情報セキュリティマネジメント 2023年 科目A 問02
問題文
入室時と退室時にIDカードを用いて認証を行い、入退室を管理する。このとき、入室時の認証に用いられなかったIDカードでの退室を許可しない、又は退室時の認証に用いられなかったIDカードでの再入室を許可しないコントロールを行う仕組みはどれか。
選択肢
ア:TPMOR(Two Person Minimum Occupancy Rule)
イ:アンチパスバック(正解)
ウ:インターロックゲート
エ:パニックオープン
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アンチパスバック【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
入退室時にカードの「状態」を管理し、入室に使われていないカードでの退室や、退室したカードでの再入室を禁止する仕組みは、アクセスコントロールでカードの前回状態(IN/OUT)をチェックして制御する方式です。この方式は一般にアンチパスバック(anti-passback)と呼ばれます。問題の要求に合致する選択肢は、イのアンチパスバックです。
(補足)ここで言うIDカードは「入退室記録を持つ個人識別カード」、アクセスコントロールシステムは「入退室を管理する装置やソフトウェア」を指します。
解法ステップ
- 問題が何を求めているかを整理する:入室に使われなかったカードでの退室を許可しない、または退室に使われなかったカードでの再入室を許可しない、という「カードの使用履歴(状態)の整合性」を保つこと。
- 選択肢の意味を一つずつ確認する:
- アンチパスバックはカードごとの状態(IN/OUT)を保持してチェックする仕組みで、条件にぴったり合う。
- 他の選択肢は物理的なドア動作や非常時の挙動など別用途である。
- 条件と一致するものを選ぶ:状態管理による制御であるイが正しい。
選択肢別の誤答解説
-
ア: TPMOR(Two Person Minimum Occupancy Rule)
- 意味:ある場所に少なくとも2人の立ち会いを要求するルール。英語の名前の通り「最低2名の同席」を求める安全管理策です(特に危険業務や重要手続きで利用)。
- なぜ誤りか:人員の最小人数を定める規則であり、カードの入退室履歴をチェックして再入室や退室を禁止する仕組みとは無関係です。
-
イ: アンチパスバック
- 意味と合致:カードの前回操作(入室/退室)に基づき、その次の操作を許可・禁止する仕組み。従って問題の要件に該当します。
-
ウ: インターロックゲート
- 意味:二重ドアやエアロックのように、前のドアが閉まるまで次のドアが開かない物理的な門制御。尾行(テールゲーティング)を防ぐ目的で使われます。
- なぜ誤りか:ドア同士の同時開放を防ぐ物理的制御であり、個別カードのIN/OUT状態を管理して「未使用カードでの退室を拒否する」動作を行うものではありません。
-
エ: パニックオープン
- 意味:火災や非常時に出入口を自動解錠して迅速な避難を可能にする機能。
- なぜ誤りか:非常時の解錠動作に関するもので、通常の入退室時のカード状態チェックとは目的が異なります。
よくある誤解
- アンチパスバックは尾行(テールゲーティング)を完全に防げると思い込む
- 実際は、アンチパスバックはカードの状態を管理するため、別の人が同じカードを使えば防げないことがあります。物理的な尾行対策(ターンスタイルやインターロック)と組み合わせる必要があります。
- アンチパスバックは常に全ての緊急時に有効だと思う
- 火災時は速やかな避難が優先されるため、アンチパスバックを一時的に無効化する設計(非常解除)が必要です。
- 「カードの履歴=正確な人数把握」と混同する
- カード状態から概算の在室数はわかりますが、カード共有や尾行、カード忘れなどで正確な人数把握には限界があります。
補足コラム
アンチパスバックの実装形態にはいくつか種類があります。
- ハード・アンチパスバック:リアルタイムで厳密にIN/OUT状態を管理し、違反を許さない方式。例:ターンスタイルと連携して物理的に入室をブロック。
- ソフト・アンチパスバック:一定時間内の誤差や例外を許容する方式。移動ログの後処理で警告を出すなど。
- 地理的アンチパスバック:エリア間移動を管理する方式で、特定エリアからの再入場を制限する。 運用上は、紛失カードや緊急対応のための「管理者による解除手順」を定めておくことが重要です。現場では、セキュリティと安全(避難の確保)を両立させるために、非常時のルールや解除ログの記録を運用マニュアルに明記します。
簡単な実装イメージ(カードごとの状態管理の擬似コード):
# card_state: dict mapping card_id -> "IN" or "OUT"
def request_entry(card_id):
if card_state.get(card_id) == "IN":
deny_access()
else:
allow_access()
card_state[card_id] = "IN"
def request_exit(card_id):
if card_state.get(card_id) != "IN":
deny_access()
else:
allow_access()
card_state[card_id] = "OUT"
FAQ
Q. アンチパスバックはどうやって運用で破綻しないようにする?
A. 紛失カードや例外的状況に対する「管理者解除」手順、非常時の自動解除、定期的な在室確認(巡視)を組み合わせます。運用ルールと責任者を明確にしてください。
A. 紛失カードや例外的状況に対する「管理者解除」手順、非常時の自動解除、定期的な在室確認(巡視)を組み合わせます。運用ルールと責任者を明確にしてください。
Q. カードを他人に渡した場合は防げますか?
A. 完全には防げません。カード共有を技術だけで防ぐのは難しく、運用ルール(携帯義務、教育)や追加の生体認証の導入が有効です。
A. 完全には防げません。カード共有を技術だけで防ぐのは難しく、運用ルール(携帯義務、教育)や追加の生体認証の導入が有効です。
Q. どんな場所で使われますか?
A. 事務所の入退室管理、データセンターの区域管理、工場の危険区域など、出入りの記録と不正な往復を防ぎたい場所で利用されます。
A. 事務所の入退室管理、データセンターの区域管理、工場の危険区域など、出入りの記録と不正な往復を防ぎたい場所で利用されます。
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