情報セキュリティマネジメント 2016年 春期 午前(科目A) 問22
問題文
クリックジャッキング攻撃に該当するものはどれか。
選択肢
ア:Webアプリケーションの脆弱性を悪用し、Webサーバに不正なリクエストを送ってWebサーバからのレスポンスを二つに分割させることによって、利用者のWebブラウザのキャッシュを偽造する。
イ:WebサイトAのコンテンツ上に透明化した標的サイトBのコンテンツを配置し、WebサイトA上の操作に見せかけて標的サイトB上で操作させる。(正解)
ウ:Webブラウザのタブ表示機能を利用し、Webブラウザの非活性なタブの中身を、利用者が気付かないうちに偽ログインページに書き換えて、それを操作させる。
エ:利用者のWebブラウザの設定を変更することによって、利用者のWebページの閲覧履歴やパスワードなどの機密情報を盗み出す。
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クリックジャッキング攻撃【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
クリックジャッキングとは、利用者が見ているページ上に透明な別のページ(フレーム)を重ねて、見かけ上は元のページのボタンやリンクをクリックさせつつ、実際には別サイト上の操作をさせる攻撃です。選択肢の中でこの定義に合致するのは、WebサイトAの上に透明化した標的サイトBのコンテンツを配置し、見せかけの操作で標的サイトB上の操作をさせるという説明の、イです。ここでは「透明に重ねる」「別サイト上で勝手に操作させる」という特徴が明確に示されています。
解法ステップ
- 問題のキーワードを探す:「透明」「重ねる」「別サイト上で操作させる」「見せかけ」など、ユーザ操作をだます表現を探す。
- クリックジャッキングの定義を思い出す:ユーザが意図しない別サイト上の操作を、視覚的に隠れている要素で誘導する攻撃。
- 各選択肢と定義を照らし合わせる:透明な重ね合わせを使う説明があればそれが一致する。
- 余談的表現(タブを書き換える、ブラウザ設定を変える、HTTPの分割など)は別の攻撃手法に該当することを確認する。
選択肢別の誤答解説
- ア: Webアプリケーションの脆弱性を悪用し、Webサーバに不正なリクエストを送ってレスポンス分割でブラウザのキャッシュを偽造する。
- これは「HTTPレスポンス分割(HTTP response splitting)」や「キャッシュポイズニング(cache poisoning)」に近い説明です。クリックジャッキングの「画面を重ねてだます」という特徴とは異なります。
- イ: WebサイトAのコンテンツ上に透明化した標的サイトBのコンテンツを配置し、WebサイトA上の操作に見せかけて標的サイトB上で操作させる。
- 透明な要素でユーザのクリックや操作を別サイトへ転送する、まさにクリックジャッキングです。したがって正解です。
- ウ: ブラウザのタブ表示機能を利用し、非アクティブなタブの中身を気付かれないうちに偽ログインページに書き換えて操作させる。
- これは「タブナビング(tabnabbing)」または「タブ詐称」と呼ばれる手法です。クリックジャッキングとは手段が異なり、タブの内容を書き換えてフィッシングに誘導します。
- エ: ブラウザの設定を変更して閲覧履歴やパスワードを盗み出す。
- これはブラウザ設定の改ざんを伴うマルウェアや不正拡張機能による情報窃取に該当します。クリックジャッキングはユーザの純粋なクリックを騙す手法で、設定変更によるデータ窃盗とは違います。
よくある誤解
- クリックジャッキングとクロスサイトスクリプティング(XSS)を混同する
- XSS(Cross-Site Scripting:他者のサイトに不正なスクリプトを埋め込む攻撃)は、ページ内でスクリプトを実行させ情報を抜く手法です。クリックジャッキングは「ユーザのクリックを別のサイトに転送する」手法で、目的や手口が異なります。
- 「透明に重ねる」以外は全部クリックジャッキングだと思い込む
- 画面の見た目をだます攻撃は似て見えますが、透明フレームを使って別サイト上で操作させる点がクリックジャッキングの本質です。タブを書き換える、設定を変えるなどは別分類です。
補足コラム
防御策(現場でできること):
- サーバ側でX-Frame-Options ヘッダ(例:DENY, SAMEORIGIN)や CSP(Content Security Policy:コンテンツセキュリティポリシー)の frame-ancestors 指定を設定し、他サイトからフレームで埋め込まれるのを防ぐ。
- X-Frame-Options は「このページをフレームに表示してよいか」を示すHTTP応答ヘッダです。
- CSP の frame-ancestors はより柔軟に許可するオリジンを指定できます。
- 重要操作には確認ダイアログや二要素認証(2FA)を導入する。見た目だけで操作が完了しないようにするのが有効です。
- 社内で使う外部サービスや自社サイトを運用する場合は、セキュリティチェックリストに「フレーム埋め込みを許可していないか」を入れておくこと。ベンダーやWeb制作担当にX-Frame-Options/CSPの設定を依頼します。
職場での運用イメージ:
- 総務やサービス窓口で使う管理画面は、開発担当にX-Frame-Optionsを設定してもらい、外部サイトから埋め込みができないようにします。利用者(社員)には「外部サイトで見た目が変だと感じたら操作を止める」ことを周知します。
FAQ
Q: クリックジャッキングはどうやって見分ければよいですか?
A: 普段見慣れたページのボタン位置が微妙にずれていたり、押した結果が期待と違う場合は疑ってください。開発者ツールでiframeが重なっていないか確認すると判別できます(一般ユーザはセキュリティ担当に報告するのが現実的です)。
A: 普段見慣れたページのボタン位置が微妙にずれていたり、押した結果が期待と違う場合は疑ってください。開発者ツールでiframeが重なっていないか確認すると判別できます(一般ユーザはセキュリティ担当に報告するのが現実的です)。
Q: X-Frame-Options と CSP のどちらを使うべきですか?
A: X-Frame-Options は単純で広く対応しますが、細かい許可設定(特定ドメインのみ許可など)は CSP の frame-ancestors の方が強力です。可能なら CSP を併用すると良いです。
A: X-Frame-Options は単純で広く対応しますが、細かい許可設定(特定ドメインのみ許可など)は CSP の frame-ancestors の方が強力です。可能なら CSP を併用すると良いです。
Q: ユーザ側でできる対策はありますか?
A: 怪しいページで不用意にボタンをクリックしない、重要操作は2段階認証を有効にする、ブラウザやプラグインを最新に保つ、が有効です。
A: 怪しいページで不用意にボタンをクリックしない、重要操作は2段階認証を有効にする、ブラウザやプラグインを最新に保つ、が有効です。
関連キーワード: クリックジャッキング、iframe、X-Frame-Options、Content Security Policy、タブナビング、HTTPレスポンス分割、キャッシュポイズニング、マルウェア対策

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