基本情報技術者 2023年 科目A 問14
問題文
A社では、従業員が自宅のPCからインターネット経由で自社のネットワークに接続して仕事を行うテレワーキングの実施を計画している。A社が定めたテレワーキング運用規程について、情報セキュリティ管理基準(平成28年)に従って監査を実施した。判明した事項のうち、監査人が、指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。
選択肢
ア:テレワーキング運用規程に従うことを条件に、全ての従業員が利用できる。
イ:テレワーキングで従業員が使用するPCは、A社から支給されたものに限定する。
ウ:テレワーキングで使用するPCへのマルウェア対策ソフト導入の要不要は、従業員それぞれが判断する。(正解)
エ:テレワーキングで使用するPCを、従業員の家族に使用させない。
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テレワーク端末のマルウェア対策【午前解説】
正解の理由
テレワーキングで従業員が使用する端末のマルウェア対策を「各自の判断に任せる」とする規程は、組織としての最低限の防御策(標準化・統制)が欠如しており、情報セキュリティ管理基準(平成28年)に照らして監査上の指摘事項となります。したがって監査報告書に記載すべきなのは、選択肢のうちウです。組織は端末の保護に関して明確な要件(導入ソフト、設定、更新・ログ管理など)を定め、実効的に管理・確認する責務があります。個人の裁量に任せると、未保護端末からの侵害や情報漏えいのリスクが高まります。
解法ステップ
- 監査での指摘対象が「組織的管理の欠如」か「運用上の問題か」を確認する。
- 各選択肢が組織としての最低限の管理・統制(ポリシー、強制力、技術的措置)に抵触するかを評価する。
- 「各自の判断に任せる」ような内容は、組織的なセキュリティ基準の不備と見なされるため指摘対象と判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: テレワーク運用を「全従業員が利用可」とするだけでは問題にならない。重要なのは利用条件やセキュリティ要件が定められているかであり、単に利用対象を広げていること自体は監査指摘事項とは限らない。
- イ: 「会社支給端末に限定する」規程は、むしろ管理しやすくするための適切なセキュリティ強化策であり、監査で指摘されるべき欠陥ではない(むしろ推奨される場合が多い)。
- ウ: マルウェア対策の要否を従業員個々の判断に任せることは、組織の安全対策が欠けているため監査で指摘すべき欠陥である。
- エ: 「家族に使用させない」という規程はセキュリティ上の合理的な制約であり、規程として指摘対象になるとは限らない。実効性や周知方法に問題があれば別途指摘されるが、規定自体は妥当。
よくある誤解
- 誤解1: 「端末は個人所有でも本人が管理すれば安全」と考えること。個々の管理では設定漏れや更新怠慢が起きやすく、組織的な統制が必要です。
- 誤解2: 「禁止事項を規程に書けば十分」と思うこと。禁止だけでなく、導入すべきツール、設定基準、監視・検出・対応手順および遵守確認の仕組みが必要です。
- 誤解3: 「会社支給端末にすれば監査指摘はゼロ」と考えること。支給端末でも適切な設定・管理(パッチ適用、アンチウイルスの更新、ログ収集など)がなければ指摘されます。
補足コラム
情報セキュリティ管理基準(平成28年)は、端末の保護に関して組織が責任を持って対策を講じることを求めています。テレワーク端末対策の具体例:
- 会社指定のマルウェア対策ソフトの導入・自動更新の義務化
- MDM/EMMによる設定管理と脆弱端末の隔離
- VPNや多要素認証(MFA)の使用強制
- 定期的な監査とログ収集・分析による有効性確認
監査指摘の書き方(例):
「テレワーキング運用規程において、端末のマルウェア対策の導入義務や管理方法が明確でなく、従業員各自の判断に任せている点は組織的管理の不備であり是正を要する。」
導入後の改善例(簡易コード例:エンドポイントでの自動更新チェック):
# 疑似コード:アンチウイルス定義ファイルの最終更新日を確認
import os, datetime
def is_definition_recent(path, days=7):
mtime = datetime.datetime.fromtimestamp(os.path.getmtime(path))
return (datetime.datetime.now() - mtime).days <= days
FAQ
Q1: 家族の利用禁止は実効性が低く監査で指摘されるか?
A1: 規程そのものは妥当ですが、実効性(周知、同意確認、技術的隔離)が伴わないと「運用が不十分」として指摘される可能性があります。
A1: 規程そのものは妥当ですが、実効性(周知、同意確認、技術的隔離)が伴わないと「運用が不十分」として指摘される可能性があります。
Q2: 個人所有端末でも安全に運用する方法は?
A2: MDM導入、指定ソフトの強制インストール、ネットワーク分離(ゼロトラスト)、定期的な脆弱性スキャンといった技術的・管理的対策を組み合わせる必要があります。
A2: MDM導入、指定ソフトの強制インストール、ネットワーク分離(ゼロトラスト)、定期的な脆弱性スキャンといった技術的・管理的対策を組み合わせる必要があります。
Q3: 監査人はなぜ「任せる」ことを指摘するのか?
A3: 企業には情報資産の保護責任があり、リスク低減のために最低限の技術的要件と管理プロセスを規程で定めることが求められるためです。
A3: 企業には情報資産の保護責任があり、リスク低減のために最低限の技術的要件と管理プロセスを規程で定めることが求められるためです。
関連キーワード: テレワーク、端末管理、アンチウイルス、運用規程、MDM、リスク管理、アクセス制御、ログ管理

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