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情報セキュリティマネジメント 2018年 秋期 午前(科目A)09


問題文

IPA “中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(第2.1版)”に記載されている、基本方針、対策基準、実施手順から成る組織の情報セキュリティポリシに関する記述のうち、適切なものはどれか。

選択肢

基本方針と対策基準は適用範囲を経営者とし、実施手順は適用範囲を経営者を除く従業員として策定してもよい。
組織の規模が小さい場合は、対策基準と実施手順を併せて1階層とし、基本方針を含めて2階層の文書構造として策定してもよい。(正解)
組織の取り扱う情報資産としてシステムソフトウェアが複数存在する場合は、その違いに応じて、複数の基本方針、対策基準及び実施手順を策定する。
初めに具体的な実施手順を策定し、次に実施手順の共通原則を対策基準としてまとめて、最後に、対策基準の運用に必要となる基本方針を策定する。

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ポリシーの文書階層【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

設問の正解は です。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構:Information-technology Promotion Agency)が示すガイドラインでは、組織の規模や管理能力に応じて文書の階層化を簡素化してよいとされています。ここでの「基本方針」は組織の情報セキュリティに関する上位の方針(何を守るか、経営の姿勢)を指します。「対策基準」は方針を具体化するための原則やルール、「実施手順」は業務での操作手順(誰が何をどう実施するか)です。小規模組織では、管理負荷を下げ、現場で実行しやすくするために、対策基準と実施手順を同じ階層(同一文書内のレベル)にまとめ、基本方針と合わせて2階層とする設計が許容されます。これにより方針の上位性は保ちつつ、運用しやすい文書構造になります。

解法ステップ

  1. 用語を明確にする
    • 基本方針:組織としてのセキュリティ方針(高位の方針)
    • 対策基準:方針を実現するためのルールや基準(中間レベル)
    • 実施手順:日常業務での具体的操作手順(現場向け)
  2. ガイドラインの趣旨を把握する
    • 規模に応じて過度な文書化を避け、運用しやすくすることを重視しているか確認する
  3. 各選択肢を当てはめる
    • 小規模組織なら「基礎方針+(基準+手順を併せる)」という2層構成が合理的かを検討する
  4. 最もガイドライン趣旨に合致する選択肢を選ぶ
    • 管理の簡素化と役割の明確化を両立できる構成が正解

選択肢別の誤答解説

  • ア: 基本方針と対策基準を経営者のみ、実施手順を経営者以外に適用範囲を分ける、という考えは誤りです。基本方針や対策基準は組織全体の統治(ガバナンス)を示すもので、適用範囲を経営者だけに限定する意味はありません。方針は組織全体に適用され、責任や推進主体を明示して運用します。
  • : 正しい。組織が小さく、文書管理や運用負荷を抑えたい場合は、対策基準と実施手順を同一階層とする簡素な二層構造が許容されます。重要なのは方針の位置づけ(上位に置く)を保つことです。
  • ウ: 情報資産(ここではシステムソフトウェアなど)が複数あるからといって、基本方針そのものを複数作るのは不適切です。基本方針は組織全体の統一的な方針であり、資産ごとに別々の方針を作ると整合性やガバナンスが損なわれます。資産ごとに異なる扱いが必要なら、対策基準や実施手順で差を設けます。
  • エ: 文書作成の順序として、まず具体的実施手順を作ってから基準→基本方針の順で遡って作るのは非効率で推奨されません。設計は上位方針(何を守るか)→基準(どう守るか)→手順(具体的に誰がどうするか)の流れで整合性を持たせるのが基本です。

よくある誤解

  • 「文書は多いほど安全」ではない:文書量が増えると現場が守れなくなり、結果として運用が崩れることがあります。重要なのは実行できる仕組みを作ることです。
  • 「基本方針は細かく書くべき」ではない:基本方針は高位の宣言であり、詳細は対策基準や手順で規定します。基本方針は短く明確に、組織の意志を示すのが目的です。

補足コラム

小規模組織での実務イメージ:
  • 1冊の「情報セキュリティマニュアル」を作成し、最初に「基本方針」を置く(経営のコミットメント、適用範囲、責任者)。
  • 次に「対策基準」と「実施手順」を章ごとにまとめる。対策基準で原則やルールを示し、各ルールの下に具体的な手順(ログの保存方法、アカウント発行手順、パスワード管理)を書くと現場が使いやすくなります。
    運用上は、文書の版管理、周知(朝礼や社内メール)、教育(年1回程度)と点検(自己点検チェックリスト)をセットにすると効果的です。

FAQ

Q1: 小規模だと文書を1つにまとめても大丈夫ですか?
A1: はい。ガイドラインは「簡素化して良い」としています。ただし、方針の位置づけ(経営の宣言)と実務の分離は明確にしておきましょう。
Q2: 基本方針は誰が決めるべきですか?
A2: 経営層が責任を持って決定し、署名や承認を行います。現場の実行は責任者を明記して委ねます。
Q3: 文書の見直し頻度は?
A3: 年1回以上の定期見直しと、重大インシデントや業務変更があったときの随時見直しを推奨します。

関連キーワード: 情報セキュリティポリシー、ポリシー階層、対策基準、実施手順、基本方針、文書管理、運用化
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