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情報セキュリティマネジメント 2018年 秋期 午前(科目A)38


問題文

外部委託管理の監査に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

選択肢

請負契約においては、委託側の事務所で作業を行っている受託側要員のシステムへのアクセスについて、アクセス管理が妥当かどうかを、委託側が監査できるように定める。(正解)
請負契約においては、受託側要員に対する委託側責任者の指揮命令が行われていることを、委託側で監査する。
外部委託で開発した業務システムの品質管理状況は、委託側で監査せず、受託側で監査する。
機密性が高い業務システムの開発を外部に委託している場合は、自社開発に切り替えるよう、監査結果の報告において改善勧告する。

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外部委託の監査権限【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

まず用語を簡単に説明します。請負契約は、受託者が成果物の提供責任を負う契約形態です(会社が「人を指揮する」契約ではなく、仕事の完成を委ねる契約)。アクセス管理は、システムやデータに「誰が・いつ・どの範囲で」入れるかを制御・記録する仕組みです。監査は、規程や契約に沿って適切に運用されているかを確認する行為です。
委託側は、外部で作業している受託側要員が委託側システムにアクセスする場合、そのアクセスが適切かどうかを確認する権利を契約で定める必要があります。これは、機密情報や業務システムの安全を守るための最低限の措置です。したがって、の「委託側が監査できるように定める」が妥当です。契約で「監査権(right to audit)」を明確にしておけば、委託側は必要なときにログ確認や現地チェックを行えます。

解法ステップ

  1. 契約形態を確認する(請負か派遣か)。
    • 請負:成果責任。受託側の要員は委託側の指揮命令下にない。
    • 派遣:労働者の指揮命令が派遣先にある。
  2. 監査対象の範囲を考える(誰がどのシステムにアクセスするか、物理的・論理的アクセス)。
  3. 契約に盛り込むべき条項を列挙する(監査権、ログ提供、機密保持、再委託の制限など)。
  4. 各選択肢を「契約上・現場運用上の妥当性」で比較する。
    • 指揮命令の有無を根拠に誤りを見つける。
    • 監査の主体・範囲の責任分担を確認する。

選択肢別の誤答解説

  • ア(正解)
    受託側要員が委託側のシステムにアクセスする場合、委託側はアクセス管理の妥当性を確認する必要があります。契約に「監査権」を入れておけば、委託側はログの確認や現地監査が可能になります。
  • イ(誤り)
    請負契約では、受託側要員は受託者の指揮命令下にあります。委託側の責任者が直接指揮命令を行うことは契約形態の実態と矛盾します。もし委託側が日常的に指揮するなら、それは「派遣」や「雇用」に近い関係になり、契約形態自体の見直しが必要です。
  • ウ(誤り)
    品質管理状況をまったく委託側が監査しないのは不適切です。委託側は受託成果を受け入れる立場であり、受託側が実施した品質管理の確認(受入テスト、監査、成果物チェック)は委託側の責務です。受託側の自己監査に加え委託側監査や第三者監査を利用するのが一般的です。
  • エ(誤り)
    監査結果で「自社開発に切り替えるよう勧告する」ことは、改善の一案としてはありえますが、監査の一般的役割は問題点の指摘と是正勧告です。コストや工数、ノウハウの観点で外部委託が合理的な場合も多く、安易に「自社開発へ切替え」を一律の勧告とするのは現実的でありません。監査は現状評価と改善策提示が主で、経営判断に踏み込みすぎないことが原則です。

よくある誤解

  • 請負=委託先の行動に一切責任がない:請負でも委託側は成果受入や安全確保のため監査権や要件定義、検収を行う責任があります。
  • 監査権を契約に入れればすべて自由に調査できる:委託先の営業秘密や個人情報に配慮し、監査方法(非公開情報の扱い、立会い、事前通知など)を契約で調整する必要があります。
  • 監査は年1回のチェックだけで十分:業務の重要度やリスクによって頻度を決めます。高機密なら定期的・事後調査・ログ監視の組合せが必要です。

補足コラム

契約に盛り込むと良い条項(実務向けチェックリスト)
  • 監査権(範囲、頻度、事前通知の有無)
  • ログの保存期間・提供方法
  • 物理アクセス管理(受託側の作業場所での端末管理)
  • 再委託の可否と再委託先の管理方法
  • インシデント(事故)発生時の報告・対応義務
  • 機密保持(NDA)と人的セキュリティ(身元確認・教育)
    職場運用の例:外部委託先がシステムにアクセスする場合、契約で週次のアクセスログ提供と四半期ごとの現地監査を明記。監査は委託側の情報セキュリティ担当が実施し、重大な違反は改善計画を提出させる。改善がされない場合は契約解除条項を発動する。
また、外部委託先がISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)等の認証を持っているかを確認するのも有効です。認証は一定レベルの管理が行われていることの目安になりますが、認証だけでは個別契約の要件を満たすとは限りません。契約で個別要件を明確にしましょう。

FAQ

Q: 監査は受託先のオフィスに入って実施できますか?
A: 契約で「現地監査(オンサイト)の許可」を明示しておく必要があります。事前通知・立会い・秘密保持の取り決めも同時に行います。
Q: 受託側が監査を拒否したらどうする?
A: まず契約条項を根拠に交渉します。拒否が続く場合は、違約として契約解除や損害賠償の検討、代替ベンダーへの移行計画を準備します。
Q: 監査頻度はどのくらいが適切?
A: リスクに応じます。機密性・重要性が高ければ月次・四半期、低ければ年次+事象発生時の臨時監査が一般的です。
Q: 監査で個人情報に触れる場合は?
A: 事前に取り扱い範囲を明確にし、マスキングや限定公開、専任担当者との立会いなどで保護します。

関連キーワード: 外部委託、請負契約、監査権、アクセス管理、再委託管理、ISMS、ログ監査、機密保持
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