。定期点検やメーカーの寿命指標に従って交換計画を立ててください。
A: SPDはサージを受けるたびに劣化します。明確な大量サージを受けたときや、状態表示(インジケータ)で故障表示が出たときに交換します。定期点検やメーカーの寿命指標に従って交換計画を立ててください。
Q: 直撃雷をSPDだけで防げますか?
A: ほぼ不可能です。直撃雷に対しては避雷針・建物シールド・専用アースシステム等の総合的対策が必要です。SPDは誘導サージや二次的な過電圧対策が主目的です。
A: ほぼ不可能です。直撃雷に対しては避雷針・建物シールド・専用アースシステム等の総合的対策が必要です。SPDは誘導サージや二次的な過電圧対策が主目的です。
Q: 通信ケーブルは光化すれば完全に安全ですか?
A: 光化は導電経路を排除するため非常に有効ですが、機器側や電源ライン、接地差からのサージは別途対策が必要です。端末近傍のSPDは依然として有効な対策です。
A: 光化は導電経路を排除するため非常に有効ですが、機器側や電源ライン、接地差からのサージは別途対策が必要です。端末近傍のSPDは依然として有効な対策です。
Q: SPDの種類はどう選べばよいですか?
A: 保護対象の機器の耐圧、予想されるサージエネルギー、設置場所(屋外入口/屋内/機器直前)に応じてTVS/MOV/GDTを使い分け、必要なら多段構成にします。規格(IEC 61643シリーズ、ITU-Tなど)やメーカーの選定ガイドを参照してください。
A: 保護対象の機器の耐圧、予想されるサージエネルギー、設置場所(屋外入口/屋内/機器直前)に応じてTVS/MOV/GDTを使い分け、必要なら多段構成にします。規格(IEC 61643シリーズ、ITU-Tなど)やメーカーの選定ガイドを参照してください。
関連キーワード: SPD, サージ保護, 雷サージ, TVS, MOV, GDT, 等電位ボンディング, アース, 多段保護, 光ファイバ, IEC 61643, IEEE C62.41

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